2012年12月23日

W杯3連覇への道・その4【代表争い、29名から24名に!】

W杯3連覇への道・その4【代表争い、29名から24名に!】
取材・文/長谷川晶一

2012.06.23〜24@尚美学園大学

24

5月の合宿に続いて行われた第三次代表合宿。

事前の通達では、この合宿において最終メンバー20名が発表されるということだった。選手たちにとっても、審判の日が訪れようとしていた。過酷な代表争い。故障をするなどは論外で、この日に向けて、みな体調万全で臨んでいた。

もちろん、ここでもプロ5選手が参加。チームプレーに関しては、前回よりもさらに洗練されているようで、傍らで見ていても、大きな破綻や欠点は見られなかった。

懸案のコミュニケーションに関しては、相変わらずプロ5名で固まっているシーンは多かったけれど、志村亜貴子キャプテン(アサヒトラスト)や、副キャプテンの中島梨紗(侍)、片岡安祐美(茨城ゴールデンゴールズ)が、積極的に声掛けしている光景が見られた。

ヴィーナス・リーグ選抜チーム

今回の合宿では、高校生によるヴィーナス・リーグ選抜チームとの練習試合を行った。

これは、「細かい問題点は試合の中でしか見つけることができない」という新谷博監督(元西武など)の考えによるもので、新谷は合宿のたびに紅白戦を行っていた。そこで、その場で言うべきことは言い、後日、その課題を反復練習する。それが、新谷流のチーム強化術だった。

佐々木監督・萱野

試合は日本代表候補チームの圧勝に終わった。

将来が有望な高校生選手は何人もいたけれど、ここで負けるようでは世界で勝てるはずがない。プロ選抜チームに対して手も足も出なかった4.21の「屈辱の敗戦」のダメージはすでに払拭されていた。選手たちはそれぞれ、自チームで目の色を変えて自主練習に励んだのだろう。4月と比べると、みな見違えるような身体のキレを取り戻していた。スイングスピードも飛距離も本来の調子になっていた。

片岡・中野

この合宿で、改めて感じたのはセカンドポジション争いの激しさだった。

代表の常連・中野菜摘(尚美学園大学)に、元代表の片岡安祐美、そしてプロからは捕手もできる名バイプレイヤー・田中幸夏(兵庫)。3人によるポジション争い、つまりは代表入り争いは苛烈だった。これまでならば、守備はもちろん、打撃、走塁を考えれば「中野は当確」と言えたが、今回に関しては、誰が選ばれるのか? 新谷監督がどう判断するのか? 個人的にとても注目していた。

吉井

一方、これも個人的な思いではあるが、この合宿のときに初めて「代表には吉井萌美(平成国際大学)のような投手が必要だ」と痛感した。右の本格派ばかりの代表候補投手の中にあって、左の吉井の存在感は日に日に高まっていくように感じられたが、飄々としたピッチングは18歳とは思えぬ老獪さがあった。この合宿で「吉井の代表入りの可能性は高いかもな?」と感じたことをよく覚えている。

また、3月に始動したこの第11期日本代表候補・マドンナジャパンの最大の弱点が「ショートの不在」だった。08年・松山大会のレギュラー・厚ケ瀬美姫(兵庫)、10年・ベネズエラ大会のレギュラー・宮崎唯(元アサヒトラスト)は、ともにセレクションを受験していなかった。

4月の追加招集で川端友紀(京都)が代表候補に加わり、不安はだいぶ解消されたが、足に爆弾を抱える川畑だけでは心許ない。しかし、この合宿では出口彩香(尚美学園大学)が、再三再四、好守を披露。このときに「川端と出口の2名がいれば大丈夫かな」と、漠然と感じたことを記憶している。

後の本大会では、出口がレギュラーショートに 定着。本番でも堅実な守備を見せ、見事に大会ベストナインに輝いた。出口の守備の安定感は半端なく、歴代ショートと比べても何も遜色はなかった。

選手たちだけでのミーティング


すべての練習が終わった。
ついに代表メンバーが決定される。

練習終了後、志村キャプテン、中島、片岡両副キャプテンを中心に、選手たちによる自発的なミーティングが行われた。代表メンバー発表前に、ともに汗を流し続けた選手たちだけにしかわからない想いがあるのだろう。近づくことはせずに、遠巻きにその光景を見つめながら、僕自身も緊張の一瞬を迎えることとなった。

そして、別室に集められ代表メンバーが発表される。事前に「ここで最終20名が決定する」と聞かされていたが、この席の冒頭で「まだ絞りきれないので、現時点では24名を候補選手とする」と発表された。

・柳谷優花(ホーネッツ・レディース)
・花ヶ崎衣利(蒲田女子高校)
・小出加会(埼玉栄高校)
・有坂友理香(アサヒトラスト)
・矢野みなみ


以上5名が、この合宿でふるい落とされた。外れた者の想いを知るからこそ、残った選手たちの間にも笑顔はない。
29名から24名に。そして、次回合宿では24名から最終20名に。ますます激烈な争いが続くこととなった――。

※以降、不定期でしばらくの間、続きます。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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shozf5 at 18:30│ 今日も元気に女子野球! 
PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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