『粋』な男を目指す旅……

2007年09月02日

粋 第13回 〜日本のソウルを探検する!!〜


久々に『粋』をアップしたい。

もうご存じない人のために、改めて説明すると、
これは2000年から2001年にかけて、
某男性誌に「雪之丞華之介」という
ふざけたペンネームで、僕が書いていた、
「粋な男になるために毎月、新たな挑戦をする」
という連載の再録。


毎月、毎月、仕事のフリをして
都内各地を歩き回る(呑み歩く)という、
本当に楽しい連載だった。

で、この13回は、都内のコリアタウンを巡り、
やはり、マッコリを呑み歩いているだけだった。

長文で、読みづらいかもしれませんが、
お時間があれば、ぜひ!


01.11






第13回

2002年W杯・日韓共催記念特別寄稿

日本のソウルを探検する!!

いよいよ、あと一年に迫った日韓共催のワールドカップ。
「近くて遠い国」だとか「犬猿の仲」、「近親憎悪」など、
あまり印象のよくないフレーズも昔から根深く存在する。
そこで、韓国研究家でもあるオレが、日本の韓国、
「コリアタウン」を散策し、現在の日韓関係を探ってみる。
日本初の狂牛病騒ぎのなか、ひたすら焼肉を食いまくった。
新宿ビル火災の激震のなか、新宿をひたすら徘徊した。
(以下、スクールウォーズ調で)これはその物語を、
余すところなく原稿化したものである!(声・芥川隆行) 


「魂」と同じ発音を持つ街、“ソウル”にまつわる物語

韓国に向かう飛行機の中でコレを書いている。
嘘だ。簡単に人を信じるな。オレからのアドバイス。

でも、心はソウルに飛んでいる。そう、韓国・ソウル。
「魂」と同じ発音を持つ、情の濃い人々の街、ソウル。

今、東上野のキムチストリートで
ビビンバを食いながらマッコリという酒を呑んでいる。
ホントだ。あまり人を疑ってかかるな。
猜疑心が強いとせっかくのチャンスを逃すぞ。アドバイス2。

何をいいたいのかというと、
コリアタウンは総じてメシがうまい、ということだ。
メシがうまいということは当然酒もうまい。
だから、コリアタウンはいい街だ、という三段論法。
記号のようなハングル文字に恐れおののいてはいけない。

オレがコリアタウンに初めて足を運んだのが、
20の春のこと。
先輩に連れられていった韓国家庭料理屋で
酒が原因でささいなトラブルがあった。
先輩もオレもなぜか臨戦態勢モードで一触即発状態。
ケンカの相手は韓国人だった。
以来、オレの韓国人に対する印象は最悪だった。

そして、21のとき。初めて友人と海外に旅行をした。
行き先は韓国・ソウル。ただ安かったから、それだけの理由だ。

しかし、タクシーの乱暴な運転、ゴミゴミした街並み、
流暢な日本語で近づいてくるポン引き……。
ますます韓国に対する印象が悪くなった。

そんな最悪の印象が氷解したのは単純な理由だ。
恋をしたからさ、韓国の女に……(以下長くなるので略)。

というわけで、韓国に対するオレの印象は変わった。
ソウルには十数回行き、
猪木のプロレスを見に北朝鮮にも行った。
そんなオレだが、今年はまだ一度も韓国には行っていない。

旅心がムズムズしてきたオレは
日本の中で韓国を探す旅に出た。

とりあえずは東上野のキムチストリートに出陣。
無煙ロースターとは無縁の焼肉屋で、
マッコリ呑みながらこの原稿を書いているってわけだ。

話はそれるが、
「毎月毎月ビールばっかり呑んで楽しそうだね」とよくいわれる。
だからいま、マッコリを呑んでいる。
あぁ、うまいうまいマッコリはうまい!
これがオレの公式見解だ。いかんいかんまことに遺憾。
下らないよ。マッコリの白濁液にやられてしまったのか?
さぁ、今月のクエストの開始だ。


韓国オカマガールとの深夜の大攻防戦!

場所は新宿。西武新宿駅北口。
区立大久保公園から都立大久保病院の辺りに
「ソレ」は存在する。

身長170〜180センチ。
タイトなスーツはボディラインをよりシャープに際立たせ、
スラリとした真っ白な生足が暗闇の中で
きれいなシルエットを描いている。

歌舞伎町、新大久保には「立ちんぼ」と
呼ばれるストリートガールが多数生息する。
西武新宿線線路と平行した、
細く薄暗い通りに存在する韓国人街娼。

しかし、ここのガールたちはただの街娼ではない。
全員「男」なのだ。

数年前、酔った自衛隊員が、
この「女性」とホテルに入って、真実を知り、
逆上して殺傷事件を起こした。
ここはそんな「女」ばかりなのだ。

普段は「遊ンデカナイ?」の声がわずらわしく
あまり通らないようにしているがあえて行ってみた。
この日、ここには4人の「女」がいた。

さっそく声をかけてくる。
オレは気のないフリで「こんばんは」。

脈アリとみたのか「遊ボウヨ。安イヨ」ときた。
「安い?」。「ウン安イ」
と指を2本差し出す。「2?」とオレ。
はたから見たら、ジャンケンのアイコ状態だ。

「安イヨ、安イヨ。サービススルヨ」。
「サービス?」いかん、乗ってしまった。
「気持チイイヨ」。「どんなサービス?」
「●●●●●(自主規制)」。「マジ?」。
乗ってくるオレ。近くで見るとルックス、スタイルは超◎。
揺らぐ自制心。心を鬼にし、カメラを取り出す。
「写真ダメ」と腕を引っ張られる。
もうヤケだ。暗闇に光るフラッシュ。
周りにいた「女」たちが近寄ってくる。

逃げろ、と走り出す。後ろから「バカヤロー」の声。
あのハイヒールでは追いつけまい。
心臓バクバク。少し、やりすぎた。反省。


特命指令・「幻のナベ」の伝説を追え、そして食え!

密造酒を出してくれる韓国呑み屋がある。
密造酒というと大げさだが、日本でいう「ドブロク」、
韓国でいう「マッコリ」。

市販のマッコリと比べ、味の違いがわかるような
粋な男ではないオレには、
そう大して違いはないような気がするが、
呑む人が呑めばまったく違うものらしい。

で、大久保の、ある家庭料理屋でチヂミを食し、
マッコリを呑んでいたとき、「その鍋」の話になった。

近頃、体調が優れないという、
その店のオンマ(ママ)曰く、

「ポシンタン食べたら一発で治るんだけどね」

ポシンタン? 聞くと、韓国に伝わる薬膳料理だという。
漢字では「保身湯」。文字通り体によさそうなネーミング。
そして、その食材は、犬!

韓国では犬を食べる習慣がある。
しかし、88年のソウルオリンピック前後から、
対外的なイメージから、犬鍋追放の動きが活発化し、
表立って犬料理を出すところが極端に減少した。

日本人が鯨や馬を食べることを
外国人がとやかくいうのが大きなお世話であるように、
韓国の食文化にとやかくいうつもりはない。

でも、いざ犬の鍋が出てきたら抵抗はあるよな、正直。
オンマ曰く「味もよくて元気も出て、夏はポシンタンに限るよ」
と強くススメる。聞くと、大久保近辺にも数件、
ポシンタンを食べられる店があるという。
場所を聞き、後日行ってみることにした。

しかし、その翌日。偶然なのか必然なのか?
本誌編集部で談笑していると
知り合いのカメラマンがオレにいう。
「荒川に犬肉を出す店があるんだって」。

誰かがオレにポシンタンを食え、と命令している!
信心深いオレは神の声を聞いた気がした。さあ、荒川へ出発だ。


これが、ウワサの「その鍋」なのか!

韓国人の友人に聞くと
その店は常磐線沿線の某駅にあるとのこと。

さっそく日曜日の昼下がり出かける。
どこにでもある大衆食堂の佇まい。
ポシンタンはメニューにはなく、
タン塩、ハラミ、コメカミ、カルビなどを食べる。
しかし、今日は目的がある。おずおずと聞く。
「ポシンタンはありますか?」。するとオバチャン、
「メニューにないものはないよ」。ないはずはない。
オレには食わせられないのか? 仕方なく店を出る。

時刻はまだ二時前。
九月の陽光が失意と傷心のオレに優しく降り注ぐ。

とぼとぼと駅に向かう道すがら、
韓国家庭料理屋の看板が目にとまった。
「韓国料理」「いらっしゃいませ」と
書かれている下に「●●●」とある。

ハングルの読めるオレだ。
「ポシンタン」と書いてあることぐらいお見通しだ。
やはり、神はおっしゃっている。「ソレ」を食せ、と!

店内に入り、メニューを見ると
「ポシンタン」とはなく「●●●●」とある。
直訳すると「ワンワン鍋」。
かわいいネーミング。でも犬。あぁ…。

焼肉を食べたばかりで満腹だが、
ポシンタン5000円也と生ビールを頼む。
ドキドキすること数分。
ついに「その鍋」はやってきた!

ニラ、ネギ、セリの葉に隠れ、中の様子は窺えない。
テーブルのコンロに火をつけ、さらに煮込む。
ゴマ油に唐辛子の粉をまぶしたタレにつけて
モグモグと食べるのだという。

恐る恐るスプーンを入れる。肉だ!
汁とともにていねいにすくう。思い切って口に入れる。
どこかで食べたことがある風味。

しばし黙考。

あっ、そうだ、ジンギスカンだ、羊の肉だ!
あるフレーズが頭に浮かんだ。

そう、「羊頭狗肉」。

羊の頭を掲げて犬の肉を売った話。
そう、犬と羊は味が似ているのだ。
ナゾのゼラチン質のモノが何なのか、
少し気になったが構わず食べる。
気のせいか、体がカッカしてくる……。

目的を達成し意気揚揚と帰宅する。
でも、ご近所さんが飼っているワンちゃんと
すれ違うときは胸がキュンと痛んだよ。
さて、来月も粋を求めてさまようか!
道は長い……。


本誌的「日韓関係」とは何か?

昔から隣国として密な関係を持つ日本と朝鮮半島。しかし、韓国=焼肉、キムチという貧困なイメージのヤツが多い。が、映画では『シュリ』や『JSA』が大ヒットし、ドラマでは『ファイティングガール』に韓国の人気女優、ユン・ソナが出演。音楽の分野ではエイベックスが韓国ミュージシャンのリリースを続々と手がけ、韓国マンガもこの8月にいっせいに発売された。ジワジワと韓国カルチャー(Kカルチャー)が日本にも進出。2002年W杯の共催でますます盛り上がる両国の関係。戦後補償など問題はあるさ。でも、オレらは新しい時代を考えていこうぜ。


雪之丞華之介●「強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ」。「強さ」という論理と「闘い」という思想。寺山のいいたかったことが、今のヤクルトを見ているとよくわかってきた。哲学かぶれの恋に恋する31才。













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2007年08月10日

粋 第12回 〜はとバスで、東京を散策する!!〜


久々の『粋』です(笑)。
今回のテーマは、はとバスツアー巡り。

改めて読み直して思った。


(「仕事」のフリをしながら、完全な「遊び」だな……)


この回も、かなり楽しかったことを覚えている。

さて、『粋』の残りは、この回を含めて、あと4回。
しばしのご辛抱のほど、よろしくお願いします(笑)。


01.10





第12回

東京だよ、おっかさん、はとバスだよ、おとっつぁん

はとバスで、東京を散策する!!

花の都、大東京。東京に生を受け、東京で暮らすこのオレだが、
東京のすべてを知り尽くしているわけじゃない。
当然、修学旅行で東京を見学したこともないので、
東京タワーも皇居も国会議事堂もきちんと見たことがない。
オレは東京を何もわかっちゃいない、エセ東京人なのだ。
そこで、そんなインチキペテンサギ野郎から脱出するために、
オレは、はとバスで東京再発見を試みることにした。
そしたら、まんまとはとバスの魅力にやられてしまった。
そこで今回のテーマは、はとバスで東京を散策しよう、だ!


見ているだけで楽しい、はとバスのパンフレット

昔、長渕剛が歌ってた。
「死にたいぐらいに憧れた、
東京のバカヤロォォォォォォーが……」と。

「死にたいぐらいに」憧れられる街・東京。
大阪には大阪の、名古屋には名古屋の魅力があるように、
東京には東京の魅力があるはずだ。
でも、灯台下暗しというだろ、
近くにいると見えない、気づかない、わからない。

東京に暮らすオレが考える東京の魅力とは?
で、よくよく考えてみた。オレの知ってる東京って、
酒場と球場といくつかのプロレス会場ぐらいじゃないのか。
そりゃ、答えが出るはずがない。

そうだ、東京を知ろう!

そう思い立ったオレは東京観光ガイドを買ってみた。
すると、地名は知ってるし、
仕事で行ったこともある土地なのに、
そこの名所、名物、名産何も知らなかったりする。

東京を知りたい。
東京再発見予備校があったらすぐにでも入学したい。
そして、東京人偏差値を70位にしたい!

そんな思いを抱いていたオレに
H編集長から命令が下った。

「オイ、雪之丞! 今月の粋は、
はとバスで行け! わかったか!」と。

まさにグッドタイミング。
そうだ、はとバスなら効率よくたくさんの場所を回れる。
しかも、かわいい(かどうかはわからんが)
ガイドさんの解説つきだ! 

さっそくオレはインターネットで「はとバス」を検索。
ホームページにアクセス。
すると、あるわ、あるわ、魅力的なコースのてんこもり。

半日で都内を観光する、昼のコース、夜のコースや
一日コース。一例をあげよう。

「浅草・柴又・とげぬき地蔵(下町門前まちめぐり)」、
「東京湾ぐるり周遊 シーサイドライン」、
「隅田川下りと浅草」、忠臣蔵ゆかりの地を巡る
「講談師と行く 花のお江戸」などなど。

ホームページだけでは物足りず、
すぐに、はとバスの新宿営業所に出向き、パンフをゲット。
ホントに見てるだけで楽しい。

東京タワーや雷門、レインボーブリッジに屋形船、
東京ディズニーランドに東京ドームなど、
なんてことはない風景写真なのに
ドキドキワクワクビンビンしてしまう。

悩みに悩み迷ったあげく、
ついに三つのコースを選び出した。

一つ目ははとバスの大定番、「東京一日(C)」、
二つ目はビール呑み放題の「江戸の風流 屋形船」、
三つ目は外国人のための歌舞伎鑑賞コース
「KABUKI NIGHT」だ。


盛りだくさんすぎて腹いっぱいの東京一日コース

お盆真っ只中の八月のとある月曜日。
「東京一日(C)」コースは
東京駅丸の内口から朝九時半出発。

コース内容は、皇居前広場(40分)
→国会前→迎賓館前→表参道→新宿新都心
→新宿住友ビルにて昼食(60分)→靖国神社
→浅草観音と仲見世散策(50分)→お台場散策(70分)
→東京タワー見物(50分)というもの。

読んでるだけで腹いっぱいになるだろ。
元来、人の都合に合わせるのが嫌いで、
集団行動がイヤでしょうがないオレに
団体旅行は向いていないと思っていたが、
旗を片手に先導するガイドさんのあとを
ゾロゾロと歩くのも修学旅行気分で悪くない。

皇居前、二重橋もいつも車で通るけど、
玉砂利を踏みしめたのは初めてだった。
国会図書館には何度も足を運んでいるのに、
議事堂は初めて。
建設に17年の歳月がかかったなんて、
かわいいガイドさんの解説つき。

新宿住友ビル51Fのレストランで
ビールを呑みながらみる眺望もなかなかだった。

小泉首相が参拝した日に靖国神社を見たし、
以前の『粋』で行った浅草にも行った。
でも、お台場ではフジテレビの大混雑を尻目に
お台場海岸でのんびり過ごす。

しかし、お台場はいただけない。
インチキ度満点の自由の女神や
切符を買うのに大渋滞のゆりかもめ。
入場料をとって自社を観光地化するフジテレビ。
何だかすべてがいけすかねぇ。まぁ、いいや。

そして最後は東京タワー。
のんびり眼下に広がる東京全域を見、
蝋人形館で、全然似てない長嶋茂雄や
拷問に苦しむ人形も見た。

解散は午後五時半。ある意味、八時間の強行軍。
肉体的に疲れたけど、この日はまだまだ終わらない……。


お楽しみはこれからだ、の夜の風流、屋形船

午後五時半に東京駅丸の内口で解散した
「東京一日(C)」コース。
しかし、旅はまだまだ終わらない。

そのまま午後六時四十分から、
「江戸の風流屋形船」コースに突入だ。

この連載をやっていていつも思うのだが、
何事も過剰でおさえることができない性癖があるオレだが、
一日に二つのコースを体験することがはたして粋なのか、
疑問は残るがまぁいい。とにかく屋形船だ。

バスは東京駅を出発し、門前仲町から
ほど近い乗り場から船は出る。
人気コースだけあって、100人ほど入る船内はほぼ満席。

テーブルにはすでに刺身や串焼きなどが
セッティングされている。ガイドさんに案内され、
イラストのMさんとともにとなりの席の人にごあいさつ。

池袋在住の50代夫婦とアメリカから
一時帰宅している男女一組
(夫婦かどうか定かではない。たぶん理由アリ)と
オレたち2人の6人でひとつの席を囲む。

お互い自己紹介したりなんかして時間が過ぎる。
ビールは呑み放題。遠慮なくいただく。
昼にはいけすかねぇ、と思えたお台場も夜は静かでいい感じ。

と、船の先頭で何やらひと悶着。
何事かと見ていると、ビデオ撮影に夢中の老人が危ないからと、
ガイドさんに止められている。
制止を振り切るジイサン。
らちがあかないとガイドさんも引き下がる。
で、そのスキをついて近づいてみる。

「ずいぶん熱心ですね」というオレの問いには無言。
左手に見えるフジテレビ本社の夜景を撮影中。

「どっから来たんですか?」「山口県」。
「ご職業は?」「農業」。
「お年は?」「78」。全部一問一答。

でも「写真を撮ってもいいですか?」と聞くと、
「うん」と言って、Vサイン。
撮影好きのジイサンだった。


そして最後は初体験の「KABUKI」なのだ!

一日中、東京を巡り、夜の屋形船でしこたま呑んだオレは
疲れと酔いで、死んだように爆睡した。

そして迎えた翌々日、はとバス巡り第三のコース
「KABUKI NIGHT」に挑んだ。

このコースは外国から来た観光客や
留学生向けのコースで、ガイドさんも英語で案内する。

で、日本文化を伝えるべく
歌舞伎や秋葉原(!)を回ったりする。
この日の参加者はインド系、ヨーロッパ系など全15名。

オレの目論見としては、参加者達と国際交流をしたいと
思っていたのだが、すぐに食事、そして歌舞伎座へ、
というものだった。
歌舞伎座でもみんなと離れ離れで、
しかも現地解散だったので、まったく
客同士のコミュニケーションが取れぬまま終わってしまった。
ちょっと拍子抜け。ガッカリだ。

でも、初体験の歌舞伎はなかなかよかった。
以前からこの連載で取り上げようと思いつつ、
二の足を踏んでいたのだが、
一流のエンターテインメントとして
伝統と新しいものとが見事にマッチしていた。
なかなかいいものを見た満足感でいっぱいだった。

が、歌舞伎を語るのはまた別の機会に譲るとして、
今回、早足で、はとバスツアーに参加して思ったことを書く。

屋形船の帰り際、例の、撮影好きの
パパラッチジイサンがいった言葉が忘れられない。

「東京っていい街だね」

御意。まさに御意にござる。

オレも酔った頭で「東京って楽しいな」と考えていた。
山口から来た農業従事の78才のジイサンから、
31の野球好きのインチキライターのオレ、
渋谷のギャル、表参道のオシャレさん、
おそらく新宿のホームレスまでも魅了する街、東京。

東京はいい街だ。「住めば都」の言葉じゃないが、
自分の生まれた街や住む街は
すべからく「いい街」だ。愛せよ、己の街を。

自分の街を心から愛せるようになった今回、
久々の充実感あふれるクエストだった。
さて、次は何をテーマに「粋」を探してみるか、
探求の旅は続く。



はとバスとは何か?

「内外人を対象トシテ、内は国内観光ニ新時代的ニシテ快適ナサービスヲ供スル(中略)、外ハ国際観光客ニ対シテ本事業ヲ通ジテ、新生平和日本ノ真ノ姿ヲ紹介…」と崇高な理念を掲げて1948年に蠅呂肇丱垢魯好拭璽函0文紂東京の多様な側面をさまざまなコースを案内し人気を博す。当初の理念通り、外国人観光客用のコースも充実。乗り場も東京駅、新宿駅、上野、浜松、有楽町など多数。現在、定期観光のコースも100前後あり大充実。年間の利用者数は625091人(2000年度)と東京在住者、地方の人、外国人を幅広くサービスを提供している。


今月のひとこと

何だかんだで楽しかった8月
今月は、屋形船で一杯呑み、歌舞伎を初めて見たのに加え、ディズニーシーに3回行き、神宮でヤクルト戦を観戦し、K−1JAPANでは猪木軍を応援し、つかこうへい渾身の芝居「新・飛龍伝」に感動した。甲子園決勝戦も見たし、夜通しのクラビングなど大充実の一ヶ月だった。こんなに楽しい毎日だと時の経つのも忘れてしまう。いゃあ、幸せな毎日に感謝。でも、楽しい時間の中にもいろいろ悩むこともある。あぁ生きるって大変なのね。では。


雪之丞華之介●ヤクルトの優勝が現実味を帯びてきた。幼少期からの大ヒーロー、若松監督の雄姿を拝むことはできるのか? 恋に恋する31才。








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2007年07月26日

粋 第11回 〜ただひたすらに銭湯につかる!!〜


さて、そろそろ『粋』が恋しくなってきませんか(笑)?
賛否両論あっても、全15回です。
残りあと5回だけです。
否定派のみなさん、あと少しの辛抱です。

……ということで、今回も『粋』の強行採決。

今回は「銭湯」がテーマ。
読み返してみていろいろ思い出したけど、
確かにこの月は、毎日数軒の銭湯に通いつめた。

本文に登場する「イソギンチャク」は
いまだに、僕にとっての衝撃映像だ。

この月は、いつも湯上り状態で、お肌ツルツルだった。
で、おいしいビールをたらふく呑んだ。
暑い夏のことだっただけに、とても幸せな時間だった。


01.09




第11回

汗かいて、風呂入って、うまいビールを呑む

ただひたすらに銭湯につかる!!

暑い暑い暑い暑い暑い暑いホット暑い暑い暑い暑い暑い!
なぜにこんな暑いのか? 汗ダクダクダクの毎日だ。
こんなときは熱い風呂に入ってビールでも呑むに限る。
そこで、今回の粋は、現代に残された数少ない
町の社交場、銭湯にスポットを当ててみる。
鼻歌でも歌いながらゆっくり風呂につかってみよう。
うまいビールの最高のつまみ、汗と風呂。
いい汗かいて、それをさっぱり洗い流そう!
内風呂全盛のこのご時世。銭湯に粋はあるのか?


消えた銭湯。突然の「現実」に寂寥感を味わう

風呂上りのビールを呑みながら、
今、この原稿を書いている。

体温並みの暑さが続く毎日。読者諸君、
夏バテなんかしてないだろうな。
オレはすっかりバテバテだ。

食欲、性欲ともになく、暑さと多忙とで
睡眠欲まで奪われてしまっている毎日。
でも、B欲だけは相変わらずだ。
B欲、中国人はそれを「麦欲」と呼ぶ。
そう、決して失われることのない「ビール欲」。

毎日、毎日、これでもか、
というほどうまいビールを呑んでいる。
いゃあ、いい季節になりましたな、ご同輩!
と社交辞令もそこそこに本文を進める。

うまいビールの二大条件として、
スポーツ後のビール、風呂上りのビールがある。
で、最近草野球にハマっているオレは、
汗をかいたあとさらにうまいビールを呑むために、
町の銭湯を探索することにした。

まずは、ある雑誌に載っていたオススメの
銭湯に行ってみることにした。
住所を頼りに、高円寺の町並みを歩く。
駅前の喧騒を抜け、住宅街を練り歩く。
夏の日差しがキツイが、この汗を洗い流し、
体内のありとあらゆる水気を抜く。
そして、本当にうまいビールを呑むのだ。
その一念でひたすら歩く。

もう少しで煙突が見えるはずだ、
そう思い、さらに、ひたすら歩く。
しかし……、歩けども歩けども、煙突は見えない。

すると、突然、視界が開ける。
そこは、ただ荒涼たる空き地が広がるだけ。
そう、廃業していたのだ。

あぁ、何てこったい! 
いきなり現実をつきつけられたよ。
やっぱり、銭湯は時代に取り残された、
過去の遺物なのか?

立ち入り禁止の柵を乗り越え、中に入る。

廃墟の中には、所々にタイルの破片があったり、
カランのカケラが落ちていたり、
溶けかけたケロリンの洗面器があったり……。

いきなり、寂しい気持ちに襲われた。
一緒に行ったイラストレーターのM氏とともに
無言でそこを後にした。

その後、トボトボと歩きつづけ、気がつくと荻窪。
そのとき、閑静な住宅街に聳え立つ煙突を見つけた。

本当に心から救われた気分だった。
二人で湯船につかる。
備長炭の軟水風呂が異常に気持ちいい。
きっと風呂上りのビールはうまいに違いない。
さぁ、前途多難のスタートだ。


肛門はそこまで進化するものなのか……

中野は沼袋。オレが学生時代に住んでいた街。
この駅前にある「一の湯」。
ここは、岩風呂が有名な銭湯だ。
学生時代に何度か利用した、
この風呂に久しぶりに足を運んだ。

日曜日の午後4時。オープンと同時に入る。
オレは岩風呂に直行する。先客はすでに3人。
萱葺き屋根から差し込む強い日差しの中、
のんびりと湯につかる。岩に腰掛け半身浴。
肩までつかり天井を見上げる。
そして、目をつぶり自分の半生に思いをはせる……。

「ウ〜。ウゥゥゥ……。アッ、ウ〜」

先ほどからうめき声をあげている
オッサンのせいで思考が中断された。

よく見るとそのオッサン、
相撲でいう蹲踞のポーズで湯につかっている。
そして、上半身は姿勢を正したまま、
上下に体を動かしている。

何をしている、オッサンよ?

そんなオレの「?」が通じたのか、
オッサンは申しわけなさそうにオレに言う。

「ごめんな、痔なんだよ」

痔だと蹲踞なのか?
よくわからないまま、あっそうですか、
とお追従するオレ。

「じゃ、お先に」

前も隠さず、堂々とオレの横を通り過ぎ、
岩をまたいで浴槽を出るオッサン。

そこで、オレは壮絶なモノを
目の当たりにするとともに、
オッサンの不可解な動きの謎も解けた。

オッサンのお尻にイソギンチャクがついていたのだ。
桃屋の「ごはんですよ」のフタ大の
直径のイソギンチャク。
いや、イソギンチャクと化した肛門。
手術すればいいのに。人ごとながら心からそう思った。
あれじゃあ、座ることは不可能だ。
そりゃ、蹲踞しかないだろ。

しかし、同じ湯船に入っていたと思うと、
ちょっと複雑な心境だ。


銭湯には幼女も業界人もロッカーもいた!

今回の取材に当たって、オレは東京都公衆浴場組合
発行の「共通入浴券」を買った。10枚で3800円。
一回当たり20円の割引回数券。

一日、4軒、銭湯を回ったりもしたが、
最後は湯あたりして、鼻血が出た。

神楽坂、新宿、中野、すべてなじみの呑み屋に
近い銭湯を選んで行った。
ひとっ風呂浴びてのビールはどれも格別だった。

しかし、神保町の「梅の湯」だけはちょっと、
イヤ、かなり緊張した。5才程度の幼女が
ジイサンに連れられ入っていたのだった。

ちなみに、都の条例では10才以上の混浴が禁止されている。

で、その女の子が異常にオレになつく。
髪を洗っていると首筋に熱い視線を感じる。
その子がオレの真後ろでじっと見つめているのだ。
体を洗っていると石鹸を取ってくれる。
下手したら「お背中でも流しましょうか?」と
いいかねない雰囲気だ。

いくら体を洗おうとも、心が汚れきったオレには、
その全裸の幼女はまぶしすぎた。
その趣味があるヤツにはたまらない
シチュエーションだろうが、
あいにくオレにはその気はない。辛い辛い30分だった。

青山のド真ん中にある「清水湯」。
ここはなかなかいいあんばいだった。
最先端業界人風の男もシワシワ老人も金髪ロッカーも
みんなひとつの湯に入る。
彼らから見たらオレはどう見えるのか?
なんてことを考えつつボンヤリと過ごす。

脱衣場のぶら下がり健康器に意味もなくぶら下がる。
カラカラの体でますますいいあんばいで、
すぐ近くのなじみのバーに入る。
気分が高揚しているので、マスターに話し掛ける。

「今、そこの風呂に入ってきたんだ」。

すると、「結構いらっしゃるんですよ」とのこと。
考えることはみんな同じなのねん。


そして、ついにウワサの風呂会に参加する!

「風呂会」という存在を知ったのは、
知り合いのカメラマンからの情報だった。

都内のいい感じの銭湯に出向き、
みんなでひとっ風呂浴び、
地元のこれまたいい感じの呑み屋でみんなで一杯やる会。

まさに、今回の「粋」とピッタリではないか。
オレは俄然、この会に興味を持った。

ぜひぜひ、参加したい!

で、件のカメラマンに頼んで、
無理やり参加させてもらうことにした。

当日、田端駅に集合。
さっそく、風呂会会長と副会長にごあいさつ。
会の趣旨や歴史を聞きながら、
メンバーがそろうのを待つ。

やがて、副会長の友人だという、
マダガスカル人男女などを含め、計9名が集合。
みんなで、「梅の湯」を目ざす。

途中、ブラブラ商店街を冷やかしながら
銭湯に到着、さっそく入浴。

しかし、不思議な感じだ。
出会って20分も立っていない、
初対面同士がいきなり全裸で風呂に入っている。

しかも、マダガスカルから来たという彼は、
日本語がしゃべれない。
お互い片言の英語でコミュニケーションを図る。
不思議な感じ。

マダガスカルのカメレオンの話などしながら
漢方風呂に入る。彼はどうやら、熱い湯が苦手なようだ。
副会長は念入りに体を洗っている。

イラストのM氏はちょっと湯あたりしているようだ。
オレは頭の中にビールのイメージが浮かんでは消える。
あぁ、呑みたい呑みたいビールが呑みたい、
と唱え、湯を出る。

上気した顔のみんなと都営荒川線「小台駅」から
王子に向かい、駅裏のいい感じの大衆酒場に入る。
タン、レバ、ミノ、モツなど「ホルモン感」
あふれるメニューもイメージ通り。

さっそく、みんなで乾杯!
つい一時間ほど前に出会った9人が、
いっしょに風呂に入って、酒を呑む。
こういう濃密な人間関係もいいもんだ。
人づき合いが苦手な
半ヒッキーなオレでも素直にそう思えた。

みんなのいい呑みっぷりにつられて
オレのピッチも早くなる。
あぁ、やっぱりうまいビールはうまい。
さぁ、夜は長いぞ。来月も頑張ろう!



銭湯とは何か?

聖徳太子が広めた仏教では、仏に仕えるには汚れを落とすことが大事と説いた。そこで、平安時代にはすでに銭湯の原型といえるものが出現する。その後、鎌倉、室町時代を経て、江戸時代には庶民の社交場として銭湯が定着する。ちなみに当時は混浴だった。全国浴場組合に加盟しているのは平成13年3 月現在6325軒。入浴料金は、東京、神奈川の400円を最高に、沖縄の200円までさまざま。東京都では昭和43年の2687軒をピークに平成12年度には約1300軒程度に減っている。現在は、年間400軒のペースで廃業しているという。



今月のひとこと

嗚呼素晴らしき、草野球!
最近ホントにビールがうまい。というのも、草野球と銭湯にハマっているからだ。試合がない日でも新宿のバッティングセンターに出向き、鍛錬を怠らない。で、死ぬほど汗をかき、フラフラになって銭湯に飛び込む。ここでも、一滴も水分を補給しない。ガマンにガマンを重ねて呑むビールのうまいこと。これはもう筆舌に尽くしがたい。このうまさをきちんと描写できるようになったとき、オレは一流の物書きになるのだと思う。なんてな。


雪之丞華之介●スカパー!に加入した。そのチャンネル数の多さにとまどいつつも「代ゼミチャンネル」で日本史の勉強をしようかと考えている、あの娘に夢中な31才。





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2007年07月15日

粋 第10回 〜平日の百貨店の屋上を散策する!!〜


先ほど、明日から、仙台に行くと書いた。

……気がついたら、「仙台 温泉」で
検索している自分がいた(笑)。

調べてみたら、仙台市内から30分前後で、
秋保温泉とか、作並温泉がある。

それを見ていたら、無性に「温泉とスナック」
に対する思いが強くなってしまった(笑)。

前回の熊本の玉名温泉のときのような、
いい出会いがあるかはわからないけど、
僕の頭は今、「温泉とスナック」でいっぱい(笑)。


ということで、明日は当ブログのアップはないかも?
それに、当ブログをご覧のみなさんだって、
せっかくの連休なんだし、時間の余裕もあるだろうから、
という、都合のいい言い訳を見つけたので、
『粋』をアップすることにした(笑)。

三連休、台風の真っ只中です。
ご自宅で、『粋』をご賞味いただけますでしょうか?


……しかし、この回、
「平日の百貨店の屋上を散策する」って、
誰が思いついたテーマかな?
オレじゃないよな、やっぱりH編集長かな(笑)。

でも、この回は実に楽しく、実に研究熱心で、
都内の百貨店のほぼすべてを網羅した。

……ずいぶんヒマだったのねん(笑)。


01.08






第10回

都会の憩いスポットは今、どうなっているのか?

平日の百貨店の屋上を散策する!!

日常よりも空に近い場所、それが屋上。
百貨店の屋上は子どもにとってのワンダーランド。
そして、疲れたサラリーマンのサボりスポット。
地上30メートルのロマンチック。それが百貨店の屋上。
デパート業界が大不況の今、屋上の現在はどうなのか?
かつての盛況やいかに? そして、そこに粋はあるのか?
はたして、そこにあるのは何なのか?
興味は尽きぬ、謎も尽きぬ!
梅雨の合間をぬって今月のクエストを開始してみよう!



テーマは「理想の屋上で理想の一日を過ごす」!

去年のGW、東京・中野の丸井の屋上で
時間があったので、仮面ライダーショーを見た。

V3、アマゾン、ライダーマン、クウガという、
わけのわからない組み合わせで怪人を倒していた。

いくらショッカー戦闘員がいっぱいいるからって、
4対1で闘うのは卑怯だろ? 
そんな思いを抱きつつ、昼下がりのビールを呑んだ。

そのときの、ショーを見る子どもの熱狂ぶりは
すさまじかった。狂乱、絶叫、失禁、卒倒せんばかり。
この子どもたちにとって、この日の丸井屋上は、
強烈なインパクトがあったに違いない……。

今回のクエストのテーマは、少年たちのワンダーランド、
かつ、疲れたサラリーマンの休憩スポット、
百貨店の屋上をテーマに粋を探る。

今回、新宿、池袋、渋谷、上野、銀座、
日本橋などを中心に20以上もの百貨店を回った。

しかし、時代の流れなのか、
屋上を開放していないデパートも多く、
また、開放していても、ただベンチがあるだけ、
なんて殺風景な所も多かった。

昔のように、遊園地があるようなデパートは、
西武池袋店など、ごくわずかだった。

そごうの例を出すまでもなく、「大型百貨店」
という形態が時代とズレてきているのだろう。
ドン・キホーテ、マツキヨの品ぞろえ、
ヨドバシカメラの安さ、コンビニ、
ネットショッピングや通販の手軽さ、と比べたら、
どうしても「デパート」には魅力がない。

あぁ、これも時代の流れなのねん。
でも「格式」なら百貨店は負けない。
格式だけで商売しようとして
現在の凋落を招いたのは事実だが、
格式が唯一の「武器」であるのは間違いない。

オレは今回「格式」に酔わせてもらおうと思っている。
三越や眦膕阿覆廟里らある百貨店の屋上には
立派な鳥居を持つ神社があったし、
伊勢丹の屋上には創業者の銅像まであった。
歴史のなせる重みがいい感じだ。

ちなみに、この伊勢丹の屋上はかなり気合の入った力作で、
空中庭園のような緑あふれる空間や弁財天を奉った神社、
銅像、遊具、ペットショップなどかなり充実していた。

オシャレでもないし、きれいでもない。
でも、昔ながらの「いい感じの百貨店の屋上、
理想の屋上で理想の一日を過ごす」これがテーマだ。


マイ・キング・オブ・屋上は「浅草松屋」だ!

新宿の京王デパートのビアガーデンで、
自信なさげなマジシャンのショーを見ながらビールを呑む。

オレは、この日までにまわった百貨店の屋上を
思い出しながら、「理想の屋上」を改めて考えてみた。

〇劼匹睛僂梁膩人袈颪ある、
疲れた大人のための休憩スポットが充実、
イベントスペースつき、
ぅ撻奪版箴譴函
ゥ好淵奪売場がある、
μ襪魯咼▲ーデンになる。
以上の六項目を独断で決めた。

で、オレにとっての「キング・オブ・屋上」は
「浅草松屋の屋上」だ。

.肇薀鵐櫂螢鵑鮖呂瓩箸垢襯▲好譽船奪施設もあるし、
今回10数年ぶりに挑戦した「ワニワニパニック」
(知ってるか? ひたすらワニを叩くゲームだ)の
ようなコインゲームも大充実だった。
隅田川を眼下に眺められる絶好のロケーション。
小ぶりながら小さなステージがある。
ざ盖すくいや鯉釣りができるペットショップがある。
ゥレーライス、焼きそばも常時食べられる売店がある。
Ε后璽僉璽疋薀い離咼▲ーデン完備。

さぁ、完璧だろ!
しかも、最大の決め手は「浅草」ならではの、

Гいご兇犬離ヤジが多かった!ということに尽きる。

一人、気になるオヤジがいた。
ヴィトンのモノグラム風ボストンバックを持ち、
東スポほかスポーツ紙を小脇に抱え、
白いYシャツに紺のスラックスを小粋に着こなしている。

酒で身を持ち崩したに違いない。
オレにはわかる。同じ酒呑みの香りがする。

ここの「カオ」なのか、掃除のオバサンから
缶コーヒーの差し入れを受けていた。

「このオヤジに会いたい!」。
だから、「浅草松屋」をもう一度、取材する。 


食って呑んで寝て…… そしてあのオヤジは?

梅雨の晴れ間のある平日。
開店と同時に浅草松屋屋上に足を運ぶ。
携帯も時計も自宅に置いてきた。
時刻はまだ十時。

今日は開店から閉店まで、ずっとここにいる!
それがオレの決意表明であり、公約だ!

奥のベンチには例のオヤジがすでに座っている。
今日も、白いYシャツにスラックス。
声をかけたいが、今日一日ずっと過ごす仲だ。
ファーストコンタクトは慎重にいこう。

無人のミニ飛行機に乗ったり、
『ワニワニパニック』で89点を出したりして
時間をつぶすも、まだ11時前。

なかなか時間はつぶせない。
2階の東武東上線浅草駅に下り、
スポーツ新聞を買って屋上に戻る。

新庄故障や、都議選のニュースを読んでるうちに
時刻は午後1時。ちょっと腹が減った。

地下の食品売場にいき、おこわとハンバーグ、
薩摩揚げのセットを購入。
もちろん、ビールも4本買った。
例のオヤジはなぜか、木綿豆腐をパックのまま食べている。

満腹感と心地よさとですぐに睡魔が襲ってきた。
ステージ上で横になってみるもののどうも、寝苦しい。

そこで、5階のアウトドアコーナーで
携帯用の空気枕を購入。
屋上で空気を膨らませていると掃除のオバちゃんに
「若い人は準備がいいね」とほめられた。

で、爆睡。目ざめると午後3時過ぎ。

ちょっと退屈してきたので、
5階の書籍売り場で雑誌を買う。
あわせて1階で買った栗まんじゅうを
「生茶」とともに食す。ステキな昼下がりだ。

あのオヤジは相変わらず、馬券研究に余念がない。
先ほど買ったビールが一本余っている。
これをオヤジにあげよう。

正直、オレも退屈していた。
話し相手がほしかったのだ。


オヤジからのプレゼントと意外な結末に涙する

ためらいつつ、オヤジに声をかける。
近くでみると60代ぐらいか?

オヤジは新聞から視線を外し、
「ごちそうさん。すまないね」
といった。会話はそれだけだが目は笑っている。
やっぱり酒呑みの目だ。もっと話したかったが仕方ない。

オレも5時からのビアガーデンに備えなければ。
でもその前に、5階におり、先ほど予約した
「クイックマッサージ」を30分間受ける。
全身スッキリしたところで、午後4時半。

屋上に戻るとオヤジがオレに駆け寄ってくる。
セカンドコンタクトだ。

「さっきはどうも。コレどうぞ」

さしだされたのは小さなチラシ。
見ると「マンガ喫茶ゲラゲラ」の30分割引券。
真っ黒な爪からのプレゼント。
これがうれしくなくて何がうれしい、感動したっ!

で、そこからはオレの得意分野だ。
年は、住まいは、家族は、前職は、など質問攻めだ。
しかし、オヤジの歯切れは悪い。

年は「おぼえてない」、住まいは「気分によってかわる」、
家族は「捨てた」、前職は「職人」と答えただけ。

逆に「お兄ちゃんこそ、一日中、こんなとこで
ブラブラしてちゃダメだよ」と優しく諭された。

なるほど確かにその通り。
セカンドコンタクト終了。

そして、いよいよ、ビアガーデンも開店。
すでに、サラリーマンの集団が4組ほどいる。
5、6人は座れる円卓にオレは一人で座り、枝豆で呑む。

大きなテーブルにつまみひとつ、というのは寂しい。
気になるオヤジは相変わらず、
隅田川よりの壁際で新聞を読んでいる。
酔っていたオレは決断した。

あのオヤジと呑もう!
さっきの感動のお礼なら、ビールの一杯や二杯安いもんだ。

サードコンタクトスタート。
「いっしょに呑みませんか?」

オヤジの答えに驚いた。

「ごめんな、酒呑めねぇんだ」

聞くと、体調が悪いとかじゃなく、
体質的な問題だそうだ。
見た目は酒豪、実は下戸。
人を見かけで判断してはならない、と知る。

その後、寂しく呑んだ。
気づくとオヤジは消えていた。
人生は深く粋は遠い。
あぁ、酔った酔った酔った。また、来月!


今月のひとこと

人生はつじつまがあうものなのか?
たてつづけに知り合いがバーを出した。新宿と高田馬場。どちらもいい感じの店。年明けになじみの店を2軒失ったが、半年後に2軒新規店ができた。何でもそうだが、人生はつじつまが合うようにできてるのでは、そう思わずにはいられない今日この頃。つじつま合わせの人生は悲しいが、泰然自若としてつじつまが合うのはいいのでは? 迷わずいけよ、いけばわかるさ! 結局はココに行きつくんだけどね。以上、今月の多事争論。

雪之丞華之介●ファン歴20数年ながら、ヤクルトの強さがいまだに信じられない懐疑的な男。神宮に足を運びつつ、90年代の強い余韻に浸るのが趣味。恋を夢見る31才。














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2007年07月13日

粋 第9回 〜都電荒川線でぶらり旅をする!!〜


「続ける」ということは、やはり大切なことなのだろう。
最近、『粋』の擁護派の声が、耳に入るようになった(笑)。

ということで、まだまだ続けたい。
目標は7月中に、最終回までの全15回をアップすること。

今回は、都電荒川線でのひとり旅。

この回は、取材したことすらすっかり忘れていた。

ここで書かれている、酒での醜態。
今でも、ハッキリ覚えているぐらい、
本当に情けない失態だった……。

これ以来、こんな恥ずかしいことは
していない(ハズ……)けれど、
本当に情けない思いで書いた原稿だった。

そのせいか、連載中、一番勢いがない
ような気がする……。

さて、本文中に登場する、ねっとり目ヤニのじいさんは、
今も元気でいるのだろうか……?




01.07




第9回

ゆるやかな時の流れを静かに楽しむ

都電荒川線でぶらり旅をする!!

ちんちん電車。その懐かしい響き。
東京最後の都電、荒川線。早稲田から三ノ輪橋まで。
総走行距離12.2キロ、所要時間50分弱の小さな電車。
通勤地獄の対極にある、のほほんとした昼下がりの都電。
ただ、ビールと少しの時間だけあればできる気ままな旅。
五月の風を受け、陽光を浴び、オレはぶらり旅に出た。
ゆっくりと、気ままに悠久の時の流れに身を任せる。
ストレス過多の現在に残ったオアシス。
はたして、都電荒川線に粋はあるのか?



土地土地の空気が最高のつまみ、と改めて悟る

酒は呑んでも呑まれるな。
昔からの格言。しかし、オレは呑まれた。
久々の粗相をしでかした。
財布を、メガネを、カギを、免許証を、
靴を片方なくした。被害総額30万円。

そして最大のダメージ、「自分は酒には呑まれない」、
そんな自信をもなくした。
だから、酒を断ち、毎日、反省の日々を過ごしている。

そんな謹慎処分の中でトライする今回のクエストは
「都電荒川線ぶらり旅」だ。

と、原稿を書き始めようとしたところ、
なかなか筆が進まない。
丸三日シラフで荒川線に乗りつづけ、取材は万全。
書く材料もたくさんある。でも、なかなか書けない。

体調も悪く、鬱気味で何度書いても
湿っぽい文章ばかり。「死とは何か?」なんて
この雑誌には似合わないだろ?

で、今回は休載ということにしてもらおうと、
H編集長に泣きを入れた。

「ちょっと体調が悪くて今月は書けないんですけど……」

弱々しげな声を出して人の同情を
ひくのはオレの得意技だ。

しかし、編集長の答えは、
「呑みが足りないんだろ?」

というシンプルなもの。で、気がついた。
そうだ、確かに謹慎生活がつづくあまり、
オレは酒の感覚、酔いの感覚を忘れていた。

H編集長からは、
「パソコンを持って、各駅で呑んで、荒川線車内で書け!」
という新テーマももらった。

こうしてオレの三日もの長きに渡る断酒生活が終わった。

今回の原稿は正真正銘100%酔っ払って書く!

多少の誤字脱字は当編集部の
優秀な校正の方々にお任せする。
がぜん、ハイ、躁になってきた! 

そして、今、オレは町屋にいる。

午後五時だというのに、20人ほど入る店内は超満員。
しかたなくオレたち3人は店の外に並ぶ。
5月の夕暮れどきはまだ明るく、日が沈むまで、
あと1時間以上はありそうだ。

ようやく店内に通される。

1日中荒川線に揺られていた心地よい疲労の中、
地元在住の酒呑みカメラマンと粋な
イラストレーターと一緒に生ホッピーを酌み交わす。
そして生レバー、生ハツをつまむ。
たっぷり食べて呑んでも一人2000円ほど。
店内は地元の常連ばかりでプロ野球の話を楽しげにしている。
荒川線チックなすべての雰囲気にオレは今、完全に酔っている。


なぜだか「死」が身近にありすぎた一日

鯖ァ妁ぅ〜薀Sb寥ヴ…… 
あっイカン遺憾。文字バケじゃないぞ、
酔ってるだけだ。これからは心して原稿を書く。

さて、つづいては「雑司ヶ谷」に出向き、
園内の案内図を手に、夏目漱石先生の墓参り。
「1000円札がいっぱい手に入りますよう」と
金運向上の願をかける。

ブラブラ数箇所を回りつつ
最後にたどりついたのが終点の「三ノ輪橋」駅の浄閑寺。
ここには近くにある吉原の遊女たちが
眠っている墓がある。

身寄りのないものたちが多く
「投げ込み寺」という別名もある寺だ。

墓石には「生まれては苦界 死しては浄閑寺」
と刻まれている。一畳ほどの大きな墓石をぐるりと回る。
すると側面の空気口からおびただしい数の骨壷が見えた。

寺務所で線香を買い、手を合わせた。
真新しい卒塔婆には「平成十三年四月」とある。
つい最近亡くなった人も埋葬されているのだ。

偶然だが、この日、知人の葬式があった。
喪服を着ていたオレははたから見たら、
最近亡くなった遊女の親族、
もしくは彼氏だと思われたかもしれない。

「王子駅前」駅からタクシーに乗り
東十条で葬式に出る。

その後、終点「早稲田」まで行き、ひとりで鮨をつまむ。

「お葬式ですか?」
この日起こった話をいろいろする。
不謹慎ですが、と前置きして大将がいう。
「あまり近くない方(の葬式)でよかったですね」
なぜだか知らないが、
この日は死に彩られた一日だった。
静かに静かに酔いがまわっていった。


逆ギレジイサン、きっと長生き!

今、「飛鳥山」駅の飛鳥山公園にいる。昼の二時過ぎ。
昼に呑んだ生ビールがほどよく回り始め、
陽気のせいもあって、猛烈に眠くなった。

コンビニでレジャーシートを買い、
日陰の落ち葉の上に寝転ぶ。爆睡だった。
気づくと二時間経っていた。

昼、みんなが仕事をしているときのビールと昼寝は
どうしてこんなに気持ちがいいんだろう。

寝起きでボーッとしながら公園を歩いていると
古ぼけた荒川線が展示してある。
昭和40年代に実際に走っていたものだという。

すると、
「私のようにオンボロだろ?」

老人が近づき声をかけてくる。

「86のジイサンと同じ。ボロボロさ」

余談だが、とかく年を自慢したがる老人がいる。
聞いてもいないのに「明治●年生まれの◎才」
とか言いたがる。

そんな老人には「◎才には見えないですね。
まだまだお若くて…」と言うと、ことのほか喜ぶ。

だから、そう言った。やっぱり喜んだ。
そして一方的な老人の話が始まった。

曰く「荒川線の線路は国電(現JR)よりも狭い」
とか「昔は山手線のように都内を一周していた」とか。

歯がないのでとにかくツバが飛ぶ。
右目にはネットリした緑色の大きな目ヤニがついている。
その姿は、病気の老犬を思い出させる。

そのジイサン、不吉なことを言う。

「私が死ぬ頃には都電も終わりだな」

何の根拠もなくそんなこと言うなよ、
と思いつつリアクションに困るオレ。
また「死」か、とちょっとブルーなオレ。

「そう思うだろ?」

と念を押すジイサン。

「えぇ、そうですね」

と仕方なく言うと、

「何てことを言うんだ! 私はまだまだ元気だ!」

と怒り出す。オイオイ逆ギレだよ。
否定してほしかったのね。


荒川遊園地でまったりのんびり何もない一日

「荒川遊園地前」駅で降り荒川遊園地に行く。
駅からの道すがら
「酒を飲み、寝ころんだりしないようにしましょう」
との立て看板。先日の粗相が蘇り、たちまちブルーになる。

平日のあらかわ遊園(駅名では荒川遊園地となっているが
正式名称は『あらかわ遊園』)はガラガラ。

地元の子連れヤンママの社交場と化し、
どうぶつ広場ではポニーが熱さのためにヘタっている。
隣に流れる隅田川を小さな船が通り過ぎる。

のどかなのどかな休日のような平日。
へびを首に巻いた飼育係のお姉さんが
園内を練り歩くシュールな風景。

園内では生ビールも販売している。
へびを見ながら酒を呑むのは初めての経験。
特別うまくもないが、まずくもない。ビールはビール。

誰もいない観覧車に乗り、眼下の風景を眺める。
小ぶりのジェットコースターに乗り
つかの間の刺激を味わう。

すべてが淡々と静かに流れる時間。
東京とは思えぬ自然あふれる空間。
30過ぎとは思えぬのほほんとした自分。

楽しくもなく辛くもなく切なくもなく悲しくもなく。
ひたすら時間が流れていく。
そう、今日はホントに何もない一日。

こんな時間を過ごしたのはいつ以来だろう。
人生は短い。でも、あせるな、怒るな、あわてるな。
のんびり行こうぜ。日々を生きる、って難しいことだね。

釣り堀に子どもがいる。
小学生のこの男の子、一人で釣り糸をたらしている。
学校はどうしたのだろうか?
親も友達もいないようだ。

ジャイアンツの野球帽をかぶり、
一昔前の小学生らしい格好だ。
この子すでに、二時間ほどこの場にいる。
四時間で250円の彼のぜいたくなのか?
不登校なのか? 鍵っ子なのか?

いろいろ妄想は膨らむがオレはこの子に好感をもった。
いい時間の過ごし方をしているぜ、坊主。

帰りは氷川きよしの「大井おっかけ音次郎」号に
乗り早稲田に向かう。

そして、すべての原稿が終わろうとしている今、
オレは早稲田で鮨を食い、酒を呑んでいる。
わかっちゃいるけどやめられない。
これでいいのだ。クエストはまだまだつづく。


今月のひとこと
平凡な日々反省の毎日
本文中でも書いたが、酒の粗相で反省の日々を過ごしている。今月はウェットな文章でスマン。でも、6月号「男なら酒を愛でよ」の巻頭のポエムを読んで元気づけられた。「たとえ、醜態をさらすことになろうとも、恐れることはない、ただ、呑みつづければいい」とある。いいこと言うな、と思ったら自分が書いたものだった。以上、今月の自画自賛。

雪之丞華之介●カギをなくしたのでこれを機会に絶対にピッキングされないというカギに変えた。みんなに見せびらかすものの何の反応もなく寂しい毎日。恋に恋する31才。




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2007年07月09日

粋 第8回 〜「上野」をただただ散策する!〜


今日、また『粋』を評価してくれる
「美女」のお姉さんに会った。

そのお姉さんが、妹からの伝言をしてくれる。


「私、粋、嫌いじゃないよ、粋……


でも、その美女の妹とは、一度しか会っていない。
でも、ちょっと、調子に乗っちゃった。

しかも、寅さん好きの20代美女。

そうなったら、仕方ない(笑)。
第8回の『粋』なのです。

H編集長、6年前の原稿が、
こうして、20代中盤の
妙齢の美女にも通じています。

よかった、よかった……。
『知床慕情』、万歳! あぁ、式根島!


01.06






第8回

アメ横だけじゃない「北の玄関口」の魅力
「上野」をただただ散策する!

「上野発の夜行列車下りたときから……」に象徴される
ように、上野と言えば「北の玄関口」として名高い。
しかし、東北新幹線や上越新幹線など、もはや東京駅に
その地位を奪われている感は否めない。
読者的には「アメ横」や「ABAB」の上野、
そんなイメージしかないかもしれない。
そこで、今回は、上野にまつわるエトセトラをお贈りする。
ただ、正直に言う。オレも上野ってよくわかんない。
どうしよう。ちょっと、いや、かなり、弱気なスタートだ。


その日、オレは上野で途方に暮れていた……

創業260年、上野蒲焼の名店「伊豆榮」にオレはいる。
六階の個室から見下ろす不忍池。
遠くに見える動物園の辺りは桜が咲き誇っている。

「ふるさとの訛なつかし停車場の
人ごみの中にそを聞きにゆく」

と詠んだのは啄木だったっけか、
ビールを呑みながら、
ふるさとに残した両親に思いを馳せる……。

……なんて全部ウソだ。
オレは相も変わらず「蒲焼はウメェや」と
ビールを呑んでるだけだ。

長い前フリで恐縮だが、今回のテーマは上野。
上野と言っても広うござんす。

アメ横ぐらいしか思い浮かばないオマエらのために
今回はオレ版「上野の歩き方」をお贈りしよう。


さて、伊豆榮の蒲焼をひたすら
頬張りながら今回の作戦を練る。

が、特製松花堂弁当(4000円)が
あまりにもうますぎて考えがまとまらない。
ここは食べる(呑む)ことに専念して、プランは後回し。

そしてプランを練ろうと
京成線乗り場の辺りをフラフラ歩く。

と、3月号で掲載されていた500円ポルノ映画館がある。
よし、暗闇の中、煩悩と闘いつつ、
仕事に励むのもストイックなオレにはお似合いだ、
と入場する。確かに税込み500円だった。

だが、予想に反して場内は立ち見。
通路にまで客が溢れ出している。
ちなみに定員90名の館内。立ち見で50人はいた。
これでは、考えもまとまらない。

オレは『巨乳三姉妹』の巨乳を一度も拝むことなく、
10分程度で外に出た。

映画館のすぐ近くに「下町風俗資料館」がある。
入場料300円を払い、ここで作戦を練ることにする。

この資料館は下町の長屋を模した展示物が並び、
下町の娯楽、子供の遊び、生活道具、
職人道具などに実際に触れることができる。

ここのいいところは実際に部屋にあがれるところだ。
ちゃぶ台のおかれたお茶の間で
あぐらをかきながらアレコレと思案をめぐらす。

すると、ひらめいた。
「そうだ、上野公園に行こう!」
陳腐な結論だと思うか? 思いたきゃ思え。
人生の真理はシンプルなところにある、
と前も言っただろ。

上野公園なら、人も多いし、動物園もあるし、
ちょうど花見の時期だし、もってこいだ。


トラウマが生まれるとは、こういうことなのだ

上野といえば「上野動物園」。
異論のあるヤツは無視する。

で、平日の昼下がり、ブラリブラリと動物園を目指す。
久々にパンダのお姿でも拝もうじゃないか。

が、その目論見は入場口でもろくも崩れた。
大きな看板には「パンダの展示休止中」とある。
理由は「繁殖のため」だそうだ。仕方ない。

でも、納得いかないのは、行き先がメキシコであること。
本場中国ならまだしも、メキシコに繁殖に行くと知って
「タイの買春ツアー」を思い出したオレは不純な大人なのか?

さらに、合点がいかないのは、その横にある
「レッサーパンダを展示しています」という看板。
レッサーパンダなんて、アライグマみたいなもんだろ。

「パンダ」と名がつけばいいってもんじゃないだろ、
と思ったオレはクレバーな大人だと思う。

まぁいい、久々の動物園を楽しもう。
まず、パンダ園にいるレッサーパンダを見る。
案の定「なぁんだ、パンダいないんだ」という親子連れ
のため息で溢れていた。

3才ぐらいの男の子がパパにたずねる。
「ねぇ、パンダさん、どこに行っちゃったの?」

質問に答える20代と思しきパパの答えは想像を絶していた。

「パンダさんはね、ライオンに食べられちゃったんだよ」

まるで赤ずきんちゃんに真実を明かす、
狼のようなイントネーションだった。

その瞬間、

「ヴォオオオオオオオオオォーン」

と号泣、慟哭の雄叫びを発する3才児。
つづいて、「キェーッッッッッ」と奇声。
まさに、トラウマの発生現場を目の当たりにした瞬間だった。

「何てこと言うの!」と

妻にグーで殴られたのも当然だよ、パパ。


花見に人生をかける男たちの物語

桜も散り始め、葉桜となったある日、
上野公園に出向いた。

昼の一時ということもあり、
まだまだのんびりとした空気が漂っている。

しかし、ビニールシートによる花見の場所とりは
すでに始まっており、
昨夜の残飯をあさるホームレスも
山と積まれたゴミ捨て場を必死に探索している。

公園中央にある噴水広場に
人だかりができているので寄ってみた。

そこには、発動機を持ち込み、
カラオケフルセット
(何とスピーカーは4ウェイシステム!)で
熱唱するオッサンがいた。

ホームレスと見まがうばかりの、
超シンプル衣装に身を包み、
聞いたことのない演歌を歌っている。

すると突然、そのオッサン、

「ダメだダメだダメだダメだ」

とダメだしの4乗で、スイッチをオフにする。

突然の静寂に固唾を飲む観客(単なる野次馬)。

すると、

「すいません、きちんと練習してきますんで、
 今日は勘弁してください」

元より、何も期待していないから、
勘弁も何もないが、そう言われたら
「まぁいいさ、またやり直せばいいよ」
という素直な気持ちになれるから人間の心って不思議だ。

ちょっとした感動を胸に、公園を後に駅の方へ歩を進める。

すると花見の場所とりのビニールシートに人がいる。
きっと新入社員なのだろう。
まだ板につかぬスーツ姿で所在なさげに
あぐらをかいている。
コンビニのビニール袋にはトランプや花札が入っている。

大志を、野心を、希望を抱いて入社したキミに
与えられた初の大役は「花見の場所とり」。
しかし、キミよ嘆くな。落胆するな。卑下するな。
キミの頑張りが、この夜の同僚の感動を呼ぶのだ。
キミの会社員生活に幸多かれ。


ほとんど妄想の世界にオレはいた。

なぜだかメランコリックな春の上野の夕暮れ

カラオケオヤジと場所とり新人のおかげで、
優しい気持ちのまま、駅につく。
小腹がすいたので、
駅前の「じゅらく」で遅いランチを食べる。

店内には期待通り、電車の時間を待つ、
家族連れが多数いる。

オレが通された席の隣には、
60代の老父母とそれを見送る40代の娘の三人連れだ。

山手線が通るたびにガタガタと轟音をあげ
微妙にコップの水面が揺れる店内。
オレは「Aランチ」を食べていた。
ずっと沈黙がつづく隣席。沈黙を破ったのは父親だった。

「お前の結婚式で見た、
 ホテルオークラの庭園はきれいだったね」

「ホントに見事な松の木でしたね、お父さん」

黙ってクリームソーダを飲む娘。

「ユキエもおぼえているかい? あの立派な松の木を」

父親に問われて、静かに答える娘。

「えぇ、おぼえているわよ。
 でも、お父さん、もう15年前のことじゃない」

何てことはない会話だが、
15年前に娘の結婚式でただ一度見た、
一流ホテルの庭園の話を、今、ここで、話す老いた父。
おそらく何度もこの話をしているのだろう。

自分で言うのも変だが、
この日のオレはなぜだか感傷的になっていた。
ビールも呑んでいないのに。
ましてや泣き上戸でもないのに泣けてきた。

「弱気になっちゃだめよ」と
普段からみんなに言われているオレは、
ウルウルきている涙腺を必死になだめた。

なんか辛気臭くなってきた。

場所を変え、アメ横のガード下の大衆酒場に入る。
生は500円、たこブツ200円、
マグロブツ200円を頬張りながら、
今日起こったことを反芻する。

隣のピエールカルダンのキャップをかぶった
オヤジがホントにうまそうにコップ酒をすする。

「粋」とは何か?

答えの出ない問いに思いあぐねていると、
隣のオヤジが叫ぶ。「冷やおかわりね」

時刻はまだ4時。そうだ、いいから呑もう!
呑めばわかるさ、わからなければまた呑むさ。
道は長い。さらなるクエストを続けよう!


今月のひとこと
今日も、ビールはおいしい!
大阪で「吉本新喜劇」を、甲子園でセンバツの決勝戦、常総学院対仙台育英戦を見てきた。東京では、ZERO−ONEの武道館大会を見て、神宮では野球も見た。こんなに楽しくていいのか、という毎日だが悩みもある。それは、新日の今後。この号が出る頃には、福岡ドーム大会は終了しているが、新日はこれからどうなるのだろう。最近の猪木の暴走っぷりは楽しいが、新日もここらで、一矢報いる必要があるだろう。以上、多事争論。


雪之丞華之介●「仕事に追われ、家庭を顧みないのには気をつけたほうがいいよ」と忠告を受けた。が、「家庭に追われ、仕事を顧みない」のが実情の30才。でも、ホントはあと数日で31才。







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2007年07月06日

粋 第7回 〜「野球盤」でひたすら遊ぶ!!〜


賛否両論なく、「否」ばかりなのに、
ここのところ、立て続けに、『粋』をアップしている。

……これには、理由がある。

僕自身が、この文章が好きなのだ(笑)。

ネットで読むには、読みづらいことは
承知だけれど、どうかご辛抱のほどを!


この、第7回は、かつて、男子少年の心を
わしづかみにした「野球盤」がテーマ。

2、3日前の日刊スポーツには、
今度、新たに最新版が発売されると出ていた。

さて、この回は、バカでかい野球盤を持って、
深夜の呑み屋を回って、みんなで遊んだり、
夜中の新宿コマ劇場前の広場で、
見ず知らずの人と遊んだり……。

バカバカしいけど、楽しかったなぁ……。


01.05





第七回
古き良きアナログの時代を考える
「野球盤」でひたすら遊ぶ!!

冬来たりなば、春遠からじ。
春の訪れとともに「球春」、プロ野球シーズンの到来だ!
読売の横暴は今に始まったことじゃないが、また今年も
好き勝手にやるのだろう。まぁ、いい。好きにすればいい。
オレはオレなりに今年も野球を楽しんでやる。
そこで、今回は、古き良き、しかし、今も脈々と続く、
野球ゲームの王様、エポック社の「野球盤」を通じて、
昔のゲームの魅力を探ってみる。ハイテクゲームにはない
アナログの魅力がオマエらを虜にすることだろう。



シーン一 ある日曜日・新宿伊勢丹玩具売場

とある日曜の昼下がり。場所は新宿伊勢丹、玩具売場。
小さい子供を連れた若い夫婦やプレステ2のデモプレイを
食い入るように見ている小学生たちでにぎわっている。

そこにオレは一人で立っている。

ショーケースの一番高い所に聳え立つのは
「フルオート野球盤PRO」。

言わずもがな、だが言ってしまうが、
あの少年の日の憧れの一品、必ずクラスの誰かが持っていた、
エポック社の「野球盤」の最新モデルだ! 

思えば、小学生の頃。
野球盤遊びと言えば、少年のたしなみの一つ、
男の通過儀礼の一つ、放課後の遊びの王様だった。

雨のため外で野球ができない時、
まだ女にも興味がない少年にとって、
野球盤を通じての、プロ野球シミュレーションは
生活の一部であり、人生の大部分だった。

買うか買うまいか。オレは思案していた。
目の前のその一品は、かつてオレが持っていた
それとは異なり、異常に大きな代物だった。

たった一人で、いい年をして、50センチ四方のそのブツに、
魅入られている姿は異様だっただろう。でも、仕方ない。
「野球盤」にはそれだけの魅力があるのだ。

そして、オレは買った。

83年に「ファミリーコンピュータ」が発売されるまで、
少年にとっておもちゃ界のMVPだった
「野球盤」をとことん楽しもう。

「フルオートってどんな機能だろう!」と
ワクワクしている自分に気がついた。

興奮を隠し切れず、編集部に「ブツ」を運ぶ。
校了直前の殺気立った編集部でのんきに包みを開ける。

30代の「おっさん」が多い編集部。
それぞれの少年時代を思い起こしたのか、
吸い寄せられるように「ブツ」に群がり
各々の「オレと野球盤」談義が始まる。

さっそくプレイをしてみる。
????????????????

プレイしているオレも、
それを見ているギャラリーにも「?」が頭を占める。

「何かが違う……」

H編集長がつぶやく。確かに何かが違う。
以前プレイしたときのようなドキドキがない。
トキメキがない。スリルがない。サスペンスがない。
あぁ、ロマンスもない!

これが、大人になるということなのか?
でも、確かに何かが違う。よし、昔の「野球盤」をゲットして
その「何か」の正体を確かめよう。
今回のクエストのテーマが決まった。


シーン二 深夜二時・東京中野/自宅パソコン前

昔の物を探すには、ネットオークションに限る。
4月号の「ネットオークション活用術」を熟読。
そして、検索の結果、「野球盤・デッドストック、美品!」と
「松坂大輔の野球盤」というのにヒット。

初めてのオークションに少々とまどったものの、無事に入札。
数日後、落札。届くのをワクワク待つ。

昭和50年代の野球盤が本当にデッドストックで
残っているのだろうか、松坂の野球盤とは何か?

不安と期待の入り混じった数日間。こんな気持ちも悪くない。

そして、ついに最初の「ブツ」が届いた!

じらされた分、思いは募る。あせるように梱包をほどく。
目の前に現れる「松坂の野球盤」。
しかし、これは直径15センチほどの超小型版。
オレの求めている「ブツ」とは大きく異なる。
パッケージに描かれている松坂の爽やかな笑顔とは裏腹に
オレはちょっとオチた。
思い通りにいかないこともままある、それが人生だ。

そして、さらに数日後。ついに、ブツが届く。

梱包は40センチ四方。オレの描いている野球盤像そのものだ。
恐る恐るダンボールから取り出す。
エアパッキン越しに見える、スタジアムの写真。
そして、「野球盤」の文字。胸の鼓動が高まる。
さあ、いよいよご対面。そして、ご開帳。
ついに現れた「デッドストックの美品」。

「オオーッ!」
一人で声を出す。まさに、美品。
袋はそのまま、すべてが未開封のまま保存されている。
まさに、21世紀の奇跡!
20世紀の「少年文化遺産」がこんなに状態良好で
完全に保存されているとは! 
その瞬間のオレは「神の手」と言われた
考古学教授の発掘瞬間よりもずっと興奮していた。


シーン三 深夜三時・新宿歌舞伎町コマ劇場前

その日、オレは酔っていた。かなりの酩酊状態。
しかし、悪い酔いではない。
むしろ、気持ちのいい酔い方だった。

オレの小脇には東急ハンズの大きな手提げ袋。
中身は、そう、「美品」。
オレはこの日、新宿のなじみの店に数軒出向き、
行く先々で、「深夜の熱闘甲子園新宿予選」を闘ってきた。

オレを含め「遅れてきた高校球児たち」は一様に興奮し、
大声を出し、みな、満足気に家路についた。

オレもそろそろ家に帰るかと、一緒に飲んでいた友人と、
コマ劇場の辺りをフラフラしていたときだった。

時刻は午前三時。
春先とはいえ、まだまだこの時間は冷え込む。
コマ劇広場には人だかりができ、
ウワサの「殴られ屋」(金をもらい、ひたすら殴られ続ける商売)が
ボコボコ殴られている。

オレは友達に言った。
「ここで、もうひと勝負やるか?」
「よし、ちょっと待ってろ!」

言うや否や友人は走り出す。そして3分後。
手にはエビスの缶ビールが二本。さすが、新宿だ。
この時間でも簡単にビールが手に入る。

そして「殴られ屋」の観客たちを尻目に試合を開始した。

ヤツが読売、オレがヤクルト。
先発石井一の乱調がたたって、
初回江藤の3ランなどで5点を先制される。

その裏、工藤の出鼻をくじき、
ペタジーニ、ラミレスの連続タイムリーなどで6点奪取。

1回終了時点で6−5。

ちょうどその時、オヤジに声をかけられた。
「楽しそうだね」。楽しいっすよ。

プレイ再開。すると、続いてホスト風の若いお兄ちゃんが登場。
「懐かしいっすね」。うん、懐かしいだろ。

プレイ再開。さらに、中国人が
「面白そうだね」。うん、面白いよ。

気づくと人だかりができていた。
その夜、野球盤のトリコになった男たちは10数人にのぼった。


ラストシーン 初春午後二時・神宮右翼席

オープン戦が繰り広げられる三月の神宮球場。
ライト席最上段でオレはビールを飲む。
ガラガラの応援席に野球盤を広げながら。
オレは、ぼんやり、ここ数日のことを考える。

「なぜ、最新版はつまらないのか?」
「どうして、あれだけの人数が
年がいもなく無邪気に興奮するのか?」
「プレステ2の劇空間プロ野球はよくできているが、
野球盤の方が魅力的なのはなぜか?」

つらつらと考えているうちに、いくつかのことに気づいた。

最新版の最大のウリ「フルオート」は便利な機能である。
が、投げるのも打つのもフルオートなため、
プレイが単調になる。一方、昔のタイプはいちいち
「投球装置」に球を補填しながらプレイしなければならない。

一球投げては球を戻す。一球打っては球を入れる。
一球、一球に間がある。

その間に「さぁ、次は四番だ!」とか
「アブねぇ。でもこれで、ツーアウト」
なんて会話のやり取りがある。この会話は意外と楽しかった。

あるバーでプレイしたときは、ギャラリーの一人が
「さぁ、ツーアウト満塁。バッターは清原。
ピッチャーロッテの黒木。ふりかぶって第一球を……」なんて、
わざわざ実況中継までしてくれた。
それもやっぱり「間」があればこそだった。

今回、こんなこともあった。
いろいろな人とプレイをしたが、みんなそれぞれの
「ローカルルール」とでも言うべき、独特のルールを持っていた。

例えば、「消える魔球は一イニング3球まで」、
「消える魔球を当てたら無条件でヒット」などなど。

他にも「人形の背中に自分の好きな選手の背番号を書いた」り、
「メンバー表やスコア表を手書きで作ってみた」り、
いろいろな楽しみ方をしていた。
自分たちで好きにアレンジできる、そんなルーズさがいい。

こんな遊び方は、今のゲームにはない楽しみ方だ。
ファミコン直撃世代でもあるオレだが、
かつてこんな遊び方に夢中になっていたことを
すっかり忘れてしまっていた。

粋とは自由の中にあり。
さぁ、来月もさらなる粋を求めるクエストにでるぞ。
グラウンドでは阪神期待の新人、
藤田太陽が苦戦を強いられていた。



今月のひとこと
三沢対小川に大興奮!
今、オレのプロレスリビドーは沸点に達している。3.2「ZERO−ONE」両国大会。メインイベント、それに続く、試合後の乱闘。三沢が小川に突っかかるなんて。三沢、秋山のノア勢、橋本、小川、藤田、さらに新日の永田。その裏に見え隠れする、猪木と長州の影。天国の馬場さんも見守っているはずだ。21世紀早々に勃発した「プロレススターウォーズ」。目を離すな! オレは失禁しても脱糞しても、一秒たりとも見逃さないぞ。


雪之丞華之介●「希望とは愛する二人が考える明日のことを言うのです」。昨日見た、つかこうへいの芝居のセリフ。いいこと言うなぁ。常に希望に溢れる30才。





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2007年07月03日

粋 第6回 〜江戸前鮨をたらふく食らう!

先週、『粋』と題する、6年前のコラムを掲載した。
相変わらず、「文字が多くて読みづらい」という
ご批判ばかり頂戴している……。

でも、唯一、一人だけ「あんなのも書いてたんだね
と優しい声をかけてくれた人がいた(笑)。

「あんなのも」というフレーズに、
僕は嫌味は感じず、むしろ「」を感じた。
だから、今日も掲載する。

読みづらくて、ゴメンナサイ……。


01.04




第6回

職人の技と心をじっくりと味わう!
江戸前鮨をたらふく食らう!

「職人」。いい響きだ。
ちょっとやそっとではビクともしない不動の精神力、
鉄の意志を想起させる、そんな言葉であり、
一つの道を極めた者のみに許される称号だ。
「粋」を極めんと日々悪戦苦闘しているオレたちにとって、
遥か遠い、憧れの道だ。さまざまな世界に職人はいるが、
今回は、江戸前鮨の職人の世界に「粋」を探してみたい。
うまい鮨には理由がある。そのうまさを生み出す職人の
ゴッドハンドの秘密を探る。



漢字講座一 人に良くすると書いて「食」と読む!

3月号の「回転寿司の作法」を読んだ。じっくり読んだ。
「作法」と言っても、週に5食は回転寿司を食すオレだ。
知ってることばかりだろう、と思っていたがさにあらず。

「寿司を一口で食う女はサド」
「かにサラダやツナサラダばかり食う女はヤレル度90パーセント」

などなど、もっと若い時期に知っていれば、
確実にオレの人生も変わっていたことだろう。
こんな大事なこと、『美味しんぼ』には書いてなかった。
もしかすると海原雄山も知らないのかもしれない。
でも、海原珍山は知っているに違いない。

さて、日ごろ、回転寿司にお世話になっている読者諸君。
回転寿司の作法、粋な食べ方は3月号を見てもらうとして、
「寿司」ではなく、「鮨」の作法を極めるべく、
今回のオレは立ち上がる。

クエストのテーマは「江戸前鮨を食らう」だ。

回転寿司の気楽さも捨てがたいし、
最近の回転寿司各店の企業努力は目覚しいものがある。
しかし、大人の世界、粋の世界を極めるためには
回転しない鮨屋を避けて通ることはできまい。
上質を知る者のみが真理に近づけるのだ。

元来、無粋なオレには荷の重いテーマだが、
オマエらにはもっと荷が重いだろうから、
あえてオレが捨て石になる。
さぁ、オレのクエストの成果を踏み台に
オマエらも江戸前の粋を感じられる漢となれ!

日頃、『美味しんぼ』はもちろん、
『将太の寿司』、そして「週刊漫画ゴラク」の
『江戸前の旬』まで、読破している耳年増のこのオレだ。
知識なら負けないが、このコラムはウンチク読み物ではない。

間違っても、「タラバガニとアブラガニの違い」や
「ガリは昔はお手拭き代わりだった」
とか、ワンポイント雑学を自慢気に
とうとうと語るつもりはない。

今回、三件の江戸前鮨を訪ねた。
その三軒の職人の心意気、江戸前の心を伝えるだけだ。
どの店も、職人ならではの心意気で仕事をしていた。
うまいものは人を哲学者にする。

ホントに人生の幸せを噛み締めたり、
生きていることの意味を噛み締めながら鮨を食った。

正直言って、敷居が高い店ばかりだった。
一人でのれんをくぐるのにかなりの勇気がいった。
でも、やるんだよ、食うんだよ。

で、三軒食った。みんな職人だった。
いい仕事をしていた。それを書く。だから読め。
ぐずぐず言うな、読むな、食え!


漢字講座二 魚偏に旨いと書いて「鮨」と読む!

昔の文豪の随筆にしばしば登場する九段下の鮨屋に行った。
文久三年創業の店だ。一人で暖簾をくぐる。
こんなに緊張するのは初めてだ。
いくらかかるか不安だったので、現金で五万円持って入った。

「いらっしゃい!」
威勢のいい掛け声とともにカウンターに案内された。
店内にはすでに3組、7人の客がいた。推定平均年齢57歳。
そこに30の自分が一人カウンターに座る居心地の悪さ。
でも、いい。これも修業だ。
ビールを頼む。飲む。うまい。それだけで十分だ。

常連さんに囲まれて、一人でつまむ。
そうこうするうちに店内は満員になる。
15人ほどがめいめいに飲んでつまんでいる。

会話の内容から、隣の三人は某大手商社の副社長だとわかる。
静かにでも、楽しげに鮨をつまんでいる。
大人の飲み方だ。素直にかっこいいと思う。
オレは一人、誰と話すでもなく、黙々とつまみを食す。

二時間ほどいただろうか。何組か客の出入りがあり、
カウンターはオレを含めて三人になった。

親方が話しかけてくれた。
「雑誌関係の方ですか?」

図星だった。オレは何ひとつ「雑誌関係」の素振りを見せてはいない。
「最初からそうじゃないかな、と思っていたんですよ」
「何でわかったんですか?」
「雰囲気っていうんですか? そういう感じがしましたよ」

親方は沢庵を刻みながら話す。
「人が命をかけて打ち込んでいるものは
そういう雰囲気が出てくるものですよ。
お客さんが雑誌に命をかけてるのが伝わりましたよ」

正直、オレは雑誌に命をかけたことはない。
でも、命をかけて頑張ってみよう、そんな気にさせられた。


漢字講座三 「馬鹿」と言うのは馬と鹿と書く! 

神楽坂のある鮨屋での話。

体調が悪く、風邪気味のオレは
ビールの一杯も飲まずに鮨を食べていた。
鮨屋で酒を飲まないのも無粋なら、
体調不良で味覚もおぼつかないのに
職人の「仕事」を見極めようなどと、いうのもおこがましい。

しかし、ここにはオレよりさらに無粋極まりない、
オッサンがいた。40代後半と思われる、オッサン。
かなりの酩酊状態だった。
部下と思しき若サラリーマン二人と一緒だ。

「うまいね、このコハダ。いゃあ、いい仕事してるよ、大将!」
親方は、複雑な笑顔を浮かべながら、大根を桂むきしている。
「じゃあ、今度は、穴子ちょうだい」

そこで、親方は甘いタレのついたものと
岩塩をまぶしたものをそれぞれ一カンずつ、差し出した。

するとオッサンは「オッ、うまそうだな」と言うや否や、
醤油にドボッと浸し、口に放った。

すると、今まで黙っていた大将が、丁寧に言った。
「これはそのまま召し上がった方がさっぱりいただけますよ」
口をモゴモゴさせていたオッサン、瞬時に表情が変わる。
「好きなんだよ!」

そう言うと、さらに岩塩をまぶしたもう一カンにも
(気のせいか、さっきよりも)醤油を念入りにつけて食べた。

「あぁ、醤油はうまい!」

してやったりの表情で狭い店内に響き渡るように言い放つ。

大将は何も言わずに大根をむいていた。
このオッサン、醤油を食べにきたのか?
「醤油はうまい!」って、鮨屋で言う言葉か?

オレは一人悦に入っているオッサンを横目に、
肩身の狭い思いをしているであろう、
部下の若者二人に心の中で言った。
「恥ずかしい上司を持つと大変だね……」


漢字講座四 米偏に9、10と書いて「粋」と読む!

銀座の昼下がり、午後一時を回ったところ。
先ほどまで大挙して鮨をつまんでいたサラリーマンが
一瞬にして消え、静寂が店内を包んでいた。
オレは1人カウンターでつまむ。ビールを小ビンでやりながら。

客がいなくなったので親方と話しやすい雰囲気となった。
客席の端で修行中の若者が姿勢よく立っている。
「いつから、このお店を?」
60代半ばと思われる親方は、
「まだ10年ですよ」
と真剣な面持ちで言った。
決して愛想はよくないが、不快な印象はない。

「その前は?」
「同じ銀座で修業してました」
「修業は何年くらい?」
「修業時代のことは忘れました」
「忘れた?」
「えぇ……」

次の言葉を待ったが、親方の話はそれで終わった。
ちょっと矢継ぎ早に質問してしまったかな、
と反省しつつ、小ビンのおかわりをもらう。

若者が冷えたビールを注いでくれる。
右手甲に根性焼きの跡がある。

「何年修業すると一人前になるんですか?」
「人それぞれですよ」
「そうですよね」
「…………」

しばしの沈黙。これ以上、質問はやめたほうがいいかもしれない。

すると、どこにいたのか女将が、
静かにお吸い物を出してくれる。
口の中がさっぱりしたところで、会計をすます。

ふくよかな女将が笑顔で言う。
「また、いらして下さいね。親方も決して怖い人じゃないんで……」
オレはカウンターの親方を見る。
すると親方は、深々と頭を下げて、静かに言った。

「まだ私も修行中なんです」
あぁ、生涯学習! 
神楽坂の親方の話を思い出した。
「適当にやれば適当な味しかしなくて、
適当な客しかこなくなる。だから毎日が勝負なんです」

あぁ、生涯修業!
道の長さ、険しさをますます痛感。粋の答えはまだまだ先だ!



今月のひと言
元気があれば、何でもできる!

一ヶ月以上風邪に苦しんでいる。治りかけてはぶり返し、の繰り返しだ。鼻水、頭痛、悪寒、そして中耳炎に歯痛。弱っているときは何をやってもダメだ。猪木が言っていた。「元気があれば何でもできる!」、ホントその通りだ。あぁ、元気になりたい。酒もうまくない。まずいし、飲むとさらに体調も悪くなるので酒を控えていたら、9日間一滴も飲んでない。酒をやめたら、自分が異常につまらない人間になった気がした。あぁ、飲みたい!


雪之丞華之介●高校生以来か? 9日連続断酒なんて。酒を断っても元気にならないんだったら、ひと思いにしこたま飲んじまうか、というテンプテーションと闘う30才。







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2007年06月28日

粋 第5回 〜三本立てで映画を楽しむ!〜

前日のこのブログで、『粋』と題する、
オチャラケコラムを掲載した。

……意外な反響があり、驚いた。

好意的なものばかりではなく、
「長すぎて読みづらい」という声がチラホラ。

でも、嫌がらせの意味も込めて、
本日も掲載します(笑)。

ここに書かれた体験、すっかり忘れていた。
でも、確かに、あの小柄なジイサンに、
僕はかなり感動したのだった……。


01.03




第5回

男の世界を深く濃く味わえ!

三本立てで映画を楽しむ!

「♪風は一人で吹いている、月は一人で照っている♪」
生まれてくるのも一人なら、死に行くときも一人なり。
男の生き方を、迷走しつつも探っていく「粋」第五回は
「三本立てで映画を楽しむ」だ。
「映画は映画館で観るものなんですね」、
とは故淀川長治先生のお言葉。含蓄のある言葉だ。
で、「イャぁ、映画って本当にいいもんですね」は水野晴郎の言葉、
そんなこたぁ、百も承知だ!!!!!!
でも、「シベ超2」が楽しそうなので許す。
今回は、都内に数少ない三本立て映画館に足を運ぼう!



タバコは吸っても携帯はマナーモードだった!

新宿昭和館。
その名を耳にしたことはあるか?
ある一定以上の世代にとってはたまらなく郷愁を覚える映画館らしい。
文太兄ィのヤクザ映画、健さんの任侠映画をとことん上映し、
たとえ、映画産業が斜陽化しようとも、
いつの時代も「漢の映画」を流し続ける「粋」な映画館だという。

ウワサには聞いていたが、オレは「粋」をめざすと
大言を吐きながらも一度も行ったことがなかった。
そんなフニャチン野郎からの脱却をめざして、
とある平日の昼間、新宿は南口の昭和館へ向かう。

本日のラインナップは松田優作主演モノほか、当然の三本立て。
雰囲気のいい、切符売り場のおばちゃんと
もぎりのおばちゃんに好印象を持ちつつ館内に入る。

1階の扉を開けた。
男性率100%。女率0%。
客入りは40%程度か。入り口には
定員471名とあったから、200名弱か?

そんなことはないや、50人程度しかいない。
繰り返すが、全員男だ。
期せずして女人禁制地帯に踏み込んでしまったオレは、
多少後ずさりしつつ、中を探検する。

すると、スクリーンの脇に、「場内禁煙」とある。
ここまでは、よくあること。
つづけて、「喫煙の場合は2万円の罰金」とある。
こんなに具体的な注意書きは初めて見た。

小指欠損率が高いエリア、
そんな当初の思い込みとは違ったが、
でも、決してカタギには見えない微妙な男たち。

くどいが、女の姿はない。館内に響くムード歌謡。
「夜の銀狐」だったっけか?
タイトルはわからないが、聞いたことのある曲だった。

場内が暗転。
映写機がカタカタと音を立て始める。
開始早々のことだった。
オレの三列ほど前に座る、ごま塩角刈りのオヤジが
おもむろにタバコをとりだす。
そして、何の躊躇もなく火をつける。

シュボッ……

ライターの音とともに、真っ赤に燃え上がるタバコの先。
暗闇に浮かぶ「禁煙」の文字。立ち上る紫煙。

そして、さらに、後ろから聞こえる、
「シュボッ」という音。
はるか前方に見える蛍のように光るタバコ。

50人も入っていない映画館で
10人近くがタバコを吸っている、シュールな映画館……。


男はいくつになっても、成長しつづける生き物なんだ!

オレの前の席の、部長風オヤジが挙動不審だった。
ライターの、あるいはマッチの音が館内に響くたび、
いちいち、音の方向に体ごと向き、
タバコを吸っているヤツの顔を確認し、
またスクリーンに向き直る、それの繰り返しだった。

「このオヤジ、よっぽどタバコの煙が嫌いなのか?」
タバコを吸っているオヤジに対して、
あからさまにイヤな顔をし、暗闇の中、
無言でプレッシャーを送っているのだ、とオレは思っていた。

しかし、事実は違った。
オヤジがコートのポケットをゴソゴソまさぐり、
取り出したのは紛れもなくジッポーのライターだった。

この部長風オヤジ、自分も吸いたかったのだ。
で、吸おうか、吸うまいか、悩んでいたのだ。

「タバコは吸いたい。場内は禁煙。
でも、みんな吸ってるじゃないか。
イヤ、みんな吸えば吸ってもいいのか?
みんなが何か盗んだら、
オレもドロボーになってもいいってことはないぞ。
そうだ、人の道は外すな、
これまでもそうやって生きてきたじゃないか。
いや、でも、ここで吸うからこそ、うまそうだしな。
あのオヤジうまそうに吸いやがって。
ああ、オレもあのオヤジのように
がさつな人間だったらよかったのに。
なんて小心者なんだ、オレのバカ!
あぁぁぁぁぁぁぁ……、吸いたい…」

こんな葛藤で苦しんでいたのだ。

そして、決心のときは来た!
オヤジは静かにタバコを取り出す。ハイライトだった。
そして、堂々とスクリーンを見据え、
実に優雅にタバコに火をつけた。

シュボッ!!

部長風オヤジが大きな壁を乗り越えた瞬間だった。
男はいくつになっても成長できるのだ。


ずっとオレの真後ろに立っていたあの男は?

部長風オヤジの成長を目の当たりにし、
いい気分で昭和館を後にする。
目ざすはすぐ近くの「新宿国際名画座」。
ポルノ映画の三本立てだ。

地下に下り、券売機でチケットを買う。
券売機には注意書き。

「ホモ、女装の方お断り」

やっぱりそうなのか……
話は数週間前にさかのぼる。
都内の三本立て映画館の話をしていたときのことだ。
友人曰く、

「新宿の南口にピンク映画館があるじゃん。
そこ行けよ、そこ。そこってハッテン場だし、面白そうだろ」

ホモの人が男をナンパする場だというのだ。
女の裸を見にきて、ホモについて行くヤツなんているのか?
という疑問は残るが、そのことが頭に残っていたので、
ちょっとビビった。友人曰く、館内のいちばん後ろに立ち、
どんなに席が空いていても決して座らず、
獲物を物色するのだという。不安な心持ちのまま、扉を開いた。

普通の映画館と明らかに異なるのが、座席の間隔。
浅く腰掛けて、思いっきり足を伸ばしても前の座席に届かなかった。
これって、チンコをいじりやすくするためなのか?
謎は残るが、答えを確かめる術はない。

1本60分の3本立て。入場料は1800円。
1本当たり、600円。AV借りた方が全然安いな。

映画を見る。

明らかにAVとは違い、決して駅弁も顔射もないが、
激しさを越えたいやらしさが印象的だ。

しかし、それよりも気になるのは
後ろの壁にもたれかかっている男。

もう映画どころではない。
トイレに行きたいのもガマンして観た。
正直言って、あまり覚えていない。
ただ、じっと、その男が過ぎるのを待った。

そして、3本目の途中、トイレをガマンできなくなった
オレは逃げるようにここを後にした。


今月の粋人は寒風の中、30分も立ちつづけていた

数日後、再び新宿昭和館に足を運ぶ。
先日のポルノ映画館の謎は何ひとつ解けていないが
ちょっと勘弁してくれ。貞操を守りたい。

で、また、昭和館だ。
この日は「仁義なき戦い」が上映される。
あの「バトルロワイアル」の深作監督の超代表作だ。

この「仁義」シリーズのときは盛況で
映画に合わせて昭和館内に掛け声まで
とぶらしいというウワサを聞いた。その熱さを感じたい!

入り口で時間を見るとあと30分ある。
初めから見たかったので、
近くの茶店で時間を潰すことにした。

で、待つこと20分。再び昭和館へ。
先ほど、オレが開始時間をチェックしているときに、
外の看板を丹念に眺めているジイサンがいたのだが、
そのジイサン、まだそこにいる。

次週上映、次々週上映のポスターまで
じっくりと執拗に見つめている。

「映画、好きなんですか?」
「はい」

ジイサンは人のよさそうな笑顔で答えた。
身長は150センチ程度しかなく、
きっと戦争時代、体が悪くて徴兵を免れている、
そんな弱々しい印象のジイサンだった。

「やっぱり、仁義なきシリーズが好きなんですか?」
「“仁義”もいいね。広能(注・主人公の名)は男だね。
でも、“健さん”もいいし、“力くん”もいいよな」

「力くん?」
「これこれ」

ジイサンが指し示したのは、Vシネマの帝王「竹内力」だった。
このジイサン、なかなかやる。
もっと話をしたかったのだが、もう「仁義」が始まる時間だ。
開始を告げるブザーがけたたましく鳴っている。

「もう、始まりますよ。入ったほうがいいんじゃないですか?」
次のひと言にオレはビビった。
「いいよ。もう何度も見てるから」

しかし、ジイサン。
あんた、何度も見て、改めて見直す必要がない映画のポスターを
少なくとも30分は寒風の中、見ているじゃないか?

オレは後ろ髪引かれる思いで館内に入った。
上映終了後ジイサンの姿はなかった。
粋の道は長い。さらに精進せねば!



今月のひと言
来年の成人式の話をしたい!
いきなり本題に入る。あえて、来年の話をする。2002年、新成人を迎える読者に言いたい。イヤなら成人式には行くな。成人式は決して楽しいものじゃないし、強制参加でもない。でも、あえて成人式に行くのならば、そこでこそ、「粋人」の心意気を見せろ。つまらないものでもじっと耐える。オンとオフ、ハレとケ。その場の雰囲気をつかめる大人になれ。それがリアル粋人というものだ。橋本知事、あんたは粋人だ!


雪之丞華之介●新日にはもはや「ストロングスタイル」はないのか? 新年早々、大問題をつきつけられてしまって、悶々とする30才。






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2007年06月26日

粋 第4回 〜「江戸」が息づく、浅草を散策する〜

修理に出していたパソコンが戻ってきた。
改めて、原稿などのデータを移し替える。


……古い原稿が出てきた。


僕がまだ、編集者時代に書いていた連載原稿。

タイトルは『粋』

ペンネームは、学生時代から使っていた、雪之丞華之介


当時担当していた若者向け雑誌(10代から20代前半男子)で、
30歳を迎えた僕が、「威張り散らしつつ、無粋な自分を変えていく」
というコンセプトで始まったこの連載。

人称は「僕」ではなく、「オレ」。

自分はこんな文章を書いていたんだな、と
新鮮な気持ちを抱いたものの、
何のことはない、このブログはまんまこの文体だった。


当時のH編集長の発案で始まり、
その後も、「ただH編集長だけが喜んでくれるから」
という理由だけで、実に1年半ほど書き続けた。

連載すべては残っていないけれど、
その一部は残っていたので、ここに採録したい。
(文章、長くてゴメンナサイ・笑)


01.02




第4回

「東京」じゃ、ねえぞ、「江戸」だ、「江戸」!

「江戸」が息づく、浅草を散策する

「粋」を目ざして日々精進しているつもりのオレだが、
道はまだまだ長く険しい。オマエたちも頑張っているか?
さて、リアルシティボーイを目ざすためには、
まがい物じゃない、本当の東京を知らねばならない。
そこで、今回の「粋」は、華のお江戸は大東京、
粋な男は浅草をめざす! ということで浅草探訪だ。
正直言って、オレは浅草をよく知らない。
が、あの偉大なるレスラー「三沢光晴」も愛する街、
浅草を極める旅に一緒に出かけようじゃないか!!!



食って呑んで落語見て。編集長ゴメンナサイ!

東京に憧れ、東京を極めようと頑張っている読者諸君。
シティボーイを気取るのはいいが、真の伊達者、
リアルシティボーイをめざすなら、まずは、浅草を極めよ!
これはアドバイスではない! 命令だ! 

「浅草こそ江戸の華」
「江戸の心は粋にあり」

この格言を知ってるか? 知らないだろ。オレが今、作った言葉だ。
江戸時代、江戸の男たちは、そろって、粋を極めようとしていた。
そんな男たちのスピリットを今こそ、見直せ!
今の、東京でもっとも「江戸」を感じさせる街、それは浅草だ。

昔、カブキロックス(知ってるか?)が
ジュリーの名曲『TOKIO』をカバーした『OEDO(お江戸)』は、
いただけなかったが、そんなことは関係ない。

とにかく、華のお江戸を極めるために、
今回は「粋」を求めて浅草をさまよう。

まずは浅草寺を参拝。基本だ。厳かな気持ちでスタートだ。

そして、景気づけに一杯。創業明治13年。神谷バー。
客席はかなり埋まっていた。午前中だったが、
みんな「デンキブラン」を呑んでいる。
明治初期、西洋の洒落たものを「電気○○」と呼ぶ習慣があったころ
のなごりで、ブランデーベースのカクテルだ。価格は260円。

初めて飲んだが、安くて呑みやすい。
アルコール度は30度とちょっと強い。
で、気づくとみんなデンキブランとビールを一緒に呑んでいる。
どうやら、これが通の呑み方らしい。勉強になった。

で、前々回のこの連載でも行った「浅草演芸ホール」落語を見る。
平日だったが、客入りはまずまず、さすが笑いのメッカ浅草だ。
ビールを呑みながら、見るのもオツなもんだ、のり巻きもうまかった。

このままでは、取材にならないと、焦りつつ、
午後八時ホールを途中で後にした。

そして、向かったのは、牛鍋の専門店、「米久本店」。
「すき焼き」と呼ばずに「牛鍋」と呼ぶのもいい感じ。
3800円のちょっと豪勢なディナー。
霜降り和牛の底力を見せつけられた。
こんなにうまくてどうしよう、うれしい悩みだったが、ハプニングがあった。

周りの客がどんどん減り始め、定員も後片付け。21時閉店だったのだ。
ビールと和牛の絶妙のハーモニーを途中で邪魔されたが、
これだけうまけりゃ仕方ないか。よし、神谷バーに戻って呑み直し。
バーに向かう、閉まってた。
21時30分ラストオーダー。あぁ、夜の早い街、浅草。


修業とは出直しの連続である(猪木の受け売り)

これじゃあ、イカンと、後日浅草に出向いた。
まず、向かったのが浅草が生んだ「世界の北野」こと、
ビートたけしの修業時代に住んでいたアパート。

言問通りをちょっと入った所にある、そのアパート。
聞けば、当時の面影を残したままだという。
あの天才の若かりし修業の日々を思い、気分を新たに取材する。

先日は、ここで、デンキブランを呑んで
いい塩梅になってしまった反省があるので、酒は呑まずに次をめざす。

時間はまだ十二時。昼食を摂る。店は「浅草今半」。
ここで牛丼を食べる。牛丼と言っても、
上場したぐらいで浮かれてる吉野家の牛丼なんかと一緒にするなよ。

ここも、和牛専門店の老舗だ。
一口食べて、吉野家の二百倍、松屋の百倍うまいと、瞬時にわかった。

オレは迷わず、ビールを頼む。

生きてるってすばらしい!
人生で心からそう思える瞬間って、あんまりないと思うが、
その時のオレはまさに、そんな心境だった。

店を後にしてフラフラ浅草寺に向かって仲見世を歩く。
途中、韓国人の観光客集団とすれ違う。
地図を見ながら何やら迷っている。
オレは迷わず近づき、自慢の韓国語で案内をしてやった。

あまり伝わらなかったようだが、
オレのロレツが回っていないのか、相手の耳が悪いのか、
オレの流暢な韓国語はあまり意味をなさなかった。
だが、そんなことはケンチャナヨ。

自分が幸せな気分だと人にも優しくなれる。
仲見世を途中で左に折れて、
六区ブロードウェイに向かってフラフラ歩いた。

目ざすは伝説の遊園地。
ジェットコースターが壊れかけてて怖い、とか平日の客は20人ぐらいだ、
とか数々の都市伝説を持つ花やしきだ!


平日の花やしき。客は12人だった(目測)

さあ、花やしきだ。
江戸時代の嘉永6年(1853年)開園という
150年近い歴史のある遊園地だ。

平日の昼、オレは一人だった。
「一人で遊園地」、寂しいよな。
でも、その寂しさを乗り越えてこそ、真の「粋人」にたどりつけるのだ、
そう信じてゲートをくぐる。

くぐって驚いた。客がいない。誇張じゃない、ホントに誰もいない。
「休みか?」
いや、今、確かにチケットを買って、
受付のお姉さんに半券をもらったばかりだ。休みのはずはない。

不安な心持のまま、園内を歩く。人影が見える。
十代のカップルだった。デートでここに来るとは、
なかなか粋なカップルだ。
少しうれしくなって、オレはアトラクションを次々と制覇していった。

自慢の日本最古のローラーコースターにも乗った。当然、貸切だ。

一人で乗るジェットコースターもいいもんだ、と思ったが、
もし、ここで事故にあったら、

「不幸中の幸い・死者1名 平日でよかった(関係者談)」

なんて、報道されたらどうしよう、と不吉な考えがよぎる。
死ぬのは仕方ないが、「一人で花やしきに来てた」ことを知った
知人はオレのことを何て思うだろう。

コースター好きのオレもさすがに寂しくなった。
こんなにせつないコースターは初めてだ。

すると、オレと入れ違いで、若い男が乗り込んでいく。
その男、年のころ、27、28。ナップザックを肩にかけ、
薄いベージュのジャケットを着ている。

彼も一人だった。しかし、何しろ、狭い園内。
どこに行っても彼に出くわす。
お互い、何となく意識をし始めるのがわかる。

まるで、恋愛の初期症状のようだ。
オレは何となく気まずく、彼を避けるように園内を散策した。


なんと「粋人」はまさに、その男だった!

午後三時。場所はフラワーステージ。
「花やしき一座の仲間たちのゲーム大会」、
観客は一人。舞台には若手芸人が二人。演者の方が多い状況。

もちろん、その観客こそが「彼」だった!
一人でショーを見る、そんな勇気はオレにはない。
オレはステージを見渡せる高台からそのステージと彼を見た。

見る方も辛いだろうが、やる方はもっと辛いはずだ。
もし、「彼」さえいなければ、この公演は中止になったかもしれない。
が、客がいる限りイベントは続けられる。

しかし、強制参加でもないのに、
どうしてそこに平然と座りつづけられる?彼よ。

ジャンケン大会が始まる。

大会も何もあったもんじゃないが、芸人は客席まで降りてきて、
彼と二人でジャンケンを始める。

「ジャンケン、ポン!」

 ステージに残ったコンビの片割れの大声が
スピーカーからむなしく響く。彼が負けた。

 一瞬の静寂。そして、芸人が叫ぶ。

「さあ、次は準決勝!」

????????

今のは準々決勝だったのか?
また、ジャンケンが始まる。彼はまた負けた。

「さぁ、いよいよ決勝戦!」

この行方がどうなるのか、高台で一人、オレはドキドキしていた。

「ジャンケン、ポォンッッ!」

彼が勝った! 安堵する芸人、そしてオレ。

「おめでとうございます!優勝です! さァ、賞品です」

彼は風船をもらい、そして、優勝者インタビュー。

「どうもありがとうございました」

誰に向かってしゃべっているのか? しかも1勝2敗で……。

数十分後園内を後にしようと出口に向かうと彼がいた。
オレはちょっと悩んだが、彼に声をかけた。

「寒いっすね」
「そうっすね」

オレたちに言葉はいらなかった。
彼こそ、「孤独」と立ち向かえる真の勇気ある者、「粋人」だった。
オレもまだまだ甘かった。来月も「粋」を目ざして頑張ろう!



今月のひと言
人は歩みを止めた時に、そして、挑戦をあきらめた時に、年老いていく。時間は短い。真剣に悩んでいることでも、ある人にとってはどうってことねぇ、ことだったりする。あせるな怒るなあわてるな。そんなことを考える今日この頃。2001年を迎え、オマエたちも頑張っているだろう。オレも頑張る、オマエらも頑張れ。それが、メッセージだ。さて、この連載への意見、感想を待つ、迷わず行けよだ。また、来月!


雪之丞華之介●新宿のなじみのバーが立て続けに2軒なくなった。数々の思い出をありがとう、と感傷的になっている30才。今年は新しい店を探す年か?








shozf5 at 13:30|PermalinkComments(1)TrackBack(0)
PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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