2007年05月28日

あの儀式は、いったい何だったのだろう? 〜台湾3日目・その2〜

龍山寺のある一帯は、実にいかがわしい感じ、
猥雑な感じがして、台湾に来て初めて、

「あぁ、自分は今、外国にいるのだなぁ……」

と強く実感することができた。
ガイドブックを見ると、
「治安がよくなく、スリが多いので十分注意しよう」
と書かれている。
ありがとう、『地球の歩き方』。気をつけるよ!

さて、ちょっと小腹が空いたので、
近くの定食屋に入り、隣のおじさんが
食べていた炒め物とビールを注文。

ビールさえあれば、たいていのものは
いいおつまみになるので、僕の場合は
食べ物に関する心配はほとんどしていない。

で、このよくわからない、謎の「肉」による
炒め物もおいしく食べることができた。

今回の旅で、ちょっと残念なのは、
食堂やレストランに入っても、一人だということで、
一品かせいぜい二品しか注文できないことだ。

いろいろなものを少しずつ食べたい性格なので、
一人旅に出るたびにこれだけは、残念で仕方がない。

腹も一杯になり、龍山寺に参詣してみることにした。
人工の滝が流れている中、境内に入ると、
多くの市民が熱心にお祈りをしている姿が目に入る。

10代のお兄ちゃんやお姉ちゃんがカップルでいたり、
学校帰りの高校生男子の3人組が祈っていたり、
めちゃくちゃ、日常生活に溶け込んでいる感じ。


「オレ、ここにいてもいいのかなぁ」


と思っていたところ、けたたましい韓国語が聞こえる。
振り返ると、韓国人の観光ツアーご一行で、
観光名所になっているようだから、


「オレ、ここにいてもいいんだ」


と自分の居場所に悩んでいた思春期のころのような
安堵感を覚えた(ちょっと誇大表現)。


さらに奥に進むと、ロケット花火のような形状の
お線香を数本、いきなり手渡される。
どうやら無料らしい。

境内では、多くの参拝者たちが、熱心にお経を唱えている。


――そのとき。


ひとりの老婆と目が合った。その老婆は裸足だった。
老婆は僕に手招きをする。

命じられるままに近づくと、持っていたカバンの中から、
赤い小さな本のようなものを僕に差し出す。
それを受け取ってみると、今、ここにいる人たちが
熱心に唱えているお経が書かれているようだった。


すべて漢字ばかりのこの小冊子は僕には読解不能だったので、
少しだけ大げさに肩をすぼめて、首をかしげて、

「読めません……、外人だから……」

ということをアピールしたのに、
老婆はかまわずに、該当ページを開いてくれる。


……まぁ、いいや。


残りのページがあと少しだったので、
すぐに終わるだろう、と思ったのがいけなかった。

最終ページまでいったのに、なぜだかもう一度
初めのページに、お経の唱和が戻っている。


「一曲、リピート?」


ここからはちょっと長そうだったので、
老婆に礼を告げて、その場を立ち去ろうとすると、


「不可去! 我命令、御前此処、続祈願励行!」


と言っているのだろうと思われる中国語で、
「行くな、続きをやれ!」と言われた模様。
「困ったなぁ」と思いつつ、素直に従う。

……長かったです。

時間にして20分はやりました。

ようやく終わったかと思うと、今度は、
入り口で手渡された線香に火をつけて、
ここに奉られている仏様、一人ひとりに
祈っていけと言われた(推測)。

で、裸足のお婆さんとともに、
一体、一体、丁寧にお辞儀をして、お賽銭を入れて、
お婆さん持参のお供え物を奉ることに。

……長かったです。

ただ回るだけならいいのですが、
このお婆さん、一体、一体に何事かを話しかけています。
他の人は、手馴れた感じで、
スムーズにお祈りを続けているのに……。

結局、この老婆と1時間ほど過ごしたでしょうか?


それなのに……。


このお婆さん、ひと通りの儀式が済むと、
実にあっさりと、何の別れも告げずに、
帰り支度をし始めます。

まるで、やることだけやったらすぐに
部屋を後にしてしまう彼氏を持った愛人のような気分。
そんな切なさを、少しだけ味わってしまいました。



……あの一連の儀式は、一体何だったのだろう?

……あのお婆さんは、なぜオレをパートナーに指名したのだろう?

……オレのとった行動は、あれでよかったのだろうか?



謎は深まるばかりです。
悔やまれるのは、老婆の写真を撮り忘れたことでした。


……オチのない話で、スミマセン。








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PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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