2012年06月22日

男が涙を流すとき 〜岩本勉のあふれる想い〜

涙

インタビュー中に、取材相手が涙を流すことがしばしばある。

女性アイドルの取材をしているときなどは、
お世話になった恩師や両親の話題になったときに、
あるいは、不遇の時代を思い出したときに、
《彼女》たちは、瞳を潤ませたり、涙をこぼしたりした。

女子野球選手に話を聞いているときには、
ケガや不調に苦しんだ時期について、
男子との間で疎外感を覚えたときについて、
苦しかった時期の話を聞くときに涙を見た。

一方、インタビュイーが男性の場合には、
なかなか「涙」と遭遇する機会は少ない。

しかし、つい先日のインタビューで、「男の涙」を久しぶりに見た。

それが、元日本ハムのエース・岩本勉の涙だった。

以前にも書いたように、1989年の夏、当時阪南大高校の3年だった
岩本は、下級生による不祥事で大阪府予選に出場できなかった。

当時の新聞に「高校球界期待の新星」と紹介されていた岩本は、
突然、「18歳の夏」を奪われることとなった。

数年前に、「あの夏のことは今でもよう思い出すんですよ」
岩本から聞いていた僕は、改めて取材をして、
その顛末を『高校野球小僧2012春号』で書いた。

高校野球小僧 2012春号
高校野球小僧 2012春号
クチコミを見る

幸いにして、読者からの反響も大きく、
僕自身も「もっと書きたい」と思っていたこともあって、
続編を書かせてもらえることになった。

今回は、前回触れることのできなかった高校時代の恩師、
そして岩本を支え続けた両親に話を聞いて、続編を描いた。

そして、「岩本勉の失われた夏 第2章」は、22日発売の
『高校野球小僧2012夏号』に掲載されることとなった。

高校野球小僧 2012夏号
高校野球小僧 2012夏号
クチコミを見る


この取材中、僕は「男の涙」を目撃することとなった。
久しぶりに酒を酌み交わしながら、岩本に話を訊いた。
このとき、岩本は涙をこぼした。

それは、「あの夏」を悔やむような悔し涙ではなく、
それまで知ることのなかった「友の想い」を知った嬉し涙だった。


あの夏の不祥事の結果、チームメイト19名は、
みな野球から離れた生活を送っていた。

同級生19名は、岩本に自分の夢を託していた。
ドラフト当日、キャプテンは大声で言った。


「岩本のドラフトは、オレらのドラフトや!」


この想いは、岩本がプロに入ってからも変わらなかった。


「岩本の活躍は、オレらの活躍や!」


「18歳の夏」を失ったことで、彼らの結束はより固まっていた。


しかし、彼らは岩本に対して「ある隠し事」をしていた。
取材で明らかになったその「隠し事」を岩本に伝えた。

その瞬間、グラスを持つ岩本の手が震え、
その瞳に、熱いものがみるみるうちにたまった。

「……ホンマですか? あいつら何をイキっとんねん。
あぁ腹立つ、彼がいちばん怒ってたんですよ、
なのに……。カッコよすぎるわ、あいつら……」


懸命に涙をこらえている岩本の姿を見ていて、
僕もまた、涙がこぼれそうになっていた。

同級生たちは岩本に何を隠し、
岩本は同級生たちの何に感激したのか……。

パブリックイメージの「明るいガンちゃん」とは違った、
気ぃ遣いで繊細な側面が、岩本にはある。
そんな一面をぜひ、知ってもらいたいという想いが僕にはある。

もし、よかったら、ぜひご一読いただけたら幸いです。








shozf5 at 10:00│ 忘れられぬインタビュー 
PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


長谷川晶一著作物
Recent Comments
楽天市場