2007年12月15日
イチロー 〜変化するスパイク、変わらぬバット〜
14日は、神戸のアシックス研究所へ。
ここには、マラソン・高橋尚子、
野口みずきの両金メダリストのシューズを
手がける職人・三村仁司氏がいる。
僕がここを訪れるのは2回目。
以下のデータを見てほしい。
イチロー選手のスパイク
このデータによると、今季のイチローモデルは
片足、約260グラム。
実際に手に取らせてもらったけれど、本当に軽くて、
一般的な、野球スパイクの感覚とは程遠かった。
上に挙げたデータを見ると、
毎年、毎年、モデルチェンジを繰り返し、
今季の形に至っている。
もちろん、来季以降もさらなる改良が
加えられていくのだろう。
(軽くて、機能的で、カッコいいもの)
イチローの要望はシンプルだ。
その希望に応えるために職人は汗を流している。
――一方で……。
イチローのバットは、入団2年目以来、
まったく改良が加えられていない。
環境が変化し、年齢が変わっても、
イチローは同形状、同重量のバットを使い続けている。
バット職人が心配して、
「何か、不都合はありませんか?」
と問うても、
「毎年、きちんと成績が残せているのに、
不満なんかあるわけないですよ……」
とイチローは笑って答えるという。
シーズン50本以上の内野安打を記録し、盗塁王に輝いても、
貪欲にスパイク改良を求め続ける姿勢と、
その一方で、かたくなにバットを変えない姿勢。
この両極端な一面。彼ならではの奥深さが
垣間見えて、面白い。
そんなことを考えながら、
帰りの新幹線に飛び乗った。