2013年01月07日

W杯3連覇への道・その14【第7戦・薄氷の勝利も予選1位通過!】

取材・文/長谷川晶一

カナダ・エドモントン、現地時間17日19時半。第5回女子野球ワールドカップ大会8日目。予選リーグ最終戦となるカナダ戦が行われた。ここまで、カナダは6戦6勝、対する日本は6戦して5勝1敗。この試合前にアメリカがベネズエラに敗れ5勝に終わったため、このカナダ戦に日本が勝利すれば、ともに6勝1敗で並び、当該国間の勝敗により、日本の1位通過が決定する。

すでに予選通過を決めているとはいえ、1位通過すれば、準決勝は4位のオーストラリアと、2位通過ならば、準決勝は3位のアメリカと戦うことに。予選リーグでアメリカに敗れている日本としては、ぜひとも1位通過を果たして、オーストラリアに勝ち、アメリカとカナダの潰し合いを待ちたいところ。

出口・中野
大事なこの試合、先発はアメリカ戦以来となる新宮有依(平成国際大学)。

新宮・カナダ国旗
日本屈指の速球派右腕に期待がかかる。予選2戦目のアメリカ戦、そして予選最終戦のカナダ戦、強豪国相手にいずれも新宮は先発マウンドを託されていた。監督からの信頼は絶大だった。注目のスターティング・メンバーは以下の通り。

1番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・川端友紀(DH・京都アストドリームス)
6番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
7番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
8番・出口彩香(6・尚美学園大学)
9番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
P・新宮有依(平成国際大学)

金曜の夜ということもあって、テラス・フィールドには今大会で最も多くの観客が。後の発表では、この日の観衆は5100名だったという。もちろん、その大半は地元・カナダの応援ばかりだ。久々に本格的なアウェイ状態の中で、日本はどう戦うのだろうか?

定刻より2分遅れて、19時32分、試合が始まる。

前回のアメリカ戦同様、ブルペンでは絶好調だった新宮。しかし、立ち上がりからカナダ打線につかまる。先頭打者にツーベース、2番にライトへ運ばれ、いきなりのピンチ。3番を三振に斬ったものの、4番のファーストゴロで1点を失う。

大会終了後、新宮がこの場面を振り返った。

「今回は、それまで自信を持っていたインコースのストレートを狙い打ちされました。カナダの先頭打者にもいきなりツーベースを打たれて、自分のリズムをつかむことができませんでした。前回は通用したボールが通用しなかったので、“一体、どこに投げたらいいんだろう?”という思いがあって、そういうボールはやっぱり打たれました……」

この回は何とか1点で切り抜けた新宮だったが、アウトになった打球も当たりの鋭いものばかりで、カナダ打線にとらえられていたのは間違いなかった。それでも、世界有数の超強力打線を誇る日本打線は、1回裏、4番・西の2点タイムリー、2回裏には2番・六角、3番・三浦のタイムリーで追加点。

そして、3回には出口のスクイズで、さらに1点。とどめは4回、二死満塁から金の走者一掃ツーベース。中村のセーフティースクイズと、怒涛の攻撃で9得点。4回を終えて、得点は9対1。試合を決めたかに見えた……。

日本ベンチ
それまで慌しかったブルペンも、ようやく落ち着き、明日以降を見据えた調整の場となっていた。

しかし――。

野球とは、目に見えない「流れ」というものを、いかに自軍に引き寄せるかというスポーツ。日本が手にしていたと思えた「流れ」は、知らず知らず、カナダへと傾いていく。ワイルドピッチがからんで2点を失った5回裏。失点を喫した後の大事な5回に日本は三者凡退。続く6回も、いい当たりを放つものの三者凡退。それでも得点は9対3で、最終回を迎える。この時点で、マウンドには吉井萌美(平成国際大学)。新宮、吉井の平成国際大学コンビの継投で、勝利はもう目の前まで来ていた。ブルペンでは、もう誰も投げていない。中島梨紗(侍)はすでに明日に備え、アイシングをしている。

しかし、ここからカナダの怒涛の攻撃が始まる。吉井が連打を許しピンチを迎えると、ここまで2勝の小西美加(大阪ブレイビーハニーズ)にスイッチするものの、小西もカナダの勢いをとめられず、大慌てで、今大会絶好調の里綾実(福知山成美高コーチ)に交代。すでにクールダウンしていた中島は、右肩の氷袋を外し、ブルペンでの投げ込みを始める。

得点は9対7。一死満塁の大ピンチ。長打が出れば、逆転というケース。しかし、ここで里は何とか踏ん張り、ダブルプレーで、日本は薄氷の勝利を収めた。

試合後整列
試合後、新谷博監督(元西武など)は満面の笑みで「疲れた……」とひと言。しかし、その後すぐに表情が引き締まり、

「油断があったとはいわないけど、あそこまでカナダが粘るとは。継投に関しても、常に万全を期さないといけないな。明日からは負けられない戦いが続く。全力で勝ちに行きますよ」

新谷監督

試合終了時点で、すでに22時を回っていた。監督にとっても、選手にとっても長い一日は、こうして終わった。

……さぁ、現地時間18日15時からは準決勝・オーストラリア戦。予選で10対0でコールド勝ちした相手とはいえ油断は禁物。監督の言葉にあるように、全力で勝利を目指してほしいもの。

1位・日本          7試合6勝1敗
2位・カナダ         7試合6勝1敗
3位・アメリカ        7試合5勝2敗
4位・オーストラリア     7試合4勝3敗
5位・チャイニーズ・タイペイ 7試合3勝4敗
6位・ベネズエラ       7試合3勝4敗
7位・キューバ        7試合1勝6敗
8位・オランダ        7試合0勝7敗
(現地時間17日終了時点)

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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