2012年06月11日

あれから23年 〜1989年岩本勉の失われた夏〜

岩本・種田

※写真は八尾北リトル時代の岩本勉氏(中央)、左隣は種田仁氏

1989年、平成最初の夏――。
大阪・阪南大高校野球部は2年生部員の不祥事のために、
直前に控えた大阪府予選大会出場辞退を余儀なくされた。

3年生20名の中には、後にプロで活躍する岩本勉がいた。
大会直前には「高校球界癸臼ο咫廚粒荵が躍るほど、
活躍が期待された逸材は、一度もマウンドに立つことなく、
高校最後の夏を不完全燃焼のまま、終えることになった。


あの夏のことは、今でもよう思い出すんですよ……


岩本勉からそんな話を聞いたのは、
数年前に一緒にアメリカに取材に出かけたとき、
サンフランシスコだったか、シアトルだったか、
定かではないけれど、アメリカの空港のカフェでだった。

この一件は、僕の中でずっと引っかかっていた。

その後、何かのついでに当時の新聞記事を集め、
当時の雑誌を読み、大体の概略はつかんでいた。

それでも、「よし取材しよう」という踏ん切りがつかず、
ずるずると数年が経ってしまっていた。


そして、今年の年明け。


旧知の編集者に「何か企画はない?」と問われたときに、
この一件を思い出して、「実は……」と切り出すと、
「じゃあ、それで8P書いて下さい」と、すぐに依頼を受けた。

そこで改めて岩本本人と、当時のチームメイト2名に会い、
事の顛末をまとめ、『高校野球小僧2012春号』に原稿を書いた。

高校野球小僧 2012春号
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幸いにして、話を聞かせてもらった人たちから喜んでもらえ、
編集部からも「読者の反響が大きいです」
連絡をもらって、僕自身も喜んでいた。
そして、嬉しいことに「次号でも続きを」と依頼を受けた。

率直に言えば、「まだまだ書き足りない」という、
そんな思いが、僕の胸の内には、確かにあった。

取材をしていて、新たな発見がたくさんあったからだ。

僕が事前に予想していたよりも、3年生20名の絆は遥かに強く、
彼らが、事件を起こした《彼》のことを許していたことも意外だった。


また、明るいキャラクターとは裏腹な岩本自身の複雑な家庭環境、
彼自身が背負っている宿命、そして翳。
そして岩本以外の19名たちの「それぞれのその後」など、
多くのドラマが、まだまだ眠っていることに魅せられた。


6月22日に発売される『高校野球小僧2012夏号』では、
岩本の両親、母校・阪南大高の監督、コーチに話を聞き、
前回とは違った側面から、「1989年の夏」を描いてみた。

高校野球小僧 2012夏号
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先週、岩本勉と久しぶりにゆっくりと酒を酌み交わした。
改めて「あの夏」の話になり、改めて当時の想いを聞いた。

僕は一連の取材で明らかになったことを岩本に伝えた。
チームメイトたちは岩本に対して、さまざまな気遣いをしていた。
僕の発言を受けて、岩本からは新しい事実がもたらされた。

「春号」で最初の物語を書き、「夏号」で続きを書き、
それで、一段落かなと思っていたけれど、
実は、これから長い取材が始まるのだと、今は思っている。

会いたい人、会わなきゃならない人がたくさんいる。
はたして、連絡先がわかるのか、そして会ってくれるのか?

また新しい旅が始まりそうな、そんな予感がしている。
新たな旅が始まる静かな高揚感が、今、確かにある。










shozf5 at 11:00│ 取材・インタビュー…… 
PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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