2012年12月29日

W杯3連覇への道・その9【第2戦、まさかの黒星……】

W杯3連覇への道・その9【第2戦、まさかの黒星……】
取材・文/長谷川晶一


新宮・直井

カナダ・エドモントン、現地時間8月12日19時半。テラスフィールドにて、第5回女子野球ワールドカップ、日本チーム第2戦となる対アメリカ戦が行われた。 前日のオランダ戦に快勝し、いい雰囲気で臨んだ試合だった。試合前には、この日19歳の誕生日を迎えた吉井萌美(平成国際大学)の誕生日を日本人スタンド全員で祝福するなど、実に和やかなムードで臨んでいた。

吉井バースデー

しかし、結論から言えば、この日のアメリカ戦は、2対5で敗れる。それは、「わずか3点差」とは言えない、「完敗」というべき試合内容だった。

前日21点を奪った日本打線はわずか2安打に封じ込まれた。それでも、ゲッツー崩れと犠牲フライで2点を奪えたのは、合計で9四死球と制球の定まらないアメリカ投手陣のおかげとしか言いようがなかった。改めて、試合を振り返りたい。

新宮・ブルペン
この日のスターティングメンバーは、

1番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・川端友紀(6・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
6番・新井純子(DH・尚美学園大学)
7番・大山唯(3・尚美学園大学)
8番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
9番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
P・新宮有依(平成国際大学)


アメリカの練習を見つめる
先発の新宮は、決して内容は悪くなかった。ブルペンでは、すべての球種がコントロールよくキャッチャーのミットに納まっている。埼玉栄高校時代にバッテリーを組んでいた直井友紀(侍)も、試合前には「今日の新宮、なかなかいいですよ!」と上気した顔で語っていた。それでも、新宮はなかなかリズムに乗り切れない。

……それは、なぜか?

選手や協会関係者が言えば「言い訳にすぎない」と非難されるから、決して口にはしないが、この日の主審の判定はひどすぎた。言っても仕方のないことかもしれないが、初回の日本の攻撃から、「アレ?」という不可解な判定が続いた。僕の取材ノートには、2回の時点で、

「主審の判定、揺らぎすぎ」

と書かれている。

とにかく、アメリカに有利に有利に判定されていた。アメリカの打者陣が手が出なかった投球がボールになり、一方で日本の打者陣が「ボール」と思った球がストライクになるため、必然的に「追い込まれる前に打とう」と早打ちになる。カナダ人球審に対して、「最大のライバル国、日本不利に判定しているのでは?」という猜疑心が、ついつい芽生えてくる。

しかし、9四死球をもらいながら、2安打しか打てなかったのも事実。「打線は水モノ」というフレーズが、改めて頭に残る。

スコア

また、アメリカの4番・タマラ・ホームズはこれまでの大会で何度も見てきたが、相変わらず超長距離砲で、この日は三塁打が2本、二塁打が1本。38歳で迎えた今大会でも、その破壊力はまだまだ健在だった。もし決勝、もしくは準決勝で再び対決するときのために、「ホームズ対策」が何としてでも必要だった。後に明らかになるが、このときすでに新谷博監督(元西武など)の中には「タマラ対策」があったという。それは、後に触れたい。

新谷監督・試合後
試合後、新谷監督は言った。

「負けたけれど、別に悲壮感を漂わせても仕方がないんで、切り替えるところは切り替えて、明日のキューバ戦に臨みたい」

アンパイアのジャッジについて尋ねると、一瞬表情を曇らせた後、

「平等だったら構わないんだけど、(アメリカ有利に)ちょっと偏っていたかな……」

と、多くを語らない。

この日の唯一の収穫は、新宮をリリーフした里綾実(福知山成美高校コーチ)中島梨紗(侍)が好投を見せたことだった。里はタマラにスリーベースを打たれるなど1失点を喫したものの、前回大会で各国を切りきり舞いさせたスライダーが今大会も通用することが証明されたし、ベテラン・中島は巧みな投球術で老獪なピッチングを披露した。この2人の活躍が、この日の日本にとっての希望だった。

里

試合終了直後、観客席にいた地元の人が、スタンドから大声で、清水稔コーチ(元三菱重工神戸監督)を呼び止める。

地元ファンからの激励
通訳が駆け寄り、話を聞くと、彼の言い分はこうだ。

「あまりにも日本に不利な判定ばかりで腹が立ったので、主催者に文句を言いに行ったけど、受け入れられなかったよ」

この光景を見て、僕は少しだけ溜飲が下がったものの、負けは負け、結果は変わらない。それに、敗戦の理由を審判のせいにしているだけでは、大会史上初の3連覇は成し遂げられるはずもない。

しかし、日本チームに悔しさはあっても悲壮感はない。帰りのバスで席が隣になった金由起子(ホーネッツ・レディース)と、この日のジャッジの話になった。

「海外ではそういうものにも勝たないといけないんですよ」

確かに、金の言うとおりだった。

これで全勝優勝の可能性はなくなったけれど、決勝リーグに進出して、この借りを返せばいい。22時前に試合が終わり、息つくまもなく、翌13日の11時には第3戦・キューバ戦が待っている。これも、「海外で戦うということ」なのだろう。

9連戦の3戦目、対キューバ戦が、まもなく始まる。チーム内に漂い始めたイヤなムードを払拭するにはどうすればいいのか? しかし、新谷の中には「秘策」があった。それは、翌13日の試合前に披露されることとなった――。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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shozf5 at 11:23│ 今日も元気に女子野球! 
PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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