2007年05月30日

不是(プーシー)とブッシュとプ●シーと 〜台湾4日目・その2〜


山から下りると、僕はすぐに温泉に入った。
中に通されると、そこには八つほどの風呂があり、
そのうちのいくつかは、露天風呂だった。


とにかく台湾は暑い。


常に汗だくの毎日だったので、
久々の温泉は、まさに極楽極楽だった。
先客は地元の顔なじみらしき、おじさん五人組。

紙コップに入った水を片手に、なにやら談笑中。
何がおかしいのか、ひとりのおじさんは、
引き付けを起こしそうなぐらい大爆笑を繰り返す。
……全裸で。


僕は、それにかまわずに風呂から風呂を渡り歩く。
暑い中で入る水風呂は実に気持ちよかった。

さらに、別の風呂に入ろうとすると、
僕の背後から、突然、大声が聞こえてくる。


「ブーシー!」


驚いて振り返ると、大爆笑を繰り返していた
おじさんが、僕に向かって叫んでいる。


「ブーシー! ブーシー!」


突然のことで驚いたけれども、
これでも、大学時代には「第二外国語」として
中国語を履修した身だ。

「ブーシー」が「不是」のことで、
意味は「not」だということぐらい知っている。

何だか理由はわからないけれども、
ここに入ってはいけないのだろう。
仕方なく、隣の風呂に入ろうと歩き始めると、
おじさんはなおも、「ブーシー、ブーシー」と繰り返す。

「だから、入らないって……」と思いつつ、

おじさんのほうを見ると、どうやら
「ブーシー」ではなくて「ブッシュ、ブッシュ」と
言っているような気がしてくる。

でも、いきなり僕に米台関係について
質問をするわけもないから、
さらに目を凝らしておじさんを見ると、おじさんは、



「プッシー、プッシー」と言っていた。



いきなり下ネタかよ……



それどころか、このおじさん、
こぶしを軽く握り、右腕を上下に動かし始める。


確かに、男同士だし、しかも裸のつき合いだけど、
ちょっと、唐突過ぎやしないかい、おじさん。


先ほどの、大爆笑ぶりを見ていたこともあって、
何だか非常に下品なおじさんだと思いつつ、
よく見てみると、おじさんの右手のこぶし。

グーではなくて、人差し指を伸ばしていることに気づいた。
それは、エッチなポーズをしているのではなく、
何か、ボタンを押しているようなジェスチャーだった。


それで僕も、ようやく気がついた。


……I,see! ノット“プッシー”、ザッッ“プッシュ”!


このおじさん、僕にボタンを押せと言っていたのだ。
よく見ると、近くに確かにボタンがある。
その斜め上には、水の吹き出し口もある。
……いわゆる「打たせ湯」なのだろう。

僕としたことが、なんて卑猥な妄想を……。
親切なおじさん、ゴメン……。


僕は、その湯に入り、言われるがままに
ボタンを押した。


すると、猛烈な勢いで水が噴射してきたのだった。
この勢いは尋常じゃなかった。

これをたとえるとするならば、
よくアメリカ映画で、悪徳看守が、
日ごろの鬱憤晴らしに、囚人たちを全裸にして
消火用のホースでものすごい勢いで放水する
拷問というか、リンチシーンを思い浮かべてほしい。

そんな猛烈な勢いで、怒涛の放水が僕に降りかかってきた。
その放水は、無防備だった僕の股間に直撃しました……。


……悶絶でした。


おじさんの親切をないがしろにした天罰でしょうか。

痛みに苦しんでいる僕の背後では、
再び、おじさんの大爆笑の笑い声が
浴室中に、響き渡っていました……。









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PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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