2015年06月18日

『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』文庫化決定!



不思議なこともあるもので、昨日、今日と高橋ユニオンズ関連の動きが、突然活発化している。

まずは昨日のこと。2011年に出版した拙著『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』はすでに絶版となっているのだけれど、大幅に加筆を行って、今秋に文庫化されることが決まった


4月に開催された「東京野球ブックフェア」において、「限定10部、最後の販売」と銘打って販売したばかりで心苦しいのだけれど、この「最後の販売」がきっかけとなって、ある編集者から「ならば文庫化しませんか?」とご提案を受け、本決まりとなった。

改めて、資料部屋からユニオンズの資料を引っ張り出していたところ、本日立て続けに2件もユニオンズ関連の出来事が。

1件は、高橋オーナーのお孫さんから「ユニオンズOBの連絡先が新たにわかりました」とのメール。そこには某選手の電話番号が書かれてあり、「長谷川さんのことも伝えてあります」とのこと。さっそく電話してみると、「いろいろとお話したいことがあります」というので、来週、ご自宅まで伺うことになった。


そしてもう1件は、以前取材した方から封書が届いた。そこには兵庫の丹波新聞の記事が同封されていた。今年の5月14日付のコラムに拙著が紹介されている記事だった。

あんなに地味な作品だったのに、それでもこうしてまだまだしぶとく息づいていることが嬉しい。この作品がなければ、今週発売の『極貧球団』も生まれなかった。出版から4年経って、突然の動きに驚いているけれど、僕にとっても思い入れの深い作品なので、新たな気持ちで取り組みたい。

以下、その新聞記事より。

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こちらは、今週20日発売の最新刊『極貧球団 波瀾の福岡ライオンズ』です。どうぞよろしくお願いいたします。



shozf5 at 15:39|Permalink 『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』関連 

2015年06月16日

『極貧球団 波瀾の福岡ライオンズ』、ついに発売!



先週10日発売の『2009年6月13日からの三沢光晴』に続いて、今週20日には『極貧球団 波瀾の福岡ライオンズ』が発売されます。

こちらは、1973〜76年まで存在した太平洋クラブライオンズ、そして77〜78年までのクラウンライターライオンズ、両チームの6年間を関係者40数名の証言で描いた物語です。

経営母体が脆弱で、「いつ潰れてもおかしくない」という状態の中で、関係者たちは奮闘を続けました。その中で、東尾修、基満男、竹之内雅史、真弓明信、若菜喜晴、永射保、ビュフォード、レポーズ、ハワードら、個性的な選手を多く輩出しました。

話題作りのために、ロッテとの遺恨騒動を演出。当初はうまくいっていたものの、やがて制御不能の混沌とした状態に陥ったこともあれば、アメリカの名将、レオ・ドローチャー招聘をぶち上げたものの、オープン戦が始まっても来日せず、結局、監督就任断念の憂き目を見たこともありました。


弱ければ、弱いなりに思い切ったプレーをしようという選手の矜持。貧しければ、貧しいなりに話題を生み出し、少しでも観客動員につなげたいというフロントの奮闘。「九州の田舎球団」と言われながらも、選手たちはたくましく戦い続ける。


弱く、貧しく、たくましく――。


西鉄ライオンズと西武ライオンズ、二つの名門球団に挟まれた太平洋クラブ、クラウンライター。この苦難の6年間があればこそ、後の栄光がありました。野球史において、ほとんど顧みられることのない6年間にスポットを当てた物語。どうぞ、ご覧下さい!


shozf5 at 11:59|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2015年06月09日

新刊『2009年6月13日からの三沢光晴』発売です!



早いもので三沢さんが亡くなって、今度の6月13日で6年が経つ。七回忌に向けて、新刊『2009年6月13日からの三沢光晴』(主婦の友社)が6月10日に発売される。

あの日、現場にいたレスラー、マスコミ、そしてご遺族の許可を得たうえで、三沢さんの最期を看取った3人の医師たちに話を聞いて、「あの日の三沢光晴」と、「あの日からの三沢光晴」を描いた。


リング禍が起きた6月13日午前2時、三沢さんは「ある女性」に電話をかけていたことが関係者への取材でわかった。この電話から始まり、三沢さんが亡くなった翌朝までを描いた第一部。

そして、「あの日」から6年が経ち、遺された人々の中に今も息づいている「三沢イズム」を描く第二部。

第一部を聞く場面では、取材をしていて、何度も息苦しくなった。思い出したくない過去を蒸し返す心苦しさもあったし、三沢さんが亡くなる経緯が生々しくもあったからだ。

一方の第二部においては、6年が経つというのに、それぞれの人々の中に有形無形で「三沢の教え」が息づいているのがよくわかった。

本書では「三沢さんの死」を通じて、今も多くの人に影響を与え続けている「三沢さんの生」を描いたつもりだ。

ぜひ、多くの人に読んでもらいたいと心から願っています。どうぞよろしくお願いいたします。


以下、「アマゾン」の内容紹介より。


稀代の名レスラー・三沢光晴がリング上の事故で命を落とした2009年6月13日。当日、会場にいた選手、マスコミ、そして治療にあたった医師の証言から、あの日起こった出来事の真相に迫る。死因は即死とも思われる頸髄離断だったが、ICUでは一度心拍が再開していたという。広島大学病院の救命医があの日のICUでのことを初めて明かす。そして最後の対戦相手となった齋藤彰俊は事故から数カ月後、三沢が生前に残したメッセージを受け取っていた。「社長からのメッセージを受け取って、すべて受け止めて現役を続けるという自分の決断は間違っていないと思えました」という齋藤は「答えは自分で見つけろ」という三沢のメッセージを胸に今も歩み続けている。また、小橋建太、潮豪、丸藤正道、鈴木鼓太郎、浅子覚、西永秀一ら深い関係を持つ人物たちにとって2009年6月13日からの三沢光晴はどう息づいているのか? 

目次

序 章 三沢光晴からの電話

【第一部 2009年6月13日の三沢光晴】
第一章 午後三時、会場入り
第二章 午後八時四三分 バックドロップ
第三章 午後一〇時一〇分 最期の瞬間
第四章 翌朝七時、齋藤彰俊の決断
第五章 それぞれの六月一四日

【第二部 2009年6月13日からの三沢光晴】
第六章 二〇一五年、春――あれから六年
第七章 レスラーたちのそれから
第八章 三沢光晴からの伝言

終 章 オレのマブダチ


shozf5 at 21:29|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2015年02月21日

『マドンナジャパン光のつかみ方2』発売決定!

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2012年のカナダ・エドモントン大会の舞台裏をまとめた『マドンナジャパン光のつかみ方』発売から2年。この間に侍ジャパン女子代表・マドンナジャパンは2014年の第6回女子野球ワールドカップ日本・宮崎大会も制覇してV4を達成。

そして今夏、ついに『マドンナジャパン光のつかみ方』の第二弾、『マドンナジャパン絆が生んだ4連覇』(仮)の発売が決定しました!

正直なことを言えば、「前作で書きたいことは書いたから、今回は出版は難しいかな?」と弱気になっていたところ、関係各位の多大な後押しを受け、第二弾の発売が決定。みんなの情熱を意気に感じて、胸の奥に眠っていた「書きたい!」という思いが沸々と湧いてきた次第。

そして、この2月。次回作『太平洋・クラウンライオンズ書籍(仮)』執筆の合間を縫って、マドンナジャパン選手たちに会い、じっくりと話を聞き続けた。全20名の選手のうち、すでに半数強のインタビューを終えた。

昨年9月の大会以来、久しぶりに選手たちにじっくりインタビューをした。同じ時期に同じ空間で過ごしながら、それぞれが考えていたことは微妙に異なり、さまざまな想いがそれぞれの胸にしまわれていた。そして、すべての選手が、それぞれの葛藤を抱えていた。

・ファーストミットを使うか、使わないか?
・セットにするか、ワインドアップにするか?
・フォームを変えるか、そのままでいくか?
・投手起用なのか、野手起用なのか?
・話題優先なのか、実力主義なのか?
・プロ入団か、アマのままでいるか?
・現役続行なのか、引退なのか?


なかには、「代表になりたくなかった」と発言した選手もいた。あるいは「美人すぎる野球選手」と話題になった選手もいた。外からはうかがい知ることのできない、彼女たちの内面を再び描こうと、現在、残りの取材も続行中。前作『マドンナジャパン光のつかみ方』の続編としての位置付けで、前作で紹介した選手たちの「あれから2年」を中心に、新たに加わった選手たちの物語を描いていくつもりです。

発売は7月中旬予定。どうぞご期待ください。引き続き、よろしくお願いいたします!




shozf5 at 12:04|Permalink 今日も元気に女子野球! 

2015年02月13日

『読む野球』第7号、阪急エース陣と中嶋聡の物語!

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本日、『読む野球』第7号が発売された。この号でも巻頭企画を書かせていただいたが、今回のテーマは、


中嶋聡〜プロ29年生、その蒼き日々


今年29年目を迎える中嶋聡捕手の阪急時代を中心に、山田久志、佐藤義則、今井雄太郎、山沖之彦各氏に「蒼き時代の中島聡」についてお話を伺い、そして中嶋聡選手本人に、阪急・オリックス時代を振り返ってもらって、30000字の長編物語を執筆しました。

自身の引退試合であり、阪急のラストゲームにプロ2年目の中嶋を指名した山田久志、仰木監督に干されていた中嶋を救ってくれた佐藤義則……。今井雄太郎、山沖之彦、両投手とも、「阪急の仲間として、アイツには頑張ってほしいんですよ」と白い歯をこぼした。

それにしても、山田久志氏さんのお話は面白かった。彼が語る一流選手のダンディズム、ファンへの接し方、いずれも大選手の佇まいにあふれていた。

『読む野球』は、次号に向けてそろそろ動き始めます。これからも、興味深いテーマをじっくりと掘り下げていこうと思っています。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!



























shozf5 at 14:57|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2015年01月22日

大豊泰昭氏からのラストメッセージ

大豊氏一本足


1月18日、中日ドラゴンズなどで活躍した大豊泰昭氏が亡くなった。51歳という若さだった。

一昨年秋、僕は大豊氏にインタビューをした。テーマは「一本足打法について」。王貞治氏はもちろん、片平晋作氏、駒田徳広氏など、一本足打法に挑戦した方々に会って、一本足打法とは何なのか? なぜ、今ではあのようなフォームの打者はいないのか? そんなことを尋ね歩いていた。

大病を患ったことは聞いていたけれど、目の前に現れた大豊氏の痩せ細った身体に言葉を失った。現役時代の偉丈夫なイメージとはほど遠く、それはまさに病人そのものだったからだ。

それでも、大豊氏は饒舌だった。話しているうちに、身振り手振りを交え、さらに静かに立ち上がると一本足打法の極意を実演を交えて伝授してくれた。「体調はあまりよくない」と聞いていたから、内心ではハラハラしていたけれども、一度、構えに入ると見事にビシッと決まったのが、本当にカッコよかった。

波乱万丈の野球人生に加えて、ときおり交えるユーモア。歯に衣着せぬ毒舌などがバランスよくミックスされていて、お話はとても面白かった。ただ、ときおり見せる、寂しそうな発言が切なかった。

大豊氏


ハッキリとは明言しないものの、「外国人が外国で暮らすことの厳しさ」、「閉鎖的な日本野球界の弊害」をにじませる発言も、ちらほらと漏れてきた。


最新刊『プロ野球、伝説の表と裏』にも書いたけれど、彼が漏らしたこんなセリフが胸に刺さる。


「台湾からやってきた僕が世の中で認めてもらうためにはホームランしかなかった。みんなを満足させられるのはホームランだけだった。僕は14年間で277本のホームランしか打っていません。でもね、僕のホームランはその一本、一本が涙と汗と血の結晶でした。一本のホームランを打つことに必死でした」


一本足打法修得は、本当につらく厳しい道のりだったという。大豊氏は「生まれ変わったら二本足で打ちたい」とも言っていた。それでも、一本足打法のおかげでホームラン王も獲得できたことも大豊氏は重々、承知している。

長時間に及んだインタビューの後、彼はなおも話し続けてくれた。たわいもない雑談もまた絶妙な話術で時間の経つのを忘れさせてくれるほどだった。

この雑談の中で、自費出版で写真集を作ったことを聞いた。「一部、購入させて下さい」と頼むと、「お金はいいよ」と大豊さん。そんなわけにもいかないので、お支払いすると「押し売りしたみたいでゴメンね」と笑顔。

そして、大豊さんは言った。

「実はね、こんなものを書いてみたんですよ……」

そこには、きれいな字で大豊さんの「打撃理論」がまとめられていた。

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感心して読んでいると、僕にひと言、「よかったら差し上げますよ」と言った。

A4六枚、すべて直筆による力作だったために恐縮していると、「ぜひ、もらって欲しいんです」と笑顔になった。

今となっては、どうしてそんなことを言ってくれたのかわからない。原稿を書く際の参考のためだったのか、それとも、書籍化を希望していたのだろうか?

文章の最後には、こう記されている。

「さぁ……、自分の感性と慣性を磨こう。自分の能力を信じて努力する。夢は簡単に実現できないが、あきらめと中途半端だけはやめよう。厳しく、楽しく、頑張ろう」

努力の人が、静かに逝った。早すぎる死を悼んで、合掌。






shozf5 at 16:40|Permalink 忘れられぬインタビュー 

2015年01月06日

【太平洋・クラウン書籍・執筆余話01・基満男氏】

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2011年から取材を続けてきた太平洋クラブ・クラウンライターライオンズ関連取材。1973〜1978年まで、太平洋4年、クラウン2年の合計6年間という短期間だけ存在したプロ野球チーム。これまでにOB、フロントなど、のべ40数名のインタビューを行った。そして、ようやく今春、一冊の書籍として刊行されることが決まった

この年末年始は、これまでに行った膨大なインタビュー原稿を整理し、構成を考える作業に没頭。年明け早々、韓国取材があったため、実に慌ただしかったもののようやく構成も見えつつある。この物語は、ずっと「早く書きたい」と思いつつ、あえて自分を焦らしてきたため、おそらく書き始めたら、あっという間に執筆完了となるような気がしている

この6年間、チームに在籍した基満男氏――。
基さんには11年12月、そして14年12月、二度にわたって福岡でお話を聞いた。基さんのお話は実に面白い。現役時代から一匹狼で、人とつるむことをしなかった性格そのままに他の選手に対する批判がかなり厳しい。特に、同僚だった竹之内雅史氏に対する舌鋒は鋭い

開口一番、「オレはアイツのことは好きじゃない」と言い放つと、その理由を詳しく話てくれた。後に、竹之内さんに基さんの発言を告げると、「いかにもアイツらしいよ」と豪快に笑った。そんな竹之内さんもカッコよかった。

詳しくは、これから本書で執筆していくつもりだけれど、ひとつだけエピソードをご紹介したい。

「オレは、“竹之内はラクやなぁ、幸せな選手やなぁ”って、ずっと思っとったよ」

その理由を聞くと、

「気持ちよくバットを振って、当たればヒット、外れればゴメンナサイで済むやろ、アイツは。でも、そんなのがホントにプロか?」

ファンは、当たればホームラン、ダメなら三振という豪快スイングを喜ぶもの。でも、基さんによれば、「素人のファンならばそれでもいいけど、本物の玄人の目から見れば、あれは自分本位のバッティング」とのこと。そして、基氏はこう締めくくった。

「ヒットを打つやろ? でもな、本当に大切なことは、自分で喜ぶか、それとも相手ピッチャーを泣かすか? どっちかっちゅうことよ」

自分で気持ちいいスイングをして豪快な一発を打って喜んでいるうちは、まだ素人。一方で、相手ピッチャーに散々、苦労させた上で、その決め球を平然と打ち返すのが本物の玄人。それが、基氏の考えだった。

竹之内さんには竹之内さんの考えがあり、言い分があるのだけれど、それは別の機会に触れたい。基さんも、竹之内さんも、「本当のことならば、どんどん書いていいよ」と言ってくれたのがありがたい。

そして、基さんは2人の打撃について端的に言った。

「……つまりは、野球観がまったく違うんだよ、竹之内とは」


基さん、竹之内さんをはじめ、太平洋・クラウン戦士は実に個性的な面々ばかりだった。今後、少しずつ、このブログにて、執筆中のこぼれ話を記していきたいと思う。どうぞよろしくお願いいたします。



※2014年12月5日に新刊、『プロ野球、伝説の表と裏』を発売しました!






shozf5 at 20:01|Permalink 『太平洋・クラウン』書籍関連 

2014年12月31日

「1993年の伊藤智仁」――その反響を受けて

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12月5日に発売したばかりの最新刊『プロ野球、伝説の表と裏』(主婦の友社)。発売以来、多くの感想をいただいた。その中でも、特に反響が大きかったのが、第4章「1993年の伊藤智仁だった。

数年前に、『マツコ&有吉怒り新党』の「新三大○○」のコーナーで、伊藤智仁が採り上げられたことがある。詳しくは、こちらのリンクを。

僕も「有識者」の一人として、この番組にちょっとだけかかわったのだけれど、番組スタッフによれば、この回は類を見ない反響を呼んだのだという。僕自身も、周囲から「番組見たよ」とか、「感動的だった」としばしば声をかけられた。


元々僕自身がヤクルトファンであり、伊藤智仁氏と同じ1970年生まれということもあり、「いつか伊藤智仁を書きたい」とずっと思っていた。そして、今回、ついにその願いがかなった。これまでに何度か伊藤さんにインタビューをしてきたけれど、彼が一貫して言い続けていることがある。

「人は僕のことを《悲運のエース》と呼ぶけれども、
 僕は決して《悲運》なんかではない」


1993年前半――伊藤はまるで、夏の日の花火のようにまばゆいばかりの閃光を残して消えていった。後に故障に苦しみ続けて引退していったことも多くのファンは知っている。その姿があまりにも鮮烈すぎたからこそ、人は彼を「悲運のエース」と呼ぶのだろう。

本書の取材において、古田敦也氏は「伊藤のスライダーはすごかった。それは自信を持って言えます。僕が保証します」と力強く語った。

同じく、チームメイトだった石井一久氏も、「僕にはプロでライバルという存在はいなかった。でも、プロに入って一番すごいと思ったのは(伊藤)智さんでした。後にも、先にも、あんなすごいボールは見たことがありません」としみじみと語った。

本書では伊藤本人を含めて、彼とゆかりのある人物8名に話を聞いて物語をまとめた。「どうして、伊藤の雄姿は、今もなお人々の胸を打つのだろう?」、そんなことを胸に秘めながら、原稿を書いた。

2014年も、多くの人にインタビューをして、たくさんの原稿を書き、『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』(集英社)を含めて、2冊の本を出版した。これまで、12冊の本を出版してきたけれど、今回の伊藤智仁の物語もまた、ずっと忘れられない物語となりそうだ。願わくば、ぜひ多くの読者にも伊藤の物語を共有してほしい――。そんな切なる願いでいっぱいです。











shozf5 at 11:56|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2014年12月08日

新刊『プロ野球、伝説の表と裏』、いよいよ発売です!



プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!からおよそ半年。久しぶりの新刊が発売となりました。

野茂英雄氏にフォークの握りをしてもらった写真が表紙のプロ野球、伝説の表と裏(主婦の友社)です。

ムック『読む野球』に掲載したものから4編を選び、追加取材をし加筆して構成しました。4編の物語で全27名の方々にお話を伺いました


第一章 「ドクターK」の真実
第二章 一本足打法の光と影
第三章 福本を、刺せ!
第四章 1993年の伊藤智仁



第一章では、野茂英雄、阿波野秀幸、立花龍司、吉井理人、光山英和、鈴木啓示、藤江均

第二章では、王貞治、片平晋作、大豊泰昭、荒川博、駒田徳広

第三章では、福本豊、神部年男、東尾修、堀内恒夫、大熊忠義、柴田勲、梨田昌孝

第四章では、伊藤智仁、古田敦也、石井一久、立浪和義、篠塚和典、宇佐美康広、谷川哲也、秋吉亮

本書の取材、執筆を通じて、「ときが流れたからこそ、明らかになること、口外できること」、そんなものがたくさんあるのだということを再確認しました。どうぞよろしくお願いいたします。

年明けには全然別テイストの新刊2冊の出版も控えております。来年もまた頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします!

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shozf5 at 10:28|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2014年08月20日

「12球団ファンクラブ評論家」「女子野球評論家」で商標登録されました!

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おかげさまで、拙著『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』は、発売以来好評で、版を重ね続けております。思いもよらぬ反響にとまどいつつ、喜んでいます。

さて、この本の「著者プロフィール」の欄に、次の文言があります。


「現在、『12球団ファンクラブ評論家』の肩書きで商標出願中」


もちろん、誰もこんな肩書きを名乗りたいとは思わないだろうし、今後も名乗りを上げる人はいないことは承知しています(笑)。

でも、弁理士の友人と呑んでいた際に、商標登録の話題となり、「よし、出願しよう!」と酔った勢いで決断し、およそ半年をかけて、ついに受理されました。



出願費用や登録費用に、意外と多額の出費となりましたが、これからは、堂々と12球団ファンクラブ評論家、そして、女子野球評論家と名乗っていこうと思います。それに何のメリットがあるのかはわかりませんが、まぁいいでしょう(笑)。

どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします!





shozf5 at 15:40|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2014年05月20日

構想10年、取材10年、執筆10日! 新刊・『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』、5月26日発売です!



8ヵ月ぶりの新刊が5月26日に発売されます!
集英社からの発売で、タイトルは、

『プロ野球12球団ファンクラブ全部に
10年間入会してみた!』


長いタイトルで恐縮ですが、さらにサブタイトルもあります。

〜涙と笑いの球界興亡クロニクル〜

このメインタイトルとサブタイトルで、
内容は十分伝わるはずです(笑)。

2005年から今年、2014年までの10年間、
僕は12球団すべてのファンクラブに入会しました。

当初から「本にしよう」という下心があったわけではなく、
もちろん、誰かに命令されたわけでもなく、
本当に単なる遊び心、悪乗りで始めたものでした。

しかし、始めてみたところ、これが実に楽しい。
最初は「1年だけで終わりにしよう」と思っていました。
ところが、いざ始めてみると辞める理由が見つからない
むしろ、「こんな楽しいこと辞められるか!」と心変わり。

その集大成を、一冊の本にまとめてみました。
内容は、

・2005〜2014年までの年度別総括
・球団別ファンクラブ通信簿
・特典グッズ名品&迷品ベスト10
・ファンクラブ事件簿
・年度別ファンクラブ・オブ・ザ・イヤー
 グッズ・オブ・ザ・イヤー
・プロ野球ファンクラブあるある
・大躍進、DeNAファンクラブ担当者インタビュー


などなど。

これまで10冊のノンフィクション作品を出版してきました。
しかし、本書は今までの10冊とは異質なものとなりました。
まず文体が違います。さらに内容の大半がほぼ主観(笑)。

気軽に読める読み物ながら、それでも各球団の問題点や、
野球界が抱える課題が浮き彫りになるように書きました。

構想10年、取材10年、執筆10日!

「文系野球」の新たな地平を目指しました。
ぜひぜひ、お読みいただければ幸いです。
どうぞ、どうぞよろしくお願いいたします!




shozf5 at 02:41|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2014年05月13日

「美人すぎる野球選手」騒動の中で……

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今回のマドンナジャパン候補選手の中で、
「美人すぎる」とか、「可愛すぎる」とか、
様々な表現で話題になった女子選手がいた。

これらの報道の影響なのだろう、僕のところにも、
「彼女の情報を教えて下さいよ!」と連絡がきた。
でも「よく知りません」と曖昧にして答えなかった。

なぜなら、彼女について知りたがっている内容が、
あまりにも下品で、下らなかったからだ。

騒動の渦中にあった頃、彼女に連絡をした。
やはり、予想通りの事態が起こっているようだった。
インターネット上には適当な噂や悪口が渦巻く。
彼女は小さく笑いながら言った。


「私、ミジンコメンタルなんで、
 かなりへこみました……」



かつて、片岡安祐美、川端友紀が通った道だった。
以前話を聞いたとき、片岡、川端両選手は言った。


「私を通じて女子野球が注目されるならば、
 たとえ、どんな話題でも構いません……」



こうして迎えた侍ジャパン女子代表候補、岡山合宿。
2日間にわたる3試合の強化試合が行われた。
今合宿で初めてプロから6選手が合流。
それぞれが、圧倒的な実力を見せつけた。

そして、2日目の2試合目が終了後、
別室に集められ、代表候補32名が22名にしぼられる。

話題になっていた彼女は、今回は候補から外れた。
彼女に密着していた報道陣は落胆したものの、
それでも、カメラは執拗に彼女を追い続ける。
おそらく「涙のシーン」が欲しかったのだろう。

それまで気丈に振舞っていた彼女だったけれど、
最後の最後で、大粒の涙がこぼれ落ちた。
泣かせるための誘導尋問のように、僕には見えた。
4台のテレビカメラはその姿を撮り逃さない。
こうして、彼女のインタビュー撮影は終わった。

僕はその様子を遠巻きに見ていたけど、
彼女が近づいてきたので、声をかけた。


「大変だったね、ミジンコメンタルは強くなった?」


精一杯の笑顔で彼女は言う。


「ハイ。ミジンコよりはましになったと思います!」


そして、このときも以前と同じことを口にする。


「それでも、女子野球が少しでも注目されるなら、
 いろいろあったけど、いいことだと思います」



これもまた、片岡、川端選手から聞いた内容と、
まったく同じ言葉だった。僕は大げさではなく、
彼女は「日本の宝」だと思っている。
この日の経験を糧にした彼女の2年後に期待する。

今回、彼女は女子野球のために本当に頑張った。
背負わなくていい責任を胸に、本当に奮闘した。

shozf5 at 10:13|Permalink 今日も元気に女子野球! 

2013年09月18日

新刊・『夏を赦す』、いよいよ発売です!

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いよいよ今週、足かけ6年かけた作品が発売される。

『夏を赦す』(廣済堂出版)

夏を赦す
長谷川 晶一
廣済堂出版
2013-09-21



以下、アマゾンの「内容紹介」から。

元日本ハム・岩本勉には誰にも言えない秘密があった。
かつて、彼は「岩本勉」ではなく「大山勉」だった。

彼には長い間、ひそかに胸に秘めていた想いがあった。
家族のこと、仲間たちのこと、そして自身のこと……。

平成最初の夏、阪南大高校野球部に不祥事が起きた。
その「事件」は3年生20名の運命を変えた。
岩本は「後ろめたさ」を抱えたままプロ入り。
その後、16年の現役生活をまっとうし、
岩本の同級生たちもそれぞれの人生を生きた。

四半世紀を過ぎて、今明らかになる事実と秘密。
奪われた夏から始まる元球児たちの再生の実話。



6年前に岩本勉と知り合い、「いつか書こう」と思いつつ、
なかなか筆が進まず、ようやく完成した作品。

今月9月でフリーになってちょうど10年。
僕にとっての10作目は特に思い入れのある作品となった。


上の写真を見てほしい。
小さくてわかりづらいけれど、右下には「89・7・7」とある。

平成最初の夏、1989年7月7日、ある事件が起きた。

この写真は、その事件後に撮られたものだが、
岩本をはじめとする被写体たちは、この時点では、
このとき何が起きていたのか、誰も知らなかった。

このときから、彼らの人生は大きく変わった。
「失われた夏」から始まる元球児たちの奮闘の歴史。

岩本本人、そして家族、同級生、恩師……。
多くの方にお世話になって、ようやく完成しました。
どうぞ、よろしくお願いいたします!

shozf5 at 13:11|Permalink 執筆、執筆、執筆…… 

2013年04月23日

世代を超えた女子球児たちの競演!

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……すっかり、放置ブログとなってしまった(笑)。

この間、7月発売新刊の最終執筆に励み、
某著名人のゴースト本を構成&執筆し、
年末に出版した『マドンナジャパン光のつかみ方』
トークイベントを小西美加、川端友紀選手と開催。
それなりに忙しい日々を過ごしていた。

そして、5月に某局で放送されるテレビドキュメンタリーの
制作のお手伝いをすることになり奔走していた。

60分番組なので、数エピソードが含まれるのだけれど、
その中のひとつに「現役女子プロ野球選手」と、
戦後すぐに勃興した「女子プロ野球選手」たちとの、
「世代を超えたキャッチボール」を一つの柱として企画。

そして、舞台を4月20日、神宮球場に定めた。

この日、女子プロ野球公式戦が行われるため、
戦後の女子球児たちに集まってもらい、
試合前のひととき、キャッチボールに興じてもらおう。
そう考えて、関係各位に協力を仰ぐと、
みんながとても好意的に協力を申し出てくれた。

その一方で、おばあちゃんたちに声をかけてみると、
「ぜひやりたい!」とあっという間に15名が集まることに。

下は66歳、最年長は81歳という超高齢集団(笑)。

当時のユニフォームはもうないけれど、それでも、
思い思いのユニフォームとグラブを持ち寄って、
当日、神宮球場に集まってくれた。

彼女たちはかつて、後楽園球場や神宮球場で
プレイをした経験を持つ人たちばかりだ。
実現すれば、半世紀超ぶりの神宮帰還となる。

体調のご都合などで2名が欠席したものの、
全13名の「戦後女子球児」たちはみな興奮顔。

しかし、この日はあいにくの雨。
試合前に雨脚は激しくなり、18時前には中止が決まった。

それでも、日本女子プロ野球機構(JWBL)は、
このイベント実現に向けて献身的にサポートしてくれた。

結局、神宮球場でキャッチボールをすることはかなわなかった。
しかし、室内練習場脇のブルペンでイベントは決行された。

現役選手たちと戦後女子球児たち。
総勢30名超の新旧野球「少女」たちの競演。
その光景を見ているだけで、胸が詰まった。

簡単な準備運動の後、イベントは始まった。

5GUN6884


時間にして15分ほどだろうか?

(どれぐらい投げられるのだろうか……?)

事前に、そんな不安を抱いていたけれど、
みな10〜15メートルほどの距離を普通に投げている。
ステップを使って、軽快にスローイングしている人もいる。

私服姿では背中が丸まっていた人も心なしかしゃんとしている。
杖をついて現場にやってきた人も、杖なしで身体を動かしている。

現役選手たちからも「お元気ですね!」「ナイスボール!」と、
おばあちゃんたちに激励と賞賛の言葉がかかる。

真っ暗な夜空からは、相変わらず雨が降り続き、
風は4月のものとは思えぬほど冷たかったけれど、
それでも、そこには何とも言えない幸せな空気が充満していた。

※番組については、詳細が決定したらご報告します。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子 [単行本(ソフトカバー)]



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2013年01月14日

W杯3連覇への道・最終回【ついに、3連覇達成!】

取材・文/長谷川晶一、写真/報知新聞社
http://www.facebook.com/madonnajapan.hikari

六角好守

日本のマウンドには、ここまで3試合に登板して2勝1セーブと抜群の安定感を誇っている磯崎由加里(尚美学園大学)、アメリカの先発はジェニファー・ハンターが登板。先発の磯崎は、前日と同様スローカーブを多投するものの緊張のためなのか、それとも疲労のせいか、何度もピンチを迎える。

2回表・二死満塁の場面。ここでベンチから新谷博監督(元西武など)がマウンドへ駆け寄った。磯崎はこの回だけで二つの死球を与えていた。

(やばい、代えられるのかな?)

磯崎がそんなことを考えていると、新谷は短く言った。

「打ち取る気がないならやめてくれ」

それが、新谷の第一声だった。この場面を新谷は振り返る。

「ピッチャーの持つ《弱気》というのは、“ストライクが取れない”という怖さから生まれるんです。ピッチャーは誰でもフォアボールが怖い。だからストライクゾーンに投げて、そして打たれる。そうなると、相手バッターではなくストライクゾーンと戦い始めることになる。打たれてもいいんです。でも、“バッターに負けたくない”という闘志がなくなったのなら、僕はもう投げさせません。あの場面でマウンドに上がったのは、“お前は何のためにマウンドにいるの?”ということをもう一度、磯崎に思い出させるためでした」

新谷監督による激励が奏功し、この場面は見事にアメリカの2番打者を三振に切って取った。3番に入った「世界一の強打者」タマラ・ホルムズに打順が回れば、大量失点の可能性があっただけに、この場面を無事に切り抜けられたのは大きかった。

試合が動いたのは3回裏・日本の攻撃。二死走者なしから2番・六角彩子(侍)が振り逃げで出塁。続く三浦伊織(京都アストドリームス)、西朝美(アサヒトラスト)の連打で満塁にすると、ここで5番・川端友紀(京都アストドリームス)の死球で先制。さらに、6番・金由起子(ホーネッツ・レディース)がライト前に2点タイムリーを放って、日本は3点を奪い取る。

金タイムリー

日本の先発・磯崎は自軍の攻撃を見ることなく、ひたすらブルペンでピッチング練習を続けている。「投げれば投げるほど調子がよくなる」という磯崎は、試合途中でもしばしばブルペンに入る。このときもまたブルペンで本番さながらの投球を続けていた。

その後も磯崎の老獪な投球は続いた。

相変わらず走者を出すものの、なかなか得点に結びつかないアメリカ打線。先制した直後の4回表・アメリカの先頭打者にヒットを許したが、すぐにセカンドゴロに打ち取りダブルプレー。5回表も一死からヒットを打たれたものの、後続を断った。特にこの回は「世界一の大砲」として名高い、タマラ・ホルムズを見事に空振り三振に仕留めた。これは、タマラにとって今大会最初にして唯一の三振だった。

「まさに、狙い通り。思い描いていた通りの三振です」

キャッチャーの西が笑えば、磯崎も笑顔で振り返る。

「あの三振は西さんとの思いが完全に一致した三振でした」

盤石の信頼関係が築かれていた日本バッテリーの安定感は抜群だった。また、この日もサードを任された六角彩子の守備は鉄壁だった。どんなに強い当たりでも、どんなに難しいバウンドでも、六角は完璧なプレーでことごとくアウトにしていた。埼玉栄高校の同級生である磯崎のために、六角は鉄壁の守備で磯崎をサポートした。以前、磯崎が行っていたことがある。

「マウンドからサードの六角の姿が見える。それだけで安心できるんです」

6回裏・日本の攻撃が終わり、いよいよ最終回が始まる。マウンドに向かう際に磯崎は「最終回も頑張りましょう」と西に声をかけようとしたが、西が見当たらない。不思議に思っていると、西がダッグアウト裏から現れた。西は笑顔で磯崎に声をかける。

「よし、最終回! 気合い入れていこう!」

実は5回裏・日本の攻撃。ショートゴロを放った西は、一塁にヘッドスライディングをした際に、古傷の左ひざを傷めていた。平然とダッグアウトに戻ったものの、重大な異変が起きていることはすぐにわかった。左ヒザ靱帯を断裂したまま、だましだまし野球を続けてきた西でも、今までにない痛みを感じていたからだった。

西ヘッドスライディング

6回表・アメリカを三者凡退に抑えると、西はすぐにベンチ裏に引っ込んだ。トレーナーには「やばいかも」と短く告げた。ナインを動揺させないためにも、アイシングを施す姿は見られたくなかった。西の胸の内にあったのはただ一つの想いだった。

(この大会でぶっ壊れてもいい。あと1イニングだけ、あと1イニングだけでいいから、何とかもってほしい……)

悲壮な決意を抱いている西の状態を知らない磯崎が最終回のマウンドに上がった。しかし、この回も磯崎はピンチを招いた。プレッシャーのかかる準決勝と決勝に連日先発。前日は7回完投、そしてこの日も6回を無失点に抑えて7回に入っていた。重圧はさらに増し、疲労は極みに達していた。

先頭打者にヒットを許したものの、西がランナーを刺殺。何とかツーアウトまでこぎつけた。西陽の射しこむテラス・フィールドには3塁側日本スタンドから「あと一人」コールが響き渡る。しかし、「このコールを聞いて、勝ちを意識して力んだ」という磯崎は、ここから2番にファースト内野安打、3番にフォアボールを与えて、二死1、2塁としてしまう。この場面で、初回に続き新谷監督がマウンドへと上がった。

(あぁ、今度こそ本当に代えられるんだ……。代わりたくないな……)

ツーアウトになり、ブルペンからすべての投手が引き揚げていたものの、ヒットを打たれるとすぐに中島梨紗(侍)、そして里綾実(福知山成美高コーチ)が再びブルペンへと向かっていた。磯崎は覚悟を決めた。しかし、新谷の言葉は意外なものだった。

「お前ら、一体、何がしたいんだ?」

それが、このときの新谷の第一声だった。磯崎も、西も新谷の教え子だった。

「オレはお前たちに、フォアボールの出し方なんか教えてないぞ」

それは、ぶっきらぼうな性格で「いつも誤解されてばかりいる」と嘆く、新谷なりの精一杯の優しさだった。

「あと一人だ。弱気になるな、思い切っていけ!」

この間、わずか1分足らず。それでも、新谷の言葉によってマウンド上ですべてのプレッシャーを背負っていた磯崎の気持ちは大きくやわらいだ。

――そして。

アメリカの2番・エベレット・ケイトリンの打球は力なくセカンドの中野菜摘(尚美学園大学)の前に転がった。中野は無難にさばき、ファーストの金由起子へと転送。その瞬間、マドンナ・ジャパンの大会三連覇が決まった。

優勝の瞬間

会場となったテラス・フィールドはしばし歓喜の舞台へと変わる。新谷監督から始まり、清水稔コーチ(元三菱重工神戸監督)、志村亜貴子キャプテン(アサヒトラスト)の胴上げが続く。選手たちの瞳は潤んでいる。緊張の糸がぷつりと切れたのか、それまでは平然とプレーをしていたキャッチャーの西は、負傷した左足を引きずりながら涙をぬぐっている。

結局、連投となった磯崎は、アメリカに得点を許さずに7回を一人で投げ抜いた。今大会3勝目、通算防御率は0・33、文句のない投球で最多勝とベストナイン(先発投手)、そして大会MVPに輝いた。大会翌月には35歳になるベテランの金由起子は打点王を獲得

さらにベストナインには、救援投手部門では里綾実が、代表初選出ながら球際に強い攻守で何度もピンチの場面を救った出口彩香(尚美学園大学)はショート、プロから参加した三浦伊織は堅実な守備で外野のベストナインに輝いていた。そして、再三にわたって神がかり的な攻守を連発した六角彩子は最優秀守備選手賞を獲得した。

日本中の注目が同時期に行われていたロンドン・オリンピックに向けられている中、異国の地で懸命に戦った20名のマドンナ・ジャパンたち。世界の舞台で、その強さと華麗さ、凛々しさを存分に見せつけた。目指し続けた「世界最強」の称号は、今、確かに彼女たちの手の中にあった――。(了・文中敬称略)

新谷監督胴上げ


マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2013年01月13日

W杯3連覇への道・その16【そして、決勝が始まる……】

取材・文/長谷川晶一
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出口・吉井

準決勝のオーストラリア戦を「エース」磯崎由加里(尚美学園大学)の好投で制したマドンナジャパン。休む間もなく翌19日には決勝・アメリカ戦が行われる。怒涛の9連戦の9日目。疲労が蓄積していないはずはない。宿舎では、トレーナーでもある日本女子野球協会・大倉孝一理事長たちが、懸命に選手たちのケアを行っている。史上初の大会3連覇達成は、手の届くところまできている。あと1試合。この試合に勝てば、すべてが変わる。すべてが終わる。すべてが報われる。

13時50分、宿舎であるアルバータ大学学生寮を出発する。本来は14時出発予定だった。けれども、時間に正確な日本代表選手たちは、自然発生的に10分前には全員集合するようになっていた。大会最終日、こんなところにも日本チームの団結力が表れていた。

14時、試合会場であるテラス・フィールドに到着。グラウンドでは3位決定戦であるオーストラリア対カナダ戦が行われていた。その試合を見ながら、マドンナジャパン戦士たちは思い思いにストレッチを行っている。ある者はイヤホンで音楽を聞きながら、ある者はトレーナーにマッサージを受けながら。

14時30分、試合前のミーティングが行われる。清水稔コーチ(元三菱重工神戸監督)から、スタメンが発表される。その顔触れは前日とまったく同じだった。そう、先発は連投となる磯崎。今大会、抜群の安定感を誇る磯崎が準決勝に続いてマウンドに上がることになった。

1番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・川端友紀(DH・京都アストドリームス)
6番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
7番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
8番・出口彩香(6・尚美学園大学)
9番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
P・磯崎由加里(尚美学園大学)


志村キャプテンあいさつ

スタメン発表後、全メンバーを前に志村キャプテンが一通のメールを読み上げる。その手には、自身の携帯電話が握られている。神妙な面持ちで志村をとり囲む19名の選手たちの表情には、決戦を前にした緊張感と、ここまでの8日間で8試合を戦い抜いてきた疲労感が色濃く滲んでいた。メールの差出人は東京ヤクルトスワローズの宮本慎也だった。快晴のカナダの大空には真っ白な入道雲が浮かんでいる。日の丸のユニフォームに身を包んだ19名のマドンナ・ジャパン戦士は、キャプテンの言葉に静かに耳を傾けていた。

《まずは決勝進出おめでとう!!
アドバイスといっても戦っている人にしかわからないことがあるので偉そうなことは言えませんが……、私が言えることは、ビッグゲームは緊張して当たり前ということ。
私もそうです。緊張していることを自覚して戦って下さい! そうすれば注意度も上がり、頭が真っ白という状態はなくなります。
緊張したらダメではなく、緊張するからこそ、緊張を自覚し、確認作業を行い、いいプレーが出来ると思います。緊張しない人は、そんなこと考えず思いっきりやって下さい!
あと、このメンバーでゲームができるのもこれが最後だと思います。日本代表のプレッシャーの中、みんなで協力してきたことを頭に入れて、体全体で目一杯、表現して下さい! 素晴らしい結果になることを日本から祈っています。サッカーに負けるな、マドンナ・ジャパン!》


志村が読み終えると、選手たちの表情に生気がよみがえる。

「……えっと、最後にちょっといい?」

手にしていた携帯電話をしまうと、志村は言葉をつないだ。宮本からのメールを読み上げた後、志村は自分の言葉で「キャプテンとしての思い」をチームメイトに伝えた。

「今日の試合はこのメンバーでやる最後なんで、最高のメンバーで、最高の瞬間を味わいましょう!」

帰国後、この場面を志村が振り返る。

「以前から、決勝前にはキャプテンとして何かを言いたいと思っていました。“どんなことを伝えようかな”と考えていたときに、宮本さんのメールに“このメンバーで戦うのも最後”と書かれているのを読んで、頭に浮かんだのがあの言葉だったんです。あれは私の本心です。“本当に、このメンバーで優勝したい”という思いから出た言葉です。でも、照れくさかったし、あんまり真面目な硬い雰囲気は自分に似合わないから、“はい、名言出ました!”みたいに、少し冗談っぽくしたんです」

この瞬間こそ、志村流のキャプテンシーの完成形だった。そして、試合開始直前、新谷博監督(元西武など)はブルペンに行き、6人の投手陣に檄を飛ばした。

「今日はどんな結果になるとしても、この6人と西と直井、バッテリー全員で戦おう。この6人は世界最強の投手陣だ。誇りと自信を持っていこう! アメリカ、ナンボのもんやねん!」

ブルペンにいた大倉理事長も磯崎を激励する。

「いいか、イソ。これが最後だ、思う存分投げておいで。いけるところまでいったら、あとは里もいるし、ナカシもいるんだから」

この言葉を聞いて、不覚にも僕も胸が熱くなった。ここまで激闘を続ける磯崎の頑張る姿、来る日も来る日もブルペンで待機し続けていた里綾実(福知山成美高コーチ)、そして「ナカシ」 こと、中島梨紗(侍)の黙々と投げ続ける姿が一気に脳裏にオーバーラップしてきたからだった。

ついに、試合が始まろうとしていた。

バッテリーミーティング


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2013年01月12日

W杯3連覇への道・その15【準決勝・「エース」磯崎の奮闘!】

取材・文/長谷川晶一
http://www.facebook.com/madonnajapan.hikari

磯崎・西

順当に予選リーグ7試合を6勝1敗で1位通過したマドンナジャパン。現地時間8月18日からは、予選上位4チームによるトーナメント戦がスタート。新谷博監督(元西武など)率いる日本チームは、18日15時から、予選4位のオーストラリアと準決勝を戦う。

大事な一戦を任されたのが、尚美学園大の磯崎由加里。予選3戦目のキューバ戦に先発して5回完封、同じく6戦目のオーストラリア戦にリリーフし2回パーフェクト。今大会、絶好調の21歳、頼れる右腕だ。速いカーブと遅いカーブ、それぞれがカウント球、勝負球となり、ストレートのキレもいい。緩急で勝負できる好投手て若くして、老獪な投球術が自慢だ。

磯崎
注目のスターティング・メンバーは以下のとおり。

1番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・川端友紀(DH・京都アストドリームス)
6番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
7番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
8番・出口彩香(6・尚美学園大学)
9番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
P・磯崎由加里(尚美学園大学)


投手以外は、前夜のカナダ戦と一緒のオーダーだった。

清水コーチと外野陣
試合前には、清水稔コーチ(元三菱重工神戸監督)が外野陣を集め、ミーティングを行っていた。前夜のカナダ戦といい、予選のアメリカ戦、オーストラリア戦といい、外野への飛球が、思いのほか伸びることへの注意だった。このミーティングで、この試合では長打ケアを優先することが確認された。

さて、磯崎は、この日も絶好調だった。初回を三者凡退に抑える上々の滑り出し。ただ、少し気になったこともあった。この日の僕の取材ノートには「スローカーブ多投気味」と走り書きが残されている。

しかし、オーストラリア打線は磯崎のカーブにまったくタイミングが合わない。3回に1点を失うものの、走者を出しながらも、要所を締めて、付け入る隙を与えない。一方の日本打線は、先制を許したものの、3回裏に相手のエラーで同点に追いつき、1番・中野の、この日2安打目となるセンター前、3番・三浦のセンターオーバーツーベースで、合計3点を挙げて、一気に逆転。試合を優勢に進める。

さらに、その後も日本チームは加点し、5対1で勝利する。

試合終了直後、磯崎・西のバッテリーに話を聞いた。聞きたかったのは、「スローカーブの多投について」だった。

磯崎・西
開口一番、捕手の西は言う。

「意識としては、カーブ8割、ストレート2割のつもりでした」

その比率に驚いていると、西がさらに補足する。

「磯崎のカーブは、わかっていても打てないんです。私が普段、イソと対戦するときも、そうなんです。たとえ4球続けられても、まったく打てない(笑)」

この「8対2」の割合で、前半は行けるところまで行き、タイミングが合い始めたところから、パターンを変える。それが、磯崎・西のバッテリーと新谷監督の作戦だった。

さらに、西の頭にあったのは、

(もし自分なら、どんな配球がイヤか?)

という思いだった。今大会、すでに3つも敬遠されている世界的強打者の西選手の「打者としての視点」が、磯崎の、さらなる長所を引き出したといえるのかもしれない。こうして、オーストラリア打線は最後まで磯崎投手のカーブをとらえることはできず、手も足も出ないまま敗れ去った。

代表歴は今回が二度目。21歳の磯崎は、紛れもなく今大会のエースだった。新谷監督が「代表投手陣の中で最も、相手バッターを見ることができる」と絶賛し、「相手バッターの嫌がるピッチングができる」と信頼する投手。それが磯崎だった。

試合後ミーティング
試合後、新谷監督は「いいゲームだったね」と振り返りつつも、「すべては明日!」と、さらに気を引き締める。

そして、この試合の後、カナダ対アメリカ戦が行われ、この試合の結果、19日の決勝戦は日本対アメリカに決定。予選リーグで、日本が唯一の敗戦を喫している相手だけに、ぜひここでリベンジを果たし、初の三連覇を実現させたいところ。

……さぁ、泣いても笑ってもあと1試合。運命の一戦となる決勝戦。はたして先発は誰になるのか? 新谷監督の腹は決まっていた。そう、最も頼りになる「エース」を起用することをすでに決めていた……。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2013年01月07日

W杯3連覇への道・その14【第7戦・薄氷の勝利も予選1位通過!】

取材・文/長谷川晶一

カナダ・エドモントン、現地時間17日19時半。第5回女子野球ワールドカップ大会8日目。予選リーグ最終戦となるカナダ戦が行われた。ここまで、カナダは6戦6勝、対する日本は6戦して5勝1敗。この試合前にアメリカがベネズエラに敗れ5勝に終わったため、このカナダ戦に日本が勝利すれば、ともに6勝1敗で並び、当該国間の勝敗により、日本の1位通過が決定する。

すでに予選通過を決めているとはいえ、1位通過すれば、準決勝は4位のオーストラリアと、2位通過ならば、準決勝は3位のアメリカと戦うことに。予選リーグでアメリカに敗れている日本としては、ぜひとも1位通過を果たして、オーストラリアに勝ち、アメリカとカナダの潰し合いを待ちたいところ。

出口・中野
大事なこの試合、先発はアメリカ戦以来となる新宮有依(平成国際大学)。

新宮・カナダ国旗
日本屈指の速球派右腕に期待がかかる。予選2戦目のアメリカ戦、そして予選最終戦のカナダ戦、強豪国相手にいずれも新宮は先発マウンドを託されていた。監督からの信頼は絶大だった。注目のスターティング・メンバーは以下の通り。

1番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・川端友紀(DH・京都アストドリームス)
6番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
7番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
8番・出口彩香(6・尚美学園大学)
9番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
P・新宮有依(平成国際大学)

金曜の夜ということもあって、テラス・フィールドには今大会で最も多くの観客が。後の発表では、この日の観衆は5100名だったという。もちろん、その大半は地元・カナダの応援ばかりだ。久々に本格的なアウェイ状態の中で、日本はどう戦うのだろうか?

定刻より2分遅れて、19時32分、試合が始まる。

前回のアメリカ戦同様、ブルペンでは絶好調だった新宮。しかし、立ち上がりからカナダ打線につかまる。先頭打者にツーベース、2番にライトへ運ばれ、いきなりのピンチ。3番を三振に斬ったものの、4番のファーストゴロで1点を失う。

大会終了後、新宮がこの場面を振り返った。

「今回は、それまで自信を持っていたインコースのストレートを狙い打ちされました。カナダの先頭打者にもいきなりツーベースを打たれて、自分のリズムをつかむことができませんでした。前回は通用したボールが通用しなかったので、“一体、どこに投げたらいいんだろう?”という思いがあって、そういうボールはやっぱり打たれました……」

この回は何とか1点で切り抜けた新宮だったが、アウトになった打球も当たりの鋭いものばかりで、カナダ打線にとらえられていたのは間違いなかった。それでも、世界有数の超強力打線を誇る日本打線は、1回裏、4番・西の2点タイムリー、2回裏には2番・六角、3番・三浦のタイムリーで追加点。

そして、3回には出口のスクイズで、さらに1点。とどめは4回、二死満塁から金の走者一掃ツーベース。中村のセーフティースクイズと、怒涛の攻撃で9得点。4回を終えて、得点は9対1。試合を決めたかに見えた……。

日本ベンチ
それまで慌しかったブルペンも、ようやく落ち着き、明日以降を見据えた調整の場となっていた。

しかし――。

野球とは、目に見えない「流れ」というものを、いかに自軍に引き寄せるかというスポーツ。日本が手にしていたと思えた「流れ」は、知らず知らず、カナダへと傾いていく。ワイルドピッチがからんで2点を失った5回裏。失点を喫した後の大事な5回に日本は三者凡退。続く6回も、いい当たりを放つものの三者凡退。それでも得点は9対3で、最終回を迎える。この時点で、マウンドには吉井萌美(平成国際大学)。新宮、吉井の平成国際大学コンビの継投で、勝利はもう目の前まで来ていた。ブルペンでは、もう誰も投げていない。中島梨紗(侍)はすでに明日に備え、アイシングをしている。

しかし、ここからカナダの怒涛の攻撃が始まる。吉井が連打を許しピンチを迎えると、ここまで2勝の小西美加(大阪ブレイビーハニーズ)にスイッチするものの、小西もカナダの勢いをとめられず、大慌てで、今大会絶好調の里綾実(福知山成美高コーチ)に交代。すでにクールダウンしていた中島は、右肩の氷袋を外し、ブルペンでの投げ込みを始める。

得点は9対7。一死満塁の大ピンチ。長打が出れば、逆転というケース。しかし、ここで里は何とか踏ん張り、ダブルプレーで、日本は薄氷の勝利を収めた。

試合後整列
試合後、新谷博監督(元西武など)は満面の笑みで「疲れた……」とひと言。しかし、その後すぐに表情が引き締まり、

「油断があったとはいわないけど、あそこまでカナダが粘るとは。継投に関しても、常に万全を期さないといけないな。明日からは負けられない戦いが続く。全力で勝ちに行きますよ」

新谷監督

試合終了時点で、すでに22時を回っていた。監督にとっても、選手にとっても長い一日は、こうして終わった。

……さぁ、現地時間18日15時からは準決勝・オーストラリア戦。予選で10対0でコールド勝ちした相手とはいえ油断は禁物。監督の言葉にあるように、全力で勝利を目指してほしいもの。

1位・日本          7試合6勝1敗
2位・カナダ         7試合6勝1敗
3位・アメリカ        7試合5勝2敗
4位・オーストラリア     7試合4勝3敗
5位・チャイニーズ・タイペイ 7試合3勝4敗
6位・ベネズエラ       7試合3勝4敗
7位・キューバ        7試合1勝6敗
8位・オランダ        7試合0勝7敗
(現地時間17日終了時点)

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2013年01月06日

W杯3連覇への道・その13【第6戦・オーストラリアに完勝!】

取材・文/長谷川晶一

六角・海外メディアからの取材


現地時間16日・15時。第5回女子野球ワールドカップ、大会7日目。日本対オーストラリア戦が行われた。ここまで、5試合を戦い、4勝1敗の日本と、3勝2敗のオーストラリア。

この日の試合前、日本女子野球協会・長谷川一雄会長から「世界の王さん」から届いたメールの文面が披露された。

「厳しい条件なのは、どこも同じ。一戦、一戦を大切に戦ってください」

この日、台湾がアメリカに破れたために、この試合に勝てば、日本の4位以上が確定。ベスト4に進出し、決勝リーグへと駒を進められる。この日の先発は、かつてオーストラリアリーグに所属し、プレーをしていた経験を持つ中島梨紗(侍)

中島 ・試合前
相手の先発メンバー10名のうち8名は、かつてのチームメイトや対戦相手だったという。前日には、ノートとペンを片手にオーストラリアの試合を視察した中島。互いに手の内を知り尽くしている戦いは、はたして有利に働くのか、それとも……。

この日の、スターティングメンバーは、

1番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
2番・出口彩香(6・尚美学園大学)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・川端友紀(DH・京都アストドリームス)
5番・六角彩子(5・侍)
6番・直井友紀(2・侍)
7番・大山唯(3・尚美学園大学)
8番・萱野未久(7・シリウス)
9番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
P・中島梨紗(侍)


キューバ戦で、打球を左目に当てて負傷退場した萱野も、この日から無事にスタメン復帰。また、代表初選出で初スタメンとなる直井が先発マスクをかぶることとなった。

そして、試合が始まる。

中島は初回、先頭打者にヒットを許すものの、見事な牽制球でアウトにする。しかし、3番打者にフォアボールを出すものの、この場面は4番をサードゴロに仕留め、ベテランらしいまずまずの立ち上がりを見せた。

一方、先制点の欲しい日本は、1回裏にいきなりチャンスが訪れる。

1番・中野、2番・出口の連続フォアボールでチャンスを作ると、3番・三浦が投手前にバントを決め、これを相手投手が暴投する好きに1点を奪取。続くバッターは、今大会初の4番を任された女子プロ球界最大の看板スター・川端友紀。

川端
打席に入る前に、新谷博監督(元西武など)は、川端を呼び寄せ、何事かを耳打ちする。そして、川端選手はきれいに流し打ちをして、レフト前にタイムリーヒットを放つ。試合後、この場面について話を聞いた。

「監督からは、“ベースギリギリに立って、アウトコースを狙え”って、言われました。監督の指示通りに打つことができてよかったです!」

監督の指示通りに忠実にプレーができる川端。プロの世界で毎年活躍し続けているのも納得だ。その後、中島は徐々に調子を上げていき、4回を無失点。後続を磯崎由加里(尚美学園大学)に託す。

磯崎
13日のキューバ戦で完封した磯崎はこの日も絶好調。5回、6回を打者6人でパーフェクトに抑えた。こうして、日本代表は10対0でオーストラリアを退け、見事に決勝リーグ進出を決めた。さぁ、これで怒涛の9連戦も6試合を消化。泣いても笑っても、残り3試合だ。

翌17日に行われる予選最終戦は、全勝のホスト国・カナダとのナイトゲーム。カナダに5対0で勝利すれば、予選1位通過となる。1位通過すれば、4位・オーストラリアとの対戦。2位通過となれば、3位・アメリカとの対戦。当然、1位通過を狙いアメリカとの対戦は避けたいところ。

1位・カナダ         6試合6勝0敗
2位・日本          6試合5勝1敗
3位・アメリカ        6試合5勝1敗
4位・オーストラリア     6試合3勝3敗
5位・チャイニーズ・タイペイ 6試合3勝3敗
6位・ベネズエラ       6試合2勝4敗
7位・キューバ        6試合0勝6敗
8位・オランダ        6試合0勝6敗
(現地時間16日終了時点)



マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2013年01月04日

W杯3連覇への道・その12【第5戦・ベネズエラに完勝!】

取材・文/長谷川晶一

新谷監督・試合後ミーティング
カナダ・エドモントン、現地時間15日10時。第5回女子野球ワールドカップ、大会6日目・ベネズエラ対日本戦が行われた。ここまで日本は4戦を行い、3勝1敗。第2戦のアメリカに敗れたものの、まずまずの成績。予選突破を確実なものにするためにも、この日のベネズエラ戦は、何としてもモノにしたいところ。

注目の先発は、10年に行われた前回大会第4回W杯で、開催国・ベネズエラ相手に好投した里綾実(福知山成美高コーチ)。大きく曲がるスライダーと、打者の手元でキュッと変化する小さなスライダーが武器の好投手。

里
この日の、スターティングメンバーは、

1番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
2番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・川端友紀(6・京都アストドリームス)
6番・六角彩子(5・侍)
7番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
8番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
9番・田中幸夏(DH・兵庫スイングスマイリーズ)
P・里綾実(福知山成美高コーチ)


第3戦のキューバ戦以降、三浦、西、川端の超強力クリーンアップで臨む。

カナダの夏空
この日は、前日の大荒れだった天候が一転し、肌を焼くような強い日差しの中での戦いとなった。期待の里は、堂々たるピッチングを見せてくれた。初回を三者凡退に斬ってとると、2回にヒットを許したものの、3回から6回まで三者凡退、凡打の山を築く。ストレートはスピードがあり、変化球のキレはよく、ベネズエラ打線は面白いように空振り、あるいは、内野ゴロ(特にショートゴロ)ばかりだった。

また、この日のアンパイアの判定も最初は不可解なものだった。しかし、前回のアメリカ戦とは違って、広いなりに一定していたので、2回以降は、アンパイアのクセを把握した上で、日本打線は、2ストライク以降くさい球が来た際には、ファールで逃げるという作戦で、2回に金選手の2点タイムリー、5回には中野選手のショート内野安打で加点。試合は3対0で、日本が勝利した。

里・試合直後
試合後の里は、うれしさを隠せない様子で、「まったく疲れていません」と笑顔で語る。

この日の試合後、新谷博監督(元西武など)の言葉で印象的なフレーズがあった。

「中村の先頭打者フォアボール、あったでしょ? ああいうのを待っていたんです」

新谷の言う「中村の先頭打者フォアボール」とは、7回表の場面だった。3対0で日本がリードしていた最終回。先発・里が好投していたとはいえ、少しでも追加点が欲しい場面だった。ここで中村は、粘りを見せて四球を選んだ。確かに、新谷の言う通り、自分を殺してチームのために「何とかしたい」という意思が垣間見える打席だった。少しずつ、チームとしての完成度も高まりつつあることが感じられるシーンだった。

……さぁ、翌16日からは、オーストラリア、カナダと強豪国との戦いが始まる。

1位・カナダ         5試合5勝0敗
2位・日本          5試合4勝1敗
3位・アメリカ        5試合4勝1敗
4位・オーストラリア     5試合3勝2敗
5位・チャイニーズ・タイペイ 5試合3勝2敗
6位・ベネズエラ       5試合1勝4敗
7位・キューバ        5試合0勝5敗
8位・オランダ        5試合0勝5敗
(現地時間15日終了時点)


日本チームの試合終了後、中島梨紗(侍)が、新谷監督、清水稔コーチ(元三菱重工神戸監督)とともに、オーストラリア戦を視察。そう、翌日は投手副キャプテンの中島が、満を持して先発する。はたして、どんな試合となるのか?


……なおこの日、キューバの選手が一人亡命した。一時、宿舎周辺は警察関係者に囲まれていた。まさに国際大会。何が起こるかわからない。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2013年01月03日

W杯3連覇への道・その11【第4戦、小西美加、雨中の好投!】

取材・文/長谷川晶一

スタメン発表
カナダ・エドモントン、現地時間14日17時半から、第5回女子野球ワールドカップ大会5日目、日本対チャイニーズ・タイペイ(台湾)戦が行われた。当初の予定では15時試合スタートの予定だったが、12時過ぎ、日本チームが宿舎を出たところで、突然の雨。 球場に着く頃には本降りとなっており、第1試合のオーストラリア対ベネズエラ戦は中断していた。

小西・西
この日の先発は、初戦の対オランダ戦で勝ち投手となった、女子プロ野球の大エース・小西美加(大阪ブレイビーハニーズ)。試合再開のめどが立たないまま、黙々とストレッチをしたり、一人でランニングに励んだり、独自の調整を続けていた。その後、一度宿舎に戻り、大会本部からの連絡を待つことに。「いつ始まるのか?」、「順延になるのか?」、何とも不安定な状況の中、「17時、試合スタート」という連絡が入る。

この時点で、すでに試合開始2時間前を切っていた。代表チームは再び、バスに乗り込み球場へ。球場に着くと、小降りの雨の中、あわてて準備に取り掛かる。

試合前整列
こうして始まった、日本にとっての第4戦――。この日の、スターティングメンバーは、

1番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
2番・中野菜摘(6・尚美学園大学)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・川端友紀(DH・京都アストドリームス)
6番・六角彩子(5・侍)
7番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
8番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
9番・出口彩香(6・尚美学園大学)
P・小西美加(大阪ブレイビーハニーズ)


この試合、投手にとって、集中力を切らすことなく、かと言って、緩めるところはきちんとリラックスしなければならないという、実に気持ちのコントロールが難しい状況下において、小西投手は、堂々たるたくましいピッチングを披露する。 3回こそ、エラーがらみで1点を失ったものの、味方の大量援護に守られて、11対1、5回コールド勝利。今大会、2勝目をマーク。

小西・試合後
降雨、試合開始時間変更、中断、ぬかるみのマウンド……、度重なる悪条件について、試合終了直後に小西投手に話を聞いた。

「私の場合、ちょっと何かがあるほうがピッチングがいいんです。たとえ不利な状況であっても、“私にとっては好条件”って、思っていました。気持ちのメリハリについては、私ももういい歳なので大丈夫(笑)。(試合開始が)何時になろうと、夜中になろうと、私が先発することには変わらないんだから」

06年夏、台湾で行われた第2回W杯。ここで小西はメンタルの弱さを露呈した。あれから6年、メンタル面の課題を克服した強さに、僕は感動していた。小西の言葉は、さらに続く。

「……それに、これで抑えたらカッコいいじゃないですか」

それは、プロの世界でエースとしてやってきた、この2年半が何であったのかを、改めて感じさせる実に「カッコいい」言葉だった。しかし、第7戦で、小西にさらなる試練が訪れるのだが、それは後述したい。

そして、この日。前日左目に打球を当てて途中退場した萱野未久(シリウス)も無事に練習に参加。

萱野
「もう大丈夫です」と笑う、その目は青アザが生々しいけれども、決勝リーグまでには間に合うという。まずはひと安心。


1位・カナダ         5試合5勝0敗
2位・日本          4試合3勝1敗
3位・アメリカ        4試合3勝1敗
4位・チャイニーズ・タイペイ 5試合3勝2敗
(現地時間14日終了時点)

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2012年12月31日

そう、「それでも、真っ直ぐ、前を――」!

2013年、すばらしい年に!

2012年も、いよいよ暮れようとしています。
今年は、どんな一年だったでしょうか?

最近、とみにこの日本全体を取り巻く閉塞感や、
行きかう人々の活気、活力の不足を感じるような気がします。

2008年秋のリーマンショックは、フリーランスにとっても、
ジワジワと暗い影を及ぼし始め、辛い思いをしました。
2011年の東日本大震災にも大きな打撃を受けました。

それは、フリーランスライターに限らず、
他の職種においても同様のこと思います。

そんな時代において、自分に何ができるのか?
自分が果たすべき役割とは何か?
そんなことを考えながら、少しでも、
勇気や元気を感じられる物語を作りたいと思っています。


今年一年はいろいろな取材、執筆をやらせていただきました。

2月に『不滅 元巨人軍マネージャー回顧録』を、

不滅 元巨人軍マネージャー回顧録
不滅 元巨人軍マネージャー回顧録


そして、8月には『私がアイドルだった頃』を、

私がアイドルだった頃
私がアイドルだった頃


さらに12月に、『マドンナジャパン 光のつかみ方』を発売しました。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子


1年間に3冊の単行本を出版。個人的には大きな自信となりました。
取材を通じて出会った方々は、みな生きる勇気を与えてくれました。

『不滅』で描いた、巨人軍の元マネージャーは、生涯を通じて、決してスポットライトを浴びることはなくても、裏方として生きる美学、「どんな人にも与えられた役割があり、それをまっとうすることでこそ輝く」、そんなことを教えていただきました。

『私がアイドルだった頃』に登場してくれた「元アイドル」たちは、「いいときもあれば悪いときもある。それでも決して浮かれ過ぎても、腐ってもいけない」、そんなことを学ばせていただきました。

『マドンナジャパン 光のつかみ方』で描いた、女子野球日本代表20名――マドンナジャパン――からは、自分の好きなことを貫き通す強さと凛々しさ、「たとえ困難に直面しようとも、諦めず、嘆かず、やり抜くことの大切さ」、そんなことを伝えていただきました。


来年は、春に一冊、秋に一冊の新刊も発売予定です。
再来年刊行を目指した新連載もいよいよ始まります。
その他にも、準備を進めている企画も、いくつかあります。

いろいろとふさぎこむことも多く、生きることの難儀を感じます。
日々の中で、心が折れることも、悲嘆にくれることもあります。
それでも、真っ直ぐ、前を見据えて、力強く生きていきたいです。

そう、それでも、真っ直ぐ、前を――
そんな思いで、来るべき2013年を迎えたいと思っています。

皆々さま、今年一年、どうもありがとうございました。
どうか、よい年をお迎え下さい。





shozf5 at 12:22|Permalink ボーッとしながら考える 

2012年12月30日

W杯3連覇への道・その10【第3戦、新谷博の名采配】

取材・文/長谷川晶一

全員集合

カナダ・エドモントン、現地時間13日11時。第5回女子野球ワールドカップ、一次予選第3戦・日本対キューバが行われた。前日のアメリカ戦では、2対5というスコア以上の屈辱的な敗戦を喫しただけに、ここは気分一新を期待したいところ。

この日、前夜の敗戦を受けて、新谷博監督(元西武など)は、早々に動いた。試合前に、新谷は選手を集めて「緊急ミーティング」を行った。それは「謝罪」から始まるものだった。

試合前ミーティング

「昨日のジャッジで、みんなを迷わせてすまなかった。これからはベンチから指示を出すから、もう何も迷わなくていい。フォアボールの後の初球など、“ここは見逃すな”というときには、積極的に打ってほしいし、“ここは粘ってくれ”というときには、何とかファールで頑張ってくれ。なるべく打席で迷わないように、ベンチから指示を出す。スッキリと自信を持って打席に立てるようにするから安心してほしい」

前夜のアンパイアのジャッジに対して選手たちは疑心暗鬼になっていた。このままの状態で大会を進めていくのは、あまりにも危険だった。僕自身も、「早急に対策を講じる必要がある」とは思っていたが、新谷監督は絶妙なタイミングで的確な指示を出した。

磯崎・ブルペン

先発マウンドを託されたのは、尚美学園大の磯崎由加里。カーブ、シュート、スライダーを操る磯崎投手は、埼玉栄高校時代から注目の投手で、スローカーブで打者を翻弄する巧みな投球術が持ち味。前回大会でも、日本三本柱の一角を占めていた。

田中
また、この日はプロから代表入りした田中幸夏(兵庫スイングスマイリーズ)がスタメン起用され、今大会初めての試合出場を果たす。田中は神村学園高校時代の04年、このエドモントンで開催された第1回大会出場経験を持っていた。このときは中心選手として大活躍し、日本の準優勝に大きく貢献した。

「8年前と比べて、球場がきれいになったかな?久しぶりのジャパンなので、頑張ります!」

この日の、スターティングメンバーは、

1番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・川端友紀(DH・京都アストドリームス)
6番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
7番・出口彩香(6・尚美学園大学)
8番・田中幸夏(4・兵庫スイングスマイリーズ)
9番・萱野未久(7・シリウス)
P・磯崎由加里(尚美学園大学)


この日、前日までの2試合から打線を変更する。過去ずっと先頭打者を任されてきた志村が1番に、ポイントゲッターとして期待される三浦を3番に起用。そして、この用兵は見事に的中する。

1回裏の日本の攻撃で、1番・志村が四球で出塁すると、相手チームの守備の乱れに乗じて、無死二、三塁として、3番・三浦が見事にセンター前に2点タイムリーヒット。前日の嫌な雰囲気を一瞬で吹き飛ばした。

三浦・大山
投げては、磯崎投手が緩急自在のピッチングで、キューバ打線を翻弄。決して速球派でもないのに、面白いように打者はタイミングを狂わされ、空振りの山を築く。4回表は三者三振という、実に小気味いい投球を披露した。この試合だけに限らず、磯崎の安定感はいつも抜群だった。あるとき、新谷監督がこんなことを言っていたことがある。

「長谷川さん、イソが打たれたり、ピンチを背負っているイメージってありますか?」

改めて、そう問われてみれば「ありません」としか、答えようがない。常にピッチャー有利のカウントでピンチらしいピンチを見た記憶がない。ミート技術に優れた日本打線 でさえそうなのだから、大振りが目立つ外国打線ではなおさらだ。この試合によって、改めて新谷監督の胸の内には「磯崎は使える」という想いが芽生えたことだろう。

2回表の守備で、レフトの萱野が、打球を左目に当て途中退場というアクシデントもあったが、日本チームは浮き足立つことなく落ち着いていた。(検査の結果、萱野選手に異常はなかった)。結局試合は、終始日本ペースで10対0、5回コールド勝利。文句のない、戦いっぷりだった。

……しかし、マドンナジャパンを率いる新谷博監督は、この勝利を手放しで喜んではいない。

試合終了直後、選手たちをレフト付近に集め、厳しい口調で、緊急ミーティングを始めた。

試合直後ミーティング
これまで、新谷監督に何度も取材を行ってきたが、その口調は今までにない《激しさ》に彩られていた。

「ここにきて、みんなプレーが軽い、オレたちがやっているのは、“明日負けたら、終わり”の戦い。サインミスなんかしてる場合じゃないだろ!ワンプレーごとにいちいち喜ぶな。日本に帰ってから喜べ!」

これも珍しいことだが、このとき新谷監督は、実名を挙げて、名指しで数名の選手を批判する。

「……普段はあまり名前を出さないけど、川端、三浦! オレたちは《今日、負けたら終わり》の試合、やってんだよ。バントミスしました。ごめんなさい。練習して、明日できればいいっていう話じゃないんだ。……そして金。この期に及んでサインミスなんかしている場合じゃないだろ」

決して諭すような口調ではない。新谷の語気は強かった。
選手間に緊張が走る。本人の言う通り、選手を名指しで批判するのは新谷にしては異例のことだった。名指しされた川端、三浦、そして金の表情が、一段と引き締まる。これからしばらくして、監督に「激」の真意を聞いた。

「選手たちに“今のままでは勝てない”と気づいてほしいんです。以前から“日本代表ってそんなに甘いものじゃない”って、口を酸っぱくして言ってきたけど、それが薄れてきたようだから」

そして、最後にこう口にする。

「結局、僕自身が選手たちに遠慮していたのかもしれない。でも、昨日アメリカに負けたことで、僕自身が変われた。代表の重みをもう一度きちんと伝えたかったんです。アメリカに負けたことでそう思えたんです。選手たちに改めて“今のままじゃ勝てないぞ”っていうことに気がついてほしかった。送りバントが成功してガッツポーズが自然と出るような、そんなチームにしたいんです。ひょっとすると、僕の中で選手たちに対する遠慮があったのかもしれない。でも、アメリカに負けたことで、僕自身が吹っ切れました。あの敗戦で、僕自身が“このままじゃ勝てない”と気づいたのかもしれない」

前夜の敗戦を糧にして、また一歩踏み出したマドンナジャパン。後に振り返ってみたときに、間違いなくターニングポイントとなる一瞬。そんな瞬間が、この日の試合前と試合後の二度の緊急ミーティングだったと言えるだろう。この二度のミーティングこそ、大会3連覇を実現した、新谷博の「名采配」だった。

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2012年12月29日

W杯3連覇への道・その9【第2戦、まさかの黒星……】

W杯3連覇への道・その9【第2戦、まさかの黒星……】
取材・文/長谷川晶一


新宮・直井

カナダ・エドモントン、現地時間8月12日19時半。テラスフィールドにて、第5回女子野球ワールドカップ、日本チーム第2戦となる対アメリカ戦が行われた。 前日のオランダ戦に快勝し、いい雰囲気で臨んだ試合だった。試合前には、この日19歳の誕生日を迎えた吉井萌美(平成国際大学)の誕生日を日本人スタンド全員で祝福するなど、実に和やかなムードで臨んでいた。

吉井バースデー

しかし、結論から言えば、この日のアメリカ戦は、2対5で敗れる。それは、「わずか3点差」とは言えない、「完敗」というべき試合内容だった。

前日21点を奪った日本打線はわずか2安打に封じ込まれた。それでも、ゲッツー崩れと犠牲フライで2点を奪えたのは、合計で9四死球と制球の定まらないアメリカ投手陣のおかげとしか言いようがなかった。改めて、試合を振り返りたい。

新宮・ブルペン
この日のスターティングメンバーは、

1番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・川端友紀(6・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
6番・新井純子(DH・尚美学園大学)
7番・大山唯(3・尚美学園大学)
8番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
9番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
P・新宮有依(平成国際大学)


アメリカの練習を見つめる
先発の新宮は、決して内容は悪くなかった。ブルペンでは、すべての球種がコントロールよくキャッチャーのミットに納まっている。埼玉栄高校時代にバッテリーを組んでいた直井友紀(侍)も、試合前には「今日の新宮、なかなかいいですよ!」と上気した顔で語っていた。それでも、新宮はなかなかリズムに乗り切れない。

……それは、なぜか?

選手や協会関係者が言えば「言い訳にすぎない」と非難されるから、決して口にはしないが、この日の主審の判定はひどすぎた。言っても仕方のないことかもしれないが、初回の日本の攻撃から、「アレ?」という不可解な判定が続いた。僕の取材ノートには、2回の時点で、

「主審の判定、揺らぎすぎ」

と書かれている。

とにかく、アメリカに有利に有利に判定されていた。アメリカの打者陣が手が出なかった投球がボールになり、一方で日本の打者陣が「ボール」と思った球がストライクになるため、必然的に「追い込まれる前に打とう」と早打ちになる。カナダ人球審に対して、「最大のライバル国、日本不利に判定しているのでは?」という猜疑心が、ついつい芽生えてくる。

しかし、9四死球をもらいながら、2安打しか打てなかったのも事実。「打線は水モノ」というフレーズが、改めて頭に残る。

スコア

また、アメリカの4番・タマラ・ホームズはこれまでの大会で何度も見てきたが、相変わらず超長距離砲で、この日は三塁打が2本、二塁打が1本。38歳で迎えた今大会でも、その破壊力はまだまだ健在だった。もし決勝、もしくは準決勝で再び対決するときのために、「ホームズ対策」が何としてでも必要だった。後に明らかになるが、このときすでに新谷博監督(元西武など)の中には「タマラ対策」があったという。それは、後に触れたい。

新谷監督・試合後
試合後、新谷監督は言った。

「負けたけれど、別に悲壮感を漂わせても仕方がないんで、切り替えるところは切り替えて、明日のキューバ戦に臨みたい」

アンパイアのジャッジについて尋ねると、一瞬表情を曇らせた後、

「平等だったら構わないんだけど、(アメリカ有利に)ちょっと偏っていたかな……」

と、多くを語らない。

この日の唯一の収穫は、新宮をリリーフした里綾実(福知山成美高校コーチ)中島梨紗(侍)が好投を見せたことだった。里はタマラにスリーベースを打たれるなど1失点を喫したものの、前回大会で各国を切りきり舞いさせたスライダーが今大会も通用することが証明されたし、ベテラン・中島は巧みな投球術で老獪なピッチングを披露した。この2人の活躍が、この日の日本にとっての希望だった。

里

試合終了直後、観客席にいた地元の人が、スタンドから大声で、清水稔コーチ(元三菱重工神戸監督)を呼び止める。

地元ファンからの激励
通訳が駆け寄り、話を聞くと、彼の言い分はこうだ。

「あまりにも日本に不利な判定ばかりで腹が立ったので、主催者に文句を言いに行ったけど、受け入れられなかったよ」

この光景を見て、僕は少しだけ溜飲が下がったものの、負けは負け、結果は変わらない。それに、敗戦の理由を審判のせいにしているだけでは、大会史上初の3連覇は成し遂げられるはずもない。

しかし、日本チームに悔しさはあっても悲壮感はない。帰りのバスで席が隣になった金由起子(ホーネッツ・レディース)と、この日のジャッジの話になった。

「海外ではそういうものにも勝たないといけないんですよ」

確かに、金の言うとおりだった。

これで全勝優勝の可能性はなくなったけれど、決勝リーグに進出して、この借りを返せばいい。22時前に試合が終わり、息つくまもなく、翌13日の11時には第3戦・キューバ戦が待っている。これも、「海外で戦うということ」なのだろう。

9連戦の3戦目、対キューバ戦が、まもなく始まる。チーム内に漂い始めたイヤなムードを払拭するにはどうすればいいのか? しかし、新谷の中には「秘策」があった。それは、翌13日の試合前に披露されることとなった――。

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2012年12月28日

W杯3連覇への道・その8【マドンナジャパン白星発進!】

W杯3連覇への道・その8【マドンナジャパン白星発進!】
取材・文/長谷川晶一


現地時間8月11日13時半、ついに日本にとっての今大会初戦となるオランダ戦が始まる。

小西・試合前 (2)


初戦のマウンドを託されたのが、投手陣最年長の小西美加(大阪ブレイビーハニーズ)。前日にこの日の先発を告げられた小西投手は、午前中に行われた全体練習でも別メニューで、協会理事長でもある大倉孝一氏から、入念なマッサージを受け、注目のマウンドに上がる。

2010年のプロリーグ発足以来、不動の大エースとして、過去2年連続最多勝に輝く実力の持ち主。経験も実績も豊富な小西の右腕に期待が集まった。

試合前ミーティング

注目の初戦、スターティングメンバーは、

1番・三浦伊織(8・京都アストドリームス)
2番・六角彩子(5・侍)
3番・川端友紀(6・京都アストドリームス)
4番・西朝美(2・アサヒトラスト)
5番・中村茜(7・兵庫スイングスマイリーズ)
6番・金由起子(3・ホーネッツ・レディース)
7番・大山唯(DH・尚美学園大学)
8番・志村亜貴子(9・アサヒトラスト)
9番・中野菜摘(4・尚美学園大学)
P・小西美加(大阪ブレイビーハニーズ)



前日にはアメリカに0−10でコールド負けしたオランダは、正直なところ、かなり格下であることは否めない。勝利は手堅いところだったが、問題は勝ち方だ。9日間で9連戦という過酷な日程を余儀なくされた日本チームに勢いづかせるためにも、完膚なきまでに叩きのめす戦いを、僕は期待していた。

注目すべきは、今回代表入りしたプロ選手5名のうち、4名をスタメン起用している点だ。格下のオランダ相手に、代表初選出となる、三浦、川端、中村の3名を起用し、国際大会に早く慣れさせたいという意図が感じられる選手起用だった。

球場全景

日本選手20名たちは、僕の期待や事前の想像をはるかに上回る、たくましさを身につけていた。
1回表、1番の三浦から8番・志村まで、3四死球を含めた5連打の猛攻を見せると、打者一巡の怒涛の攻撃で初回に9点を挙げた。前夜、新谷博監督がポツリと言った。

「しかし、今回の日本打線は相当なものだぞ」と。

僕は、目の前の超破壊的打線を見ていて、ふと、この言葉を思い出した。しかし、人間の欲というのは限りないものだ。大充実の攻撃陣に満足しながらも、さらなる欲求が芽生えてくる。

(ここは、何としてでも完封勝利を!)

そして、小西はその期待に応えてくれた。初回にピンチを作ったものの、後続を抑えて、無事に切り抜けると、見事に0封。小西は走者のいないときでもワインドアップ、ノーワインドアップを使い分けていた。試合後、改めてその意図を聞いた。

「打者のタイミングを狂わせるため、自分のピッチングにリズムを作るためにも、いつも意識して(フォームを)使い分けています。グラブを顔の前で止めたり、頭の上まで持っていったり、そのときにも一度ヒジを曲げたり、曲げなかったり……。私のフォームはまとまりすぎているので、あえてそういうことをしています」

4回からは代表初選出の吉井萌美(平成国際大学)が、マウンドに上がり、見事な投球を披露する。

吉井

結局、試合は21対0という大勝利に終わる。打撃陣は容赦のない攻めを見せ、ベテランと新人の2人の投手が、大量得点に気を許すことなく見事に試合を締めた。

スコア


試合後、吉井投手に話を聞くと、

「マウンドに上がるときには緊張しなかったんですけど、最初の打者を抑えて、(よし、いける!)と思ったら、2人目の打者のときから手が震えてきて、緊張がとまりませんでした(笑)」

と笑顔で答えてくれた。ちなみに、現地時間11日ということは、日本は12日。8月12日は吉井投手の19回目の誕生日。記念すべき代表デビューと自身のバースデーを、堂々たるピッチングで、自ら祝福した。

試合後、新谷博監督(元西武など)は「勝てば100点! 本当に出来た子どもたちで助かります」と満面の笑みを浮かべた。
さぁ、注目の第2戦・アメリカ戦は翌12日19時半から行われる。アメリカ相手に前日のような試合運びはできない。日本チームはどんな戦いを見せるのか?

追伸
宿舎に戻った後、吉井投手のバースデーケーキがサプライズで用意されていた。涙でローソクを吹き消す吉井の姿は、マドンナジャパン20名の結束の象徴のようなほほえましい光景だった。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2012年12月26日

W杯3連覇への道・その7【それぞれの大会前夜】

W杯3連覇への道・その7【それぞれの大会前夜】
取材・文/長谷川晶一


開会前夜ミーティング (2)

現地時間8月10日に予定されていた初戦のベネズエラ戦は、 ベネズエラのビザ発給が遅れたために入国も遅れ、その結果「日本対ベネズエラ」は15日に順延されることが決まった。カナダ入国早々のハプニングだったが、選手たちの間には大きな動揺は見られなかった。しかし、その結果、日本チームは9日間で9連戦を戦うという、超過密日程を強いられることとなった。

現地時間8日にカナダ入り、9日に時差調整を兼ねて簡単な練習を行い、10日の大会初日に開会式のみの参加。「早く試合がしたい」とウズウズしていた10日の夜。翌日に初戦を控えたマドンナジャパン20名たちは思い思いの夜を過ごしていた。

23時を過ぎた頃だった。新谷が選手たちに声をかける。「これからミーティングをするから、みんな集まれ」大会前夜、深夜ミーティングが始まろうとしていた。

まず、清水稔コーチ(元三菱重工神戸監督)が口火を切る。

「これからの9日間。みんな頑張ってほしい。いい流れは、いい動きから。これを忘れずにいてほしい」

続いて、新谷博監督(元西武など)が口を開く。

「大会にも、1試合にも《流れ》というものがある。いい流れを引き寄せるには、ネガティブなことを考えたり、口にしたりしてはダメだ。全員がプラスの考えをもって、プラスの行動をしなければダメなんだ」

選手たちは神妙な顔で、その言葉を噛みしめていた。

直井断髪式

選手宿舎となった、アルバータ大学学生寮10階。そのラウンジで人垣ができていた。輪の中心にいたのは、神妙な顔をして正座している直井友紀(侍)とバリカンを手に満面の笑みを浮かべている中島梨紗(侍)だった。中島はおかしくてたまらないといった様子で、バリカンを巧みに操りながら三本の線を刻んでいる。鏡を手にしながら直井は笑う。

「一応、三連覇の願いを込めて、三本のラインを入れてみました。まぁ、自分に気合いを入れるっていう意味です。似合いますか?」

チーム一のムード・メーカ―である直井の周りにはいつも笑顔が絶えなかった。

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ラウンジにバットを持って現れたのが萱野未久(シリウス)だった。前日の全体練習終了後もずっとバットを振っていた萱野は試合前夜も、バットを手放すことがなかった。カナダ入りする前から、京都アストドリームス・佐々木恭介監督(元近鉄など)から、フォーム改造の指導を受けていた萱野はバットのヘッドを意識したスイングを続けていた。時刻は深夜0時になろうとしていた。

新谷監督厨房に!

一方、新谷監督は厨房に立っていた。他国の試合を視察に訪れていたために、宿舎に戻ってきたのは22:40過ぎだった。すでに食堂は閉まっていて食べるものは何もなかった。新谷監督をはじめ、清水コーチ、そして協会スタッフたちは空腹を覚えていた。「仕方ない、今日はオレが作るか!」宿舎に戻る前に、みんなでスーパーに買い出しに出かけていた。新谷は言う。

「家では料理なんかしませんよ。 学生時代以来です。長谷川さん、これ書かないでくださいね。女房が見たら、“あんた料理できるなら、少しは手伝いなさいよ”って怒られるから(笑)」

新谷は、スモークハムを焼き、砕いたにんにくのチップをまぶした白身魚のソテーを作りみんなに振る舞った。それをワインとともにいただく。お世辞ではなく、それはとても美味しいものだった。

翌日に先発することになる小西美加(大阪ブレイビーハニーズ)は大きな鍋にポトフを作って、みんなに振る舞った。

初戦の相手はオランダ。日本の実力と比べれば、かなり格下であることは間違いない。緊張感よりも、和やかな雰囲気で時間が流れていく。日本の初戦は11日13:30から。いよいよ、9日間の激闘が始まろうとしていた――。

マドンナジャパン 光のつかみ方――世界最強野球女子
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2012年12月25日

W杯3連覇への道・その6【いざ、カナダへ!】

W杯3連覇への道・その6【いざ、カナダへ!】
取材・文/長谷川晶一

04


ついに、マドンナジャパン20名が決まった。

【投手】
新宮 有依(平成国際大学 女子硬式野球部)
中島 梨紗(侍)
吉井 萌美(平成国際大学 女子硬式野球部)
磯崎由加里(尚美学園大学 女子硬式野球部)
里  綾実(福知山成美高校 女子硬式野球部コーチ)
小西 美加(大阪ブレイビーハニーズ)

【捕手】
西  朝美(アサヒトラスト)
直井 友紀(侍)

【内野手】
中野 菜摘(尚美学園大学)
新井 純子(尚美学園大学 女子硬式野球部)
出口 彩香(尚美学園大学 女子硬式野球部)
川端 友紀(京都アストドリームズ)
田中 幸夏(兵庫スイングスマイリーズ)
六角 彩子(侍)
大山  唯(尚美学園大学 女子硬式野球部)
金 由起子(ホーネッツ・レディース)

【外野手】
三浦 伊織(京都アストドリームズ)
志村亜貴子(アサヒトラスト)
中村  茜(兵庫スイングスマイリーズ)
萱野 未久(シリウス)


そして8月8日――。

成田空港を出発した20名のマドンナ・ジャパン戦士たちは、勇躍カナダの地へと降り立ったのだった。参加チームは日本の他に、アメリカ、オーストラリア、オランダ、ベネズエラ、キューバ、チャイニーズ・タイペイ(台湾)、そしてホスト国のカナダ。

過去の実績から言って、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダの四強が優勝争いを繰り広げるであろうことは事前に予想されていた。各国による「日本包囲網」が張りめぐらされている中で、マドンナ・ジャパンは、どんな戦いを繰り広げるのか? W杯史上初の大会三連覇をかけた、勝負のときが訪れようとしていた――。

磯崎・新宮マウンドチェック

西武ライオンズなどで活躍した新谷博監督率いるマドンナ・ジャパンの面々は、大会初日の10日にベネズエラと初戦を行うはずだったが、ベネズエラのビザ申請、発給が難航したためにカナダ入りが遅れ、その余波を受けて、日程変更を余儀なくされていた。その結果、日本チームは9日間で9連戦を行うという超過密日程を強いられた。

カナダ到着早々、ハプニングに見舞われた日本選手たち。それでも、大会3連覇に向けて準備に余念がなかった。大会会場となるテラス・フィールドでは投手陣がマウンドの傾斜、硬さを入念にチェック。内野陣も芝目によるボールの転がり方を確認する。

開会前夜ミーティング (2)

本番を翌日に控えた前夜。新谷監督も選手たちを前に檄を飛ばす。

「チームにいい流れを呼び込むため、プラスの流れを呼び込むために、全員がプラスの考えを持ってプラスの言葉が出てこないとダメだ」

選手たちの表情が引き締まる。大会本番を翌日に控えて静かな闘志がみなぎる。翌日からは9日間で9連戦という、過酷な戦いが待っている。日本チームの実力は折り紙つきだ。しかし、国際大会では何が起こるかわからない。はたして、どんな戦いが待っているのか?

開会式 (3)

※以降、不定期でしばらくの間、続きます。


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2012年12月24日

W杯3連覇への道・その5【ついに最終20名が決定!】

W杯3連覇への道・その5【ついに最終20名が決定!】
取材・文/長谷川晶一


2012.07.21〜22@愛媛松山・マドンナスタジアム、坊っちゃんスタジアム

0721〜22・松山合宿・全員集合

6月の前回合宿で24名に絞られたマドンナジャパン代表候補。いよいよ、最終20名が決定するときが訪れた。この第四次合宿でもフリーバッティング、シートノックなどの基本練習の後に、試合形式で各選手の調子の見極め作業が行われることとなった。

新谷博監督(元西武など)は言った。

「もう、みんな横一線ですよ。この中から、どの20人を選んでもカナダで戦えます。ここから4人を落とすのは本当に難しい。この紅白戦で活躍できるかどうか。それが最後の決め手になると思います」

新谷の心中は察するに余りあった。本当に「どの20人を選んでもカナダで戦え」るはずだ。それでも、この合宿で4名が外れる。新谷がどんな判断を下すのか、僕もとても興味深かった。

0721〜22・山崎、六角、新井

選考において、最大の難問は「サード代表選び」だったはずだ。大ベテラン・新井純子(尚美学園大学・写真右)、前回大会MVP・六角彩子(侍・写真中央)、そして大学に入って、急成長を遂げている前代表・山崎まり(アサヒトラスト・写真左)。新谷監督の話を聞いていると、六角の評価がかなり高いことは感じていたので、「六角は当確だろう。では、もう一人は?」というのが、僕の心境だった。

ベテラン・新井はシュアなバットコントロールは健在だったが、肩の衰えが目立っていた。それでも、第1期から代表を務める新井の「経験」は貴重だ。一方の山崎は高校時代から代表経験を持ち、今回は心身ともに万全のコンディションで勢いがあるように見えた。「経験」か「勢い」か? 新谷はどう判断するのだろうか?

0721〜22・出口、川端

一方、ショート争いは川端友紀(京都アストドリームス)と出口彩香(尚美学園大学)で何の問題もないだろう。プロを代表するスター選手・川端の選出は当然として、出口の存在感が合宿のたびに際立っているように感じられた。どんなに強い打球でも、どんなに難しいバウンドでも、出口は身を挺してボールを止めた。また、代表一、二を争う強肩は魅力的だった。 出口の代表入りは確実だった。

やがて、練習が終わる。代表発表の瞬間が刻一刻と近づいてくる。
選手たちがクールダウンを行っている間、新谷監督が動いた。

0721〜22・新谷監督、坂本

まず新谷監督が近づいたのが、片岡安祐美(茨城ゴールデンゴールズ)のもとだった。

「ちょっと地味だな。もっと目立たなきゃ。存在は目立ってるんだけど、プレーが目立たんもんなぁ……」

その言葉で片岡はすべてを察したという。いや、その日の朝からすでに覚悟はあった。

「私、もうその日の朝の時点でわかってました、落ちるって。だって、朝から必要以上に声をかけてくるんですよ。“おい安祐美、元気ねぇな、どうした?”って。“いやいや、元気ですけど”って、いうのが何回もあって(笑)。その時点で覚悟はできていました。だから、発表の瞬間も悔しいのは悔しいけど、涙も出ませんでした。本当はダメなんでしょうね。こんなんじゃ」

0721〜22・新谷監督、高島

この日、片岡のほかに、高島知美(ハマンジ)、坂本加奈(マドンナ松山)、山崎まり(アサヒトラスト)が代表メンバーから漏れることになった。

新谷監督にとっては、いずれも苦渋の選択だった。「誰かがわかりやすいミスをしてくれれば(選ぶのが)ラクなのにな」と笑っていた新谷の気持ちは本当によくわかる。繰り返しになるが、「誰が選ばれても世界で戦える24名」なのだから、そこから4名を外すのは本当に大変なことだった。

0721〜22・最終メンバー発表

そして、坊っちゃんスタジアム会議室で、メンバー20名が発表された。
投手6名、捕手2名、内野手8名、外野手4名。プロ選手5名は全員代表入りを果たした。
この20名が、史上初の大会3連覇を目指して、カナダ・エドモントンで戦うこととなった。

大会まではすでに一ヵ月を切っている。

8月5日から再び松山で直前合宿が行われ、8日にはカナダへと旅立つ。一瞬、安堵の表情を浮かべた選手たち。しかし、その表情はすぐに引き締まったものとなっていた。

※以降、不定期でしばらくの間、続きます。

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2012年12月23日

W杯3連覇への道・その4【代表争い、29名から24名に!】

W杯3連覇への道・その4【代表争い、29名から24名に!】
取材・文/長谷川晶一

2012.06.23〜24@尚美学園大学

24

5月の合宿に続いて行われた第三次代表合宿。

事前の通達では、この合宿において最終メンバー20名が発表されるということだった。選手たちにとっても、審判の日が訪れようとしていた。過酷な代表争い。故障をするなどは論外で、この日に向けて、みな体調万全で臨んでいた。

もちろん、ここでもプロ5選手が参加。チームプレーに関しては、前回よりもさらに洗練されているようで、傍らで見ていても、大きな破綻や欠点は見られなかった。

懸案のコミュニケーションに関しては、相変わらずプロ5名で固まっているシーンは多かったけれど、志村亜貴子キャプテン(アサヒトラスト)や、副キャプテンの中島梨紗(侍)、片岡安祐美(茨城ゴールデンゴールズ)が、積極的に声掛けしている光景が見られた。

ヴィーナス・リーグ選抜チーム

今回の合宿では、高校生によるヴィーナス・リーグ選抜チームとの練習試合を行った。

これは、「細かい問題点は試合の中でしか見つけることができない」という新谷博監督(元西武など)の考えによるもので、新谷は合宿のたびに紅白戦を行っていた。そこで、その場で言うべきことは言い、後日、その課題を反復練習する。それが、新谷流のチーム強化術だった。

佐々木監督・萱野

試合は日本代表候補チームの圧勝に終わった。

将来が有望な高校生選手は何人もいたけれど、ここで負けるようでは世界で勝てるはずがない。プロ選抜チームに対して手も足も出なかった4.21の「屈辱の敗戦」のダメージはすでに払拭されていた。選手たちはそれぞれ、自チームで目の色を変えて自主練習に励んだのだろう。4月と比べると、みな見違えるような身体のキレを取り戻していた。スイングスピードも飛距離も本来の調子になっていた。

片岡・中野

この合宿で、改めて感じたのはセカンドポジション争いの激しさだった。

代表の常連・中野菜摘(尚美学園大学)に、元代表の片岡安祐美、そしてプロからは捕手もできる名バイプレイヤー・田中幸夏(兵庫)。3人によるポジション争い、つまりは代表入り争いは苛烈だった。これまでならば、守備はもちろん、打撃、走塁を考えれば「中野は当確」と言えたが、今回に関しては、誰が選ばれるのか? 新谷監督がどう判断するのか? 個人的にとても注目していた。

吉井

一方、これも個人的な思いではあるが、この合宿のときに初めて「代表には吉井萌美(平成国際大学)のような投手が必要だ」と痛感した。右の本格派ばかりの代表候補投手の中にあって、左の吉井の存在感は日に日に高まっていくように感じられたが、飄々としたピッチングは18歳とは思えぬ老獪さがあった。この合宿で「吉井の代表入りの可能性は高いかもな?」と感じたことをよく覚えている。

また、3月に始動したこの第11期日本代表候補・マドンナジャパンの最大の弱点が「ショートの不在」だった。08年・松山大会のレギュラー・厚ケ瀬美姫(兵庫)、10年・ベネズエラ大会のレギュラー・宮崎唯(元アサヒトラスト)は、ともにセレクションを受験していなかった。

4月の追加招集で川端友紀(京都)が代表候補に加わり、不安はだいぶ解消されたが、足に爆弾を抱える川畑だけでは心許ない。しかし、この合宿では出口彩香(尚美学園大学)が、再三再四、好守を披露。このときに「川端と出口の2名がいれば大丈夫かな」と、漠然と感じたことを記憶している。

後の本大会では、出口がレギュラーショートに 定着。本番でも堅実な守備を見せ、見事に大会ベストナインに輝いた。出口の守備の安定感は半端なく、歴代ショートと比べても何も遜色はなかった。

選手たちだけでのミーティング


すべての練習が終わった。
ついに代表メンバーが決定される。

練習終了後、志村キャプテン、中島、片岡両副キャプテンを中心に、選手たちによる自発的なミーティングが行われた。代表メンバー発表前に、ともに汗を流し続けた選手たちだけにしかわからない想いがあるのだろう。近づくことはせずに、遠巻きにその光景を見つめながら、僕自身も緊張の一瞬を迎えることとなった。

そして、別室に集められ代表メンバーが発表される。事前に「ここで最終20名が決定する」と聞かされていたが、この席の冒頭で「まだ絞りきれないので、現時点では24名を候補選手とする」と発表された。

・柳谷優花(ホーネッツ・レディース)
・花ヶ崎衣利(蒲田女子高校)
・小出加会(埼玉栄高校)
・有坂友理香(アサヒトラスト)
・矢野みなみ


以上5名が、この合宿でふるい落とされた。外れた者の想いを知るからこそ、残った選手たちの間にも笑顔はない。
29名から24名に。そして、次回合宿では24名から最終20名に。ますます激烈な争いが続くこととなった――。

※以降、不定期でしばらくの間、続きます。

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2012年12月15日

W杯3連覇への道・その3【プロアマ初合流!】

W杯3連覇への道・その3【プロアマ初合流!】
取材・文・写真/長谷川晶一


2012.05.19〜20@尚美学園大学、ホンダグラウンド

プロ5名


12.04.21の「日本代表候補対プロ選抜2連戦」において、屈辱的な連敗を喫したマドンナジャパンは、翌22日に6名のプロ選手追加招集を決めた。後に厚ケ瀬美姫(兵庫)が故障のために召集辞退するものの、ここに初めて5名のプロが加わる「プロアマドリームチーム」誕生が現実のものとなった。

5月19日から、翌20日にかけて行われた第二次合宿。僕の注目は当然、「プロとアマとの化学変化」だった。プロからの5名のうち、小西美加(大阪)と田中幸夏(兵庫)の2名はアマチュア時代に、全日本入りした経験を持つ。小西は第2回台湾大会、第3回日本大会、田中は高校時代に第1回大会とW杯出場経験を持つ。

一方、川端友紀(京都)、三浦伊織(京都)、中村茜(兵庫)はソフトボールやテニスからプロの世界に身を投じていたために、アマチュア選手たちの多くは、その本当の実力を知る者は少なかった。

個人的な興味としても、「川端対磯崎」「三浦対中島」「新宮対中村」など、どんな対決が行われるのか? シミュレーションをするだけで、久々に高揚感を覚えた。

ミーティング


簡単なあいさつの後に練習が始まる。川端、三浦が打撃ケージに入ると、無言ながら、すべての選手の視線が両選手に注がれているのがわかった。ここで、川端、三浦はともに心地いい打撃音を響かせて打球を飛ばしていく。

後に多くの選手が「三浦の飛距離に驚いた」と振り返るように、力みのない自然体のスイングから三浦はライト柵越えの打球を飛ばす。その光景を見て、練習のサポートをしていた尚美学園大学の選手たちは言った。


「あそこまで飛ばすのは、中野(菜摘)と大山(唯)ぐらいです。でも、あんなに何発もスタンドに打ち込む人は初めて見ました」


これまで女子プロ野球の取材をしていて、三浦の打撃センスには何度も惚れ惚れとさせられてきた。彼女は代表クラスの実力の持ち主であることは間違いなかった。打撃だけではない、肩は決して強くはないけれど、それを補う守備範囲の広さも彼女の大きな武器だった。

もちろん、プロで2年連続首位打者に輝いていた川端の実力も折り紙つきだった。この時点で、新谷博監督(元西武など)はすでに「超強力打線」誕生の手応えを感じていたという。

三浦選手・新谷監督


新谷監督が川端や三浦を指導する姿は新鮮だった。また、京都アストドリームスの佐々木恭介監督も、わざわざ川越まで足を運び、萱野未久に1時間近くマンツーマンで指導をしている姿も印象深い。指導終了後、「あの子はいいものを持っているのに、上(半身)と下(半身)の連動が悪い。それにヘッドが寝てしまう悪いクセがある。そこを直せば、もっともっと良くなる選手だよ」と佐々木監督は語っていた。

佐々木監督、萱野


個々の技術には何の問題はない。問題となるのは、投内連係や各種フォーメーションなどのサインプレーだった。しかし、そこには心配された「プロとアマとの壁」は、僕にはまったく感じられなかった。さすがに日本を代表する29名たちだった。何度か練習を続けているうちに、牽制のタイミング、バント処理など、難なくこなしていく。

2日目の練習では、早くもバスターエンドラン、2ランスクイズなど、足をからめた攻撃の練習に取り組んでいた。

「プロとアマとの壁を気にする必要はないのかもな……」

僕は、すっかりそう感じていた。

しかし、「それは違う」と、後に小西美加に聞かされて驚いた。

小西・川端・監督


大会終了後、じっくりと話を聞いたときに小西は言った。

「かつて一緒にジャパンのユニフォームを着てプレーした選手がたくさんいたのは心強かったんですけど、チームに溶け込むのには意外と時間がかかりました。やっぱり、最初のセレクションを受けずに、途中から代表入りしたことがその原因だったと思います」

プロとアマとの間に障壁はない――。

先ほど、僕はそう書いた。しかし、実際の選手レベルでは「障壁」とは言わないまでも、目に見えない「遠慮」や「配慮」のようなものは確かにあった。

「私たちが代表候補入りする前に、すでにみんなは合宿を経験していますよね。だから、後から入ってきた分、最初からいる全日本メンバーの色に染まらないといけないという思いは強くありました。それに、初めからいるメンバーたちがプロの選手たちにものすごく気を遣ってくれているのもよくわかりました。だから、逆にこっちも気を遣うことになって、同じ日本代表のメンバーなのに、互いに遠慮し合うというか、気を遣い合うというか……」

傍からは感じることのできない選手ならではの感情の機微が、そこにはあった。

この合宿終了後、それまで未定だった「最終メンバー人数」が20名と決定された。
この時点で残っているのは29名。メンバーから外れるのは9名。
代表入りをかけた熾烈な戦いが、始まろうとしていた――。

※以降、不定期でしばらくの間続きます。

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PROFILE
SHOICHI HASEGAWA 
1970年5月13日・東京生まれ。
ノンフィクション・ライター
日々、旅をして、人に出会い、
話を聞き、それを文章にする。
そんな日々の雑感です。
長文になると思います。

ちなみに、上の写真は、
モハメド・アリ@北朝鮮です!
(07年3月1日付参照のこと・笑)
shozf5@gmail.com


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