2012年12月15日

W杯3連覇への道・その3【プロアマ初合流!】

W杯3連覇への道・その3【プロアマ初合流!】
取材・文・写真/長谷川晶一


2012.05.19〜20@尚美学園大学、ホンダグラウンド

プロ5名


12.04.21の「日本代表候補対プロ選抜2連戦」において、屈辱的な連敗を喫したマドンナジャパンは、翌22日に6名のプロ選手追加招集を決めた。後に厚ケ瀬美姫(兵庫)が故障のために召集辞退するものの、ここに初めて5名のプロが加わる「プロアマドリームチーム」誕生が現実のものとなった。

5月19日から、翌20日にかけて行われた第二次合宿。僕の注目は当然、「プロとアマとの化学変化」だった。プロからの5名のうち、小西美加(大阪)と田中幸夏(兵庫)の2名はアマチュア時代に、全日本入りした経験を持つ。小西は第2回台湾大会、第3回日本大会、田中は高校時代に第1回大会とW杯出場経験を持つ。

一方、川端友紀(京都)、三浦伊織(京都)、中村茜(兵庫)はソフトボールやテニスからプロの世界に身を投じていたために、アマチュア選手たちの多くは、その本当の実力を知る者は少なかった。

個人的な興味としても、「川端対磯崎」「三浦対中島」「新宮対中村」など、どんな対決が行われるのか? シミュレーションをするだけで、久々に高揚感を覚えた。

ミーティング


簡単なあいさつの後に練習が始まる。川端、三浦が打撃ケージに入ると、無言ながら、すべての選手の視線が両選手に注がれているのがわかった。ここで、川端、三浦はともに心地いい打撃音を響かせて打球を飛ばしていく。

後に多くの選手が「三浦の飛距離に驚いた」と振り返るように、力みのない自然体のスイングから三浦はライト柵越えの打球を飛ばす。その光景を見て、練習のサポートをしていた尚美学園大学の選手たちは言った。


「あそこまで飛ばすのは、中野(菜摘)と大山(唯)ぐらいです。でも、あんなに何発もスタンドに打ち込む人は初めて見ました」


これまで女子プロ野球の取材をしていて、三浦の打撃センスには何度も惚れ惚れとさせられてきた。彼女は代表クラスの実力の持ち主であることは間違いなかった。打撃だけではない、肩は決して強くはないけれど、それを補う守備範囲の広さも彼女の大きな武器だった。

もちろん、プロで2年連続首位打者に輝いていた川端の実力も折り紙つきだった。この時点で、新谷博監督(元西武など)はすでに「超強力打線」誕生の手応えを感じていたという。

三浦選手・新谷監督


新谷監督が川端や三浦を指導する姿は新鮮だった。また、京都アストドリームスの佐々木恭介監督も、わざわざ川越まで足を運び、萱野未久に1時間近くマンツーマンで指導をしている姿も印象深い。指導終了後、「あの子はいいものを持っているのに、上(半身)と下(半身)の連動が悪い。それにヘッドが寝てしまう悪いクセがある。そこを直せば、もっともっと良くなる選手だよ」と佐々木監督は語っていた。

佐々木監督、萱野


個々の技術には何の問題はない。問題となるのは、投内連係や各種フォーメーションなどのサインプレーだった。しかし、そこには心配された「プロとアマとの壁」は、僕にはまったく感じられなかった。さすがに日本を代表する29名たちだった。何度か練習を続けているうちに、牽制のタイミング、バント処理など、難なくこなしていく。

2日目の練習では、早くもバスターエンドラン、2ランスクイズなど、足をからめた攻撃の練習に取り組んでいた。

「プロとアマとの壁を気にする必要はないのかもな……」

僕は、すっかりそう感じていた。

しかし、「それは違う」と、後に小西美加に聞かされて驚いた。

小西・川端・監督


大会終了後、じっくりと話を聞いたときに小西は言った。

「かつて一緒にジャパンのユニフォームを着てプレーした選手がたくさんいたのは心強かったんですけど、チームに溶け込むのには意外と時間がかかりました。やっぱり、最初のセレクションを受けずに、途中から代表入りしたことがその原因だったと思います」

プロとアマとの間に障壁はない――。

先ほど、僕はそう書いた。しかし、実際の選手レベルでは「障壁」とは言わないまでも、目に見えない「遠慮」や「配慮」のようなものは確かにあった。

「私たちが代表候補入りする前に、すでにみんなは合宿を経験していますよね。だから、後から入ってきた分、最初からいる全日本メンバーの色に染まらないといけないという思いは強くありました。それに、初めからいるメンバーたちがプロの選手たちにものすごく気を遣ってくれているのもよくわかりました。だから、逆にこっちも気を遣うことになって、同じ日本代表のメンバーなのに、互いに遠慮し合うというか、気を遣い合うというか……」

傍からは感じることのできない選手ならではの感情の機微が、そこにはあった。

この合宿終了後、それまで未定だった「最終メンバー人数」が20名と決定された。
この時点で残っているのは29名。メンバーから外れるのは9名。
代表入りをかけた熾烈な戦いが、始まろうとしていた――。

※以降、不定期でしばらくの間続きます。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子



shozf5 at 11:00│ 今日も元気に女子野球! 
PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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